【インタビュー】舞台「愛が世界を救います(ただし屁が出ます)」のん 宮藤官九郎と8年半ぶりのタッグ「宮藤さんは小学生のような天才」

2021年7月27日 / 08:00

 のんが出演する、大パルコ人4 マジロックオペラ「愛が世界を救います(ただし屁が出ます)」が8月9日から上演される。本作は、大人計画とパルコが共同プロデュースし、宮藤官九郎が作・演出を務めるオリジナルロックオペラ、“大パルコ人”シリーズの最新作。特殊な能力と共通の悩みを持つ浮浪児たちが出会い、「世界を救う」という壮大なテーマを背負いながら、能力と羞恥心のはざまで葛藤する物語が描かれる。今回は、宮藤が脚本を務めたNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」(13)以来のタッグとなる、超能力を持つ少女NONを演じるのんに、宮藤への思いや、出演に当たっての心境などを聞いた。

NON役ののん(ヘアメイク:菅野史絵/スタイリスト:町野泉美)

-宮藤さんとは8年ぶりのタッグとなりますが、出演が決まったときはどんな気持ちでしたか。

 「やったー!」って感じでした(笑)。宮藤さんの脚本作品にまた参加できるということに、すごくワクワクしています。今回は演出も宮藤さんで、さらに出演もされるということから、初めての共演となるので、たくさん楽しそうなことがありそうです。「あまちゃん」の打ち上げで、宮藤さんが「次は、のんさんが50歳になったら、泉ピン子さんと橋田壽賀子さんみたいな感じでできたらいいなと思います」とおっしゃっていたんです。その記憶がずっとあったので、今回のお話を頂いたときは、思ったより早かったなと思いました。

-宮藤さんからオファーについて何か話がありましたか。

 顔合わせのときに、宮藤さんが「大丈夫ですか?」みたいなことをおっしゃっていて、私は単に「もう一度よろしくお願いいたします!」という感じで答えていたんです。そのときは、まだプロットもそんなに上がってなかったので、「大丈夫ですか?」の意味が分かっていなくて、プロットを正式に頂いたときに「こういう心配だったんだな」と気付きました。

-そのプロットを見たときの感想は?

 びっくりしました。プロットの時点からタイトルは変わっていないんですけど、そのタイトルが目に飛び込んできたときに、勝手に仮題かなと思っていたんです。だから、正式タイトルはこれから考えるのかなと思いながら読み進めていました。

-プレス・リリースで「あのとき(あまちゃん)は朝ドラフィルターがかかっていたんだなあ、と思うぐらい、今回の宮藤さんのプロットがぶっ飛んでいてびっくりしました」とコメントしていましたが、どんなところがぶっ飛んでいると感じましたか。

 まず設定がすごいです。「愛が世界を救います」というストレートなタイトルに「屁」が付いてくるということに衝撃を受けました(笑)。私の役も超能力を使うときに変顔になるという設定なんです。ただの超能力物じゃなくて、そういう絶対に笑えるものをくっつけてくるところが、宮藤さん節なのかなと思いました。でも、そんなばかばかしくて、すごく笑えて、面白い設定や掛け合いの流れの中で、突然、心臓に突き刺さってくるすてきなせりふが散りばめられているんです。笑いながら見ていて、心がほぐれているところに突き刺さってくるから、より素直な心で宮藤さんが書いたせりふのメッセージを受け止めることができて、そこは本当にすてきだと思います。

-本シリーズの魅力をどのように感じていますか。

 本シリーズは、音楽が本当にかっこよくて、壮大な設定とかテーマの中で面白くて笑えるシーンがたくさんあるんですけど、そのまま楽しく見ていたら、ググッと心をつかまれて感動してしまう、そんなシリーズだと感じています。

-「NON」という、のんさんと同じ名前の役をどう演じたいですか。

 宮藤さんが書かれているNONというキャラクターがもうすでに面白くて、どれだけ体現できるのかということだと思うんです。すごく生きるエネルギーに満ちている役だと思うので、自由な生命力が舞台で見えるように演じたいと考えています。ですけど、本読みの段階で皆さんが面白過ぎたので、今はそれに頑張って付いていかなければという感じです。

-宮藤さんと共演することについてどう思っていますか。

 何か変な感じがします。「あまちゃん」のときは、宮藤さんはたまにごあいさつする程度という遠い存在だったので、本作の本読みのときに「宮藤さんがせりふをしゃべっている!」と驚きました(笑)。宮藤さんがせりふをしゃべるのを目の前で見ているのは不思議な感じでした。

-8年半がたって、自身のどんな成長ぶりを宮藤さんに見せたいですか。

 考えたことなかったです(笑)。自分が作品の中で、役として皆さんに溶け込んで、どれだけ役を面白くできるかいうことに全力なので、こういうところを見てくださいというのは、今まで考えたことない発想です。あえて言うなら、ギターを弾いて歌うシーンがあるので、そこがうまくできたら褒めてほしいです!

 
  • 1
  • 2

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

なにわ男子・大西流星「“timeleszのお兄さん”な原くんは印象通り」 timelesz・原嘉孝「流星は優しくてしっかりしてる子」 1月期ドラマでW主演【インタビュー】

ドラマ2025年11月20日

 なにわ男子・大西流星と、timelesz・原嘉孝がW主演する「東海テレビ×WOWOW 共同製作連続ドラマ 横浜ネイバーズ Season1」が、2026年1月から放送がスタートする。  本作は、令和版『池袋ウエストゲートパーク』として注目を … 続きを読む

早見沙織「プレデターの新しい魅力をこの映画から感じていただけると思います」『プレデター:バッドランド』【インタビュー】

映画2025年11月19日

 未熟故に一族を追われた若きプレデターのデクは、生存不可能とされる最悪の地「バッドランド」に追放される。デクはその地で謎のアンドロイドの少女ティアと出会う。「プレデター」シリーズ中、初めてプレデター自身を主人公に据えて描いた『プレデター:バ … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】「ユミの細胞たち」の原作者、ウェブトゥーン作家イ・ドンゴン

インタビュー2025年11月17日

 韓国文化の“今”を再構築し続けるKカルチャー。今回は、デジタル空間で物語を紡ぐウェブトゥーンの世界に焦点を当てる。平凡な会社員ユミの頭の中で繰り広げられる細胞の物語――。2015年に連載を開始した「ユミの細胞たち」は、全512話で32億ビ … 続きを読む

尾上眞秀「お母さんやおばあちゃんが喜んでくれました」寺島しのぶの長男が舘ひろしとの共演で映画初出演『港のひかり』【インタビュー】

映画2025年11月14日

 日本海沿岸の小さな漁師町を舞台に、元ヤクザの漁師・三浦と目の見えない少年・幸太という、年の離れた孤独な2人の絆を描くヒューマンドラマ『港のひかり』が、11月14日から全国公開中だ。  主演に舘ひろしを迎え、『正体』(24)の俊英・藤井道人 … 続きを読む

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語』(7)神々がすむ土地を語る

2025年11月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈  銭湯の湯け … 続きを読む

Willfriends

page top