単独公演のチケットは常に即完売、名実ともに日本を代表するコントグループ、東京03。その東京03が、作家のオークラと、芸人、役者、ミュージシャン、アイドルなど、さまざまなカルチャーシーンで活躍する人たちと共に、“もっと自由に”“もっとふざけて”というコンセプトで始めたエンターテインメントショー「東京03 FROLIC A HOLIC」の新作公演が3月4日・5日に開催される。今回、コラボするのは人気ラップユニット、Creepy Nutsだ。公演に向けての思いを東京03(飯塚悟志、角田晃広、豊本明長)に聞いた。
-今回は、Creepy Nutsに加え、GENTLE FOREST JAZZ BAND、佐久間宣行さんがゲストとして登場することも発表されています。どんな公演になるのでしょうか。
飯塚 実は、僕らも今の段階(取材当時)では全く分からないんです。作・演出のオークラが考えているので。なので、憶測で話しますけど(笑)、多分Creepy Nutsの方をはじめとした豪華なゲストの方がいらっしゃるライブになるのかなと。
角田 確かに、そこまでは情報として出ていますから。
飯塚 以上です(笑)。
-お笑いのライブでこれだけさまざまなジャンルの人たちとコラボをするというのは、なかなかないことですよね。
飯塚 ジャズバンドの皆さんをバックにお笑いをやるなんて、あり得ないようなライブです。これまでは、おぎやはぎや山崎(弘也)、バナナマンさん、バカリズムといった、僕らが若手の頃から気心の知れた芸人さんたちと一緒に、とにかく楽しくやってきたシリーズなのですが、今回は、これまでにないコラボなので、僕たちもどうなるんだろうとワクワクしています。
角田 しかも、会場は武道館ですから。すごいショーになるんじゃないかなって思います。
豊本 これまでも俳優さんやアイドルの方が来てくださることはあったんですが、お仕事をご一緒したことがある方だったんです。今回は、本当に初めてご一緒する方もいらっしゃるので、そういう意味でも楽しみです。
-日本武道館でお笑いをするということに対しては、どんな思いですか。
角田 武道館というと、ライブを見に行く場所でしたし、ミュージシャンの方たちの聖地というイメージがありました。実は、以前に、テレビ番組の企画で、武道館で歌を歌わせていただいたこともあるのですが、今回は東京03でのライブなので、それもまたテンションが上がりますね。武道館でコントをやるなんて考えたこともなかったので。
飯塚 僕は、武道館でコントをやっているんですよ。ドリフターズのお三方と、僕がネタを書いて4人で。
角田 そうだよね、飯塚さんは経験済みだもんね(笑)。
飯塚 そんなにやりづらい場所ではなかったです。経験者から言わせてもらうと。
角田 こんなこと言える人なかなかいないよ(笑)。
飯塚 びびっているみたいだけど、全然大丈夫。しかも、ドリフの皆さんとやっているから、あれ以上の緊張はない。
豊本 すごい状況でやっているよね。やっぱり経験者は違うね(笑)。
-お笑いやコントは、会場が広ければ広いほど難しいのかなと思っていましたが、そんなことはないんですね。
角田 やりやすいっていうんですから、安心しました。ちなみに、その公演は見に行きましたが、観客としても見やすかったですよ。
豊本 僕も、日本武道館にはライブを見に行くこともありますが、すり鉢状になっていて斜面があるので、見る分には見やすいですよね。ただ、やるとなるとね。
-客席との距離は、あまり関係ないものなのですか。
飯塚 いや、ありますよ。コントをやる上で、一番見やすい会場の大きさは、客席が300人くらいだと思います。もっと小さい会場でもいい。その方がやる側も気持ちいいですし、見る側も細かいところまで見られるので、最適なんだと思います。ただ、今回は、オークラが演出をしてくれるので、大きい会場でも見やすいように調整してくれると思います。
-期待しています。東京03は、劇場での活動に重きを置いている印象がありますが、生でコントをやることについては、どんな思いがありますか。
飯塚 お客さんの笑い声がダイレクトに返ってくるのが楽しくてお笑いをやっているところがあるので、ライブが一番楽しいです。こだわりとかそんな大層なものがあるわけじゃなく、ただやっていて楽しいというだけです。
角田・豊本 そうですね。
-印象に残っているライブやコントは?
飯塚 やっぱり「キングオブコント」の決勝の2本目はウケたよね。
-手応えも感じていたんですね。
角田 優勝がどうとかは分からないですけど、めちゃくちゃウケてるとは思いました。
飯塚 やっていて楽しかった印象がありましたね。今は、単独公演も大きい劇場でやらせていただけるようになりましたが、そうするとお客さんの笑い声の圧が小さな劇場よりも弱くなっている感覚があるんですよ。なので、思い出のライブというと、昔「新宿Fu‐」という劇場に出ていた頃のライブかな。
角田 ウケた時の「新宿Fu‐」はすごかったよね。
飯塚 やっぱり60人ぐらいの劇場でウケたときの気持ちよさは忘れられないです。
-今年、結成から20周年を迎えますが、結成当時に思い描いていた夢はかなっていますか。
飯塚 そもそも夢を抱いて結成してなかったですね。同じ事務所の芸人仲間が天才ぞろいで、僕たちは落ちこぼれで、この人たちにはかなわないと思っていたので、最後にいい思い出を作れたらと思って結成したんです。だから、これほど長く続くとは思っていなかったですし、ただ楽しいことをしていたらここまで続けられたという感じでした。僕たち自身は、こうなりたいと強く思っていたわけではないんです。オークラだったり、事務所のマネジャーたちが道しるべを作ってくれた気がします。周りの人の力によって押し上げていただいた。皆さんのおかげです。
-その中で、ターニングポイントとなった出来事は?
飯塚・角田・豊本 キングオブコントの優勝です。
豊本 やっぱり、それがきっかけでお客さんが増えました。(観客の)見方が変わったのも感じました。
-この先は、どんな目標がありますか。
飯塚 ここまでコントでのライブにこだわってやっている芸人は、今までいなかった気がするので、僕たちがやってきたことが新しいレールになっていくんじゃないかなと思っています。なので、立てる限り、ライブのステージに立っていきたいですね。それで、最終的には本当に小さい劇場でやりたい。セットを豪華にしたいとかは、僕は全く思わないですよ。
角田 それは前から言っているよね。じじいになっても、パイプいすとかそんなセットでやって、みんなの中でウケたいって。それは、僕もかっこいいなと思います。
豊本 カッコいいし、楽しそうだし、そこを目指していきたいですね。
(取材・文/嶋田真己)
「東京03 FROLIC A HOLIC feat. Creepy Nuts in 日本武道館 なんと括っていいか、まだ分からない」は、3月4日・5日に都内・日本武道館で開催。公式サイト