【インタビュー】『蝶の眠り』中山美穂「最初にお会いしたとき、チョン監督はずっと『Love Letter』の話をしていました」キム・ジェウク「中山美穂さんの芝居からいろいろもらおうという気持ちで日本に来ました」

2018年5月10日 / 12:00

 人気作家の涼子は、自分が遺伝性アルツハイマーに侵されていることを知り、残りの人生でできることを考えて大学の講師を始める。学生と訪れた大学近くの居酒屋で出会った韓国人留学生チャネの協力を得て、最後になるかもしれない小説の執筆を続けるが…。『蝶の眠り』は、韓国出身のチョン・ジェウン監督が、日本を舞台に人生の終焉(しゅうえん)と向き合う女性作家の姿を、透明感あふれるタッチでつづった物語。チョン監督からの熱烈なラブコールに応えて涼子を演じたのは、主演作『Love Letter』(95)が韓国で高い人気を誇る中山美穂。一方、涼子と心を通わせるチャネを演じたのは、幼少期を日本で過ごし、日本語が堪能な韓国人俳優のキム・ジェウク。劇中で息の合った共演を見せた2人が、撮影の舞台裏を語ってくれた。

キム・ジェウク(左)と中山美穂

-チョン・ジェウン監督は『Love Letter』が好きで、中山さんに出演のオファーをされたそうですね。

中山 いまだにそうおっしゃってくださる方が多いので、とてもうれしいです。中でも、韓国は特に多いんです。先日、釜山映画祭に行ったときも、お会いする方が口々に『Love Letter』の話をしてくださって…。チョン監督も、最初にお会いしたときは、ずっと『Love Letter』の話をしていました(笑)。時代を越えても色あせない作品の世界観が、皆さんの中に残ってくれているのはすごくうれしいですし、この作品もそうなってくれたらいいです。恐らく監督も、そういう作品を作りたくて、声を掛けてくださったんだと思います。

-キムさんはこれまで中山さんについて、どんな印象をお持ちでしたか。

キム 僕も『Love Letter』のDVDを持っているのですが、最初に中山さんにお会いしたときは不思議な気持ちになりました。「中山美穂さんが本当に僕の目の前にいる。実際に存在している人なんだ」と。韓国でも昔からテレビで見ていたスターの方たちと仕事をした経験は何度かありますが、それとは全く違いました。現実感がなかったというのが正しいかもしれません。映画が完成した後は、「本当に中山美穂さんと一緒に映画を撮ったんだ!」という気持ちになりました(笑)。

-実際に共演した中山さんの印象は?

キム とてもナチュラルな方で、変に気を使わなくてもよかったので、一緒にいて楽でした。でも、たまに面白いときがあるんです(笑)。みんなが疲れていたり、少し空気が重くなったときなどに、冗談を言ってくれたりして。その美穂さんの行動や言葉一つで雰囲気が変わるんです。それを見て、やっぱりいい役者さんだなと思いました。

-最初に脚本を読んだときの印象は?

中山 病気を扱う作品なので、そのあたりが難しそうだなと。実感したことがありませんし、どのぐらい大変なものかも分かりません。だから、簡単ではないと思いました。ただ、監督から「どうしてもあなたで」というお話も聞いていたので、私をイメージして書いてくださったんだなということも感じました。

キム 僕はもともと、チョン・ジェウン監督のファンだったんです。彼女が久しぶりに劇映画を撮るということでシナリオを送ってくれたのですが、芝居は全部日本語、撮影も全て日本、スタッフも役者もみんな日本人。その環境自体が面白かったので、やってみたいと。今までドラマや映画で多少は日本語を話す機会もありましたが、本格的に日本の映画を撮る感覚で芝居をするのは初めてだったので、断る理由はありませんでした。

-役作りはどのように?

中山 遺伝性アルツハイマーについては、本を読んだりして勉強しました。涼子のキャラクターに関しては、監督から「とにかく強い女性で」と。あとは割と自由に、という感じだったので、できるだけ強い女性でありつつ、どこでスイッチが入るか分からないような奔放さを面白く演じられれば…と。今回は、あらかじめ用意した感情ではなく、セットやロケ地に行って、その場の空気を感じて生まれるものでお芝居を組み立てていく方が多かったような気がします。

キム 日本語を話す韓国人の役なので、どの程度日本語を話せるのかというバランスについて監督と何度も話し合いました。結果的には僕自身の日本語のスキルそのままで行こうという話になりましたが、せりふのリズムなどが韓国とは違うので、その点だけ気をつけました。

 
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