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それでも、「カット」がかかった途端、皆さんとても明るく振る舞っていらっしゃって。私だったら、役を引きずってしまい、すぐには切り替えられないと思います。きっと皆さん、亡くなった親族やご友人など、思い出す相手がいらっしゃって、この作品を通してそういう方の人生を肯定しようとしているのかなと。皆さんの姿を見て、そんなことを感じました。
辺見と広野は、亡くなる患者さんをみとることが多いのですが、松山さんとは「そこにいるのが辺見と広野なのか、岸井ゆきのと松山ケンイチなのか分からなくなるくらい、皆さんのお芝居に魂を感じる。それくらい素の自分たちが映っているかもしれない」というお話をしたことが印象に残っています。そういう私たちの映像をご覧になった演出の柴田(岳志)さんも、「半分ドキュメンタリーのように感じる」とおっしゃっていて。それはやはり、皆さんが真摯に誠実に、お芝居をされているからなんだろうなと。
私はお芝居の際は、できるだけその場で湧き上がった生の感情を生かすように心がけています。そういう機会が増えるほど、役に自分が近づいていき、重なる瞬間が生まれると思っています。ただ、それは簡単ではなく、関わる皆さんの気持ちが同じ方向に向かっていないとできないことなんです。この作品では、私たち一人一人が、「“生きる”とは?」、「人生の最期をケアするとは?」と答えのない問いに向き合い続ける中から、一つ一つのシーンが出来上がっています。だからこそ、そういう瞬間が生まれるんだろうなと。それが成立するこの作品の現場は、本当にすてきだと思います。
以前から私は、「与えられた運命の中でどう生きるか」ということを考えるような作品に出演させていただく機会が多かったのですが、それでも「死」は遠いものと捉えていました。でも、前作を経験して以来、「生きる」ことと「死ぬ」ことをひとつにして、より深く考えるようになりました。そういうことを考えずに過ごす方が楽なのかもしれませんが、「死」について考えることで、生きていることの価値を実感できるのではないかなと。そういう意味では、「死」について考えるのは、決してネガティブなことではないんですよね。
私も以前は、恐怖や不安を感じて敬遠していましたが、「死」をポジティブに捉えることで、人生を前向きに考えられるようになりました。「死」は、いつかは向き合わなければいけない問題ですし、同時に私自身の死生観も前作を経験したときから日に日に変わっています。だから、「どう生きるべきか」というのは答えのない問いですが、それでも考え続けることが大事なのかなと。皆さんにとっても、この作品がそういうきっかけになったらうれしいです。
(取材・文/井上健一)

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