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2024年の上半期Billboard JAPAN総合アニメソング・チャート“Hot Animation”で、TVアニメ『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』オープニング・テーマであるCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」が1位に輝いた。
アニメ初回放送直後となる1月7日に配信がスタートした同曲は、Billboard JAPANにおける集計最終曜日である日曜日のリリースであった影響もあり、リリースから2週目の1月17日公開チャートで、11位に初登場。その後はめきめきと伸び、翌週には2位、登場3週目となる1月31日発表チャートからは、じつに19週(※上半期チャート集計期間後、6月5日発表チャートも含む)にわたって当チャート首位をキープしている。TVアニメ『チェンソーマン』オープニング・テーマである米津玄師「KICK BACK」および、TVアニメ『【推しの子】』オープニング・テーマのYOASOBI「アイドル」が保持している当チャート歴代1位の連続首位記録(21週)も目前という成績だ。
指標別に見ると、「Bling-Bang-Bang-Born」はダウンロード、ストリーミング、ラジオ、動画再生の4指標で1位を記録。CDセールスは集計対象外の作品であるため加算なし、カラオケ指標はYOASOBI「アイドル」に追いつかず2位に甘んじたものの、今回集計対象となった週数が9週少ない(17週と26週)こと、ポイント差は他のどの指標における1位/2位間よりも僅かであったことを踏まえると、かなり猛追していたことがわかる。また、この曲のポイントはダウンロード、ストリーミングのデジタル2指標における圧倒的なポイント獲得数だが、ダウンロードは2位のヨルシカ「晴る」(TVアニメ『葬送のフリーレン』第2クール オープニング・テーマ)の2.5倍、ストリーミングはYOASOBI「アイドル」の1.6倍以上ものポイントを獲得。アニメ総合としては2位以下に1.7倍以上の差をつけ、ダントツの首位に輝いた。
2位には、2023年年間チャートで当チャート含む6冠を達成、まさに“最強で無敵”な成績を記録していたYOASOBI「アイドル」が食い込んだ。この曲のリリースは2023年4月12日で、当チャートに初登場したのは2023年4月19日公開チャ―ト。じつに60週分にわたってアニメチャートに登場し、うち37度の首位を獲得してきたモンスター曲だ。このうち、上半期チャートの集計期間としては上記の後半26週分、つまりチャートイン34週~59週目の記録だが、「Bling-Bang-Bang-Born」にその座を奪われるまで、アニメ総合順位だけでなくストリーミング、動画再生、カラオケの3指標での首位を基本譲らず、抜かれてもすぐに抜き返す……というほどの高水準の成績をキープしていた。また、この曲を除いた上半期チャートトップ10の楽曲は、いずれも2023年下半期以降にリリースされた楽曲であることからも、いかに「アイドル」が初速の凄まじい勢いを保ち続けているかがわかるだろう。
3位は、そんな「アイドル」のアニメチャート首位連覇記録を打ち破った、TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」オープニング・テーマであるKing Gnu「SPECIALZ」に。アニメ地上波放送の後半、クライマックス部分がちょうど上半期チャートの集計期間とかぶったことに加え、上半期チャート集計開始直後の2023年11月29日には、同曲も収録されたアルバム『THE GREATEST UNKNOWN』がリリース。その後2024年1月より開催された5大ドームツアーの盛り上がりもあいまって、チャート上位をキープした。さらにツアー最終日、2024年3月23日におこなわれた札幌ドーム公演の終演後には、ツアー東京ドーム公演の模様を収めた同曲のライブ・パフォーマンス・ビデオも公開され、ふたたび動画再生指標が増加……と、アーティストが話題を仕掛け続けていたことが、チャート上位をキープできた一因になっていると考えられる。
今回の上半期アニメチャートトップ20を見ると、「アニメの放送/上映期間終了後も楽曲が聴かれ続ける」ことは大前提として、楽曲と作品の相乗効果で、アニメ人気やアーティスト人気との相関よりも曲単位への支持が高く出るケース(Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」、10-FEET「第ゼロ感」など)、アーティスト人気の高さで、タイアップ元作品の動きに関わらず複数楽曲がチャートインするケース(YOASOBI「勇者」「祝福」、Mrs. GREEN APPLE「ライラック」「インフェルノ」など)、毎作タイアップ曲をヒットさせる人気シリーズ作の主題歌として、作品とともに支持を集めるケース(ヨルシカ「晴る」、羊文学「more than words」、aiko「相思相愛」など)の、大きく3つのパターンがまんべんなく分布していることがわかる。
さらに面白いのが、当チャート上半期トップ3は、世界でヒットしている日本の楽曲をランキング化した “Global Japan Songs Excl. Japan”の上半期トップ3と完全に一致するほか、もう少し下位まで広げてもラインナップが近似するということだ。当アニメチャートは日本国内での人気、“Global Japan Songs Excl. Japan”は日本国外での人気をそれぞれ集計しているのにもかかわらず、ここまで登場曲が似通うという事実は、楽曲の“世界展開”というキーワードにおいて、アニメの存在を無視するのは不可能であること、またアニメを通して、日本と世界でのヒットが同時に起こりうるということをはっきりと示している。
下半期も、現在放送中のTVアニメ『「鬼滅の刃』柱稽古編』に加え、TVアニメ『【推しの子】』第2期など、人気シリーズ作品の放送が予定されている。年間チャートは、「Bling-Bang-Bang-Born」のようなダークホース的新曲も含め、どのようなラインナップになっていくのか注目だ。
Text by Maiko Murata
【2024年上半期Billboard JAPAN“Hot Animation”】トップ20
1位「Bling-Bang-Bang-Born」Creepy Nuts
2位「アイドル」YOASOBI
3位「SPECIALZ」King Gnu
4位「勇者」YOASOBI
5位「花になって」緑黄色社会
6位「タイムパラドックス」Vaundy
7位「晴る」ヨルシカ
8位「青のすみか」キタニタツヤ
9位「最高到達点」SEKAI NO OWARI
10位「オレンジ」SPYAIR
11位「第ゼロ感」10-FEET
12位「ライラック」Mrs. GREEN APPLE
13位「美しい鰭」スピッツ
14位「インフェルノ」Mrs. GREEN APPLE
15位「more than words」羊文学
16位「SOULSOUP」Official髭男dism
17位「ミックスナッツ」Official髭男dism
18位「相思相愛」aiko
19位「KICK BACK」米津玄師
20位「祝福」YOASOBI
集計期間:2023年11月27日(月)~2024年5月26日(日)
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