【映画コラム】老優の存在感と脚本のうまさで楽しませる『ヴィンセントが教えてくれたこと』と『Dearダニー 君へのうた』

2015年9月5日 / 17:37

 ビル・マーレイ主演の『ヴィンセントが教えてくれたこと』とアル・パチーノ主演の『Dearダニー 君へのうた』が公開中。どちらも老優の存在感と脚本のうまさで楽しませてくれる。

(C) 2014 St. V Films 2013 LLC. All Rights Reserved.

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 『ヴィンセントが教えてくれたこと』は、独り暮らしの偏屈な老人ヴィンセント(マーレイ)と母親(メリッサ・マッカーシー)と二人で隣に引っ越してきた12歳の少年(ジェイデン・リーベラー)との間に友情が芽生えていく様子を描いた“年の差”バディ(相棒)ムービー。

 マーレイは、『恋はデジャ・ブ』(83)『3人のゴースト』(88)『ブロークン・フラワーズ』(05)など、毒舌で一筋縄では改心しない憎々しい役柄を演じさせたらピカイチの俳優。

 本作のヴィンセントはそうした彼のおはこともいえるキャラクターの延長線上にある。作り手にとっては、彼を起用することで主人公の改心前後のギャップの大きさや面白さが描けるという利点がある。原題の「聖人ヴィンセント」にひねりが効くのもマーレイの存在があればこそだ。

 本作の監督、脚本は新人のセオドア・メルフィ。孤独な老人を中心に、少年とシングルマザー、移民のストリッパー(ナオミ・ワッツ)といった弱者たちが、最後には共同体となっていく変化を心地良く描いている。

 
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