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花魁は、所作やせりふが独特なので、収録のたびに細かく指導が入るのですが、福原さんは常に瞬時に、的確に対応していくんです。とても器用な方だなと。その上、誰袖のシーンを収録する日は一日中、花魁の扮装(ふんそう)で過ごすため、かなりの負担になるはずですが、福原さんは常に笑顔を絶やさず、現場を明るく盛り上げてくださるんです。とてもチャーミングな方で、おかげで僕も楽しい気分にさせてもらいました。
謙さんからは多くのことを学びました。収録の待ち時間には、リハーサルで感じたことを共有してくださったり、よかった点を褒めてくださったり…。その上、少しでも作品が良くなればと、“財産”ともいえるご自身が培ってきたノウハウを、惜しみなく共有してくださるんです。大先輩でありながら、近寄りがたい雰囲気がないので、僕も自然とお話ししたくなってしまって。おかげで、収録で悩んだときは、真っ先に謙さんに相談に乗っていただきました。僕にとって謙さんは、本当の父親のような存在です。
横浜さんとご一緒するのは初めてでしたが、本当に素晴らしい座長でした。蔦重という役は、コミカルな一面から感情的なときまで振り幅が大きく、演技に対する要求も非常に高いんです。そんな大変な役を、横浜さんは見事に演じられていました。そんなご苦労があるにもかかわらず、現場で横浜さんと一緒にいると、すごくリラックスできるんです。蔦重と田沼家は親密な関係だったので、横浜さんが醸し出すそういう空気感が、劇中にも生かされていた気がします。僕のクランクアップは、意知が蔦重に米の値段を下げる方法を相談に行くシーン(第26回「三人の女」)だったので、最後に横浜さんとお芝居ができ、いい形で終えられました。
これまで、何度か朝ドラに出演させていただいた際に、隣のスタジオで収録している大河ドラマの様子を見て、「あの世界に入ってみたい」と、ずっと憧れていたんです。その念願がかない、とてもうれしかったです。実際に収録に入ると、毎日不安なことばかりで、それを一つ一つ乗り越えていく日々が1年間続き、気が付いたら終わっていた感じです。その中で少しずつハードルを上げていき、気が付いたらとても高いハードルを越えられるようになっていて、自分自身も成長できた実感があります。おかげで役者としてだけでなく、1人の人間として困難に立ち向かう自信がつき、とても充実した1年でした。
大河ドラマだからこそ生み出せる世界観があると思うので、その一員に加われたことを誇りに思います。素晴らしい経験をさせていただき、成長させていただいた分、この経験を糧にさらに力をつけ、またいつか大河ドラマに戻ってきて、恩返しができたら…と思っています。
(取材・文/井上健一)

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