【映画コラム】広瀬すずの切れ味鋭い動きに魅了される『ちはやふる-上の句-』

2016年3月19日 / 18:26
(C)2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社

(C)2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社

 末次由紀の人気コミックを実写映画化。競技かるたをテーマにした青春ドラマの前編『ちはやふる-上の句-』が公開された。監督は小泉徳宏。

 私事だが、先日、競技かるた好きのフランス人女子大生の来日の様子を追ったテレビ番組を見ながら、この競技はまるで格闘技のようだと認識を改めさせられた。

 本作は、そうした要素を踏まえながら、周防正行監督の一連の“ハウツー映画”や、卓球を描いた『ピンポン』(02)のように、競技そのものや技の部分を誇張し、漫画的な面白さも残しているが、もちろんそれだけではない。

 広瀬すず、野村周平、真剣佑、上白石萌音ら若手俳優の好演もあり、主人公と仲間たちの競技かるたに寄せるひたむきな情熱や夢を形にした立派な青春群像劇に仕上がっているのだ。

 最も印象に残るのは、ハイスピードカメラを駆使して、彼らの持つスピード感や身のこなしの良さを生かした競技会のシーン。特に広瀬は、昨年の『海街diary』でのサッカーシーン同様、今回も切れ味鋭い動きで見る者を魅了する。

 先に原作漫画に親しんだ者にとっては、キャラクターのイメージが違うなど、不満が残るところもあるだろうが、原作のイメージを持たない者にとっては、これでも十分に楽しめる。

 最近はコミックを原作とした二部作ものがはやりだが、前編を見ただけで興ざめさせられるものも少なくない。そんな中、本作は見事な出来栄えで、後編の『-下の句-』(4月29日公開)に期待をつなぐ。(田中雄二)


Willfriends

page top