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彼ら3人には、いくつかの役を交代で試してもらって、見た目や芝居を含め、それぞれが一番ハマる役に決めていきました。確かに一見、JO1とは思えませんよね(笑)。他のキャストもみんな、オーディションでイメージに合った人を選んでいます。ただ、役がハマったのは僕だけの力ではなく、体を大きくしたり、鍛えたり、それぞれが役作りを頑張ってくれたおかげです。
僕は、ジャッキー・チェンが大好きなんですけど、ジャッキーはアクションをすべて自分でやっているんですよね。『OUT』では、さすがに全部とはいきませんが、なるべく本人にやってもらい、それが分かるように撮ることを大前提にしました。その分、みんな大変だったと思いますが、その必死さが映像に映り、リアリティーが生まれたと思います。
あっちゃんがジャンプして、相手の顔をバシッと踏みつける、みたいな原作の象徴的なシーンは、多少難しくても、絶対に映像化しようと思っていました。「こんなのどうやったらできるんだろう?」というアクションを、みんなで試行錯誤して、「こんなの見たことない!」という映像に仕上げていく。それが今回目指したアクションの方向性です。せっかく映画にするんだし、風呂敷を広げて、もっと派手な「階段落ち」のようなアクションをやる、という選択肢もあったのかもしれません。でも今回は、それよりもできるだけ原作をリスペクトしようと。
大変でないシーンはなかったです(笑)。すべてのアクションシーンで、もう1日ずつ欲しかったくらいで。ただその分、「絶対に今日撮りきる。でも、納得しなければOKは出さない」みたいな気迫で僕は現場に臨みましたし、それがみんなにも伝わり、いい緊張感が生まれたんじゃないかと思います。
10年くらい前から、アメリカでインディーズのホラー映画を撮るのが僕の目標だったんです。そうしたら数年前、アメリカのプロデューサーから「アメリカで映画を撮ってみないか」という話がきて。そういうタイミングで、デビュー作『ドロップ』とも縁が深い『OUT』で、ぐるっと一回りしてまたヤンキー映画に戻ってきたことは、監督として僕が歩んできたこの14年間の集大成になったんじゃないかなと。ここで一区切りつけて、次のステップへ、という感じで、節目を飾る作品になったと思っています。
僕は『戦国自衛隊』(79)や『セーラー服と機関銃』(81)、『里見八犬伝』(83)、『二代目はクリスチャン』(85)といった昔の角川映画が大好きなんです。友情も恋愛要素もアクションも入っていて、みんなでポップコーンを食べながら楽しめて、ちょっと泣けて、笑える、みたいなやつ。だから、この映画でもそういうテイストを目指しました。例えるなら、豚肉も牛肉も鶏肉もソーセージも入った、“うまいもの全部入りの鍋”みたいなイメージ。だから、皆さんもそんなふうに仲間とわいわい、気軽に楽しんでほしいですね。
(取材・文・写真/井上健一)
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