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現場は和気あいあいとして、すごくいい雰囲気でした。大先輩の安達さんが場の空気を作ってくださいましたし、初対面の渡邊くんも人見知りすることなく、人懐こい仁くんのままでいてくれて。むしろ、鹿乃子さんは物静かで落ち着いた人なのに、時々演じる私が盛り上がりすぎて、「あ、いけない」と自分で自分をたしなめていたくらいで(苦笑)。上村(奈帆)監督も、物腰の柔らかい穏やかな方で、そういう3人のいい空気感をそのまま切り取ってくださいました。
きっとできると思います。私はきょうだいも多く、目の前に田んぼが広がり、いろんな動物が家に自由に出入りするような田舎で大らかに育ったので、細かいことは気にしない性格なんです。だから、相手が誠実な人でさえあれば、全然大丈夫です。
とてもすてきな関係ですよね。あの距離感だからこそ、お互いを尊重しながら生活できることもあるのかなと思いますし。恋人や夫婦という関係でなくとも、大切な存在と出会えるのは貴重なので、形にこだわるのではなく、「そばにいたい」と心が動いた相手と一緒にいられるのは、とても健全なことですよね。今は多様化が進み、これまでになかった形の家族も生まれていますが、みんなが自分の居心地のいい生き方を模索できる自由があるのはいいことだなと、改めて思いました。
それぞれに個性的なかわいらしさがあって、みんなを魅了してくれました。でも実は、動物の中では猫とのお芝居が一番大変なんです。私は自分でも猫を飼っていますし、何度も猫と共演したことがありますが、猫は調教するのが難しく、それぞれ個性も違うので、一概に「こうすればいい」という攻略法がないんです。だから、それぞれの猫に合わせてアドリブで動くしかなくて。ただ、今回の猫たちはみんなプロフェッショナルだったので、すごく助かりました。おかげで、とても自然でかわいらしい猫たちの姿が撮れたと思います。
原作の優しい雰囲気がそのまま映画になっているなと感じました。息苦しく、生きづらい世の中に疲れた大人の心を癒やしてくれるような空気感があり、この作品に参加できてよかったと、心から思えて…。撮影は真夏の暑い時期で大変でしたが、頑張ったかいがありました。そっと前を向かせてくれるような温かい映画になったので、迷える大人たちとかわいい猫たちの共同生活を、皆さんにもぜひ劇場でご覧いただけたらうれしいです。
(取材・文・写真/井上健一)
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