【インタビュー】映画『ソウルフル・ワールド』ピート・ドクター監督 ダナ・マレープロデューサー「普通の日々のちょっとした瞬間にも美しいものはたくさんあります」

2020年12月29日 / 07:00

-ジョーがピアノを演奏する指などはCGでリアルに表現する半面、ソウルの世界では線画のようなかわいいキャラクターが登場します。そうしたコントラストの付け方に、何かこだわりはあったのでしょうか。

ピート 今回は、まずソウルのデザインから作り始めました。果たしてソウルとはどんなものなのか、というリサーチをしました。すると「空気や蒸気のようなもの」「物理的なものではない」など、いろいろな意見が出ました。それをどういう形にするのかと悩みながら、あのデザインが生まれてきました。次に、カウンセラーたちは、人間でもソウルでもない、何か違うものにしなければならなかったので、たくさんのデザイナーたちが協力し合って、あのような奇妙な形をしたものを作ってくれました。

ダナ ピアノのシーンは、演奏者の指が、とても長くて美しかったので、レコーディングのときに、カメラを何台も置いて、演奏する指を撮らせてもらい、それをアニメーターたちに参考にしてもらいました。それだけではなく、スタジオ内には、ミュージシャンやピアノが弾けるアニメーターたちもいたので、演奏のシーンは彼らに頼んで作ってもらいました。

-最初は、自分の夢のことしか考えないジョーと、すねた22番の心境が変化していくところが、この映画の見どころだと思います。彼らは最後に、平凡な日常や風景にこそきらめきがあることに気付きますが、これは今のコロナ禍の中では、とても重要なテーマではないでしょうか。

ピート 何かにとても情熱を傾けている人に対して、たとえその全てに共感ができなくても、わくわくさせてくれることはあると思います。この映画のジョーも、ジャズに思い入れがない観客にとっては感情移入ができなかったとしても、彼の情熱だけは感じられるようにしたかったのです。コロナ禍に関しては、まさにおっしゃる通りだと思います。僕たちも最初からそのことを考えていました。たとえ何かに対して情熱や興味を持てなくても、普通の日々のちょっとした瞬間にも美しいものはたくさんあります。普段僕たちはそれを見過ごしていますが、その見過ごされた小さな美しいものたちこそが人生を作っている、そうしたことをこの映画を通して伝えたいと思いました。

(取材・文/田中雄二)

(C)2020 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

パク・ジョンミン「一人二役は想像以上に大変でした」韓国のヒットメーカーが「ガス人間」に続いて送り出すサスペンス・ミステリーで熱演『顔 -かお-』【インタビュー】

映画2026年8月28日

-劇中ではそんなご苦労を感じさせない名演でした。  実は、最初にオファーをいただいたのは、ドンファン役だけだったんです。でも、脚本が面白かったためについ欲が出てしまい、僕の方から「ぜひヨンギュもやらせてください!」とヨン監督にお願いしたんで … 続きを読む

【映画コラム】「生き残る」とは何か『ラスト・サバイバー』『シェルター』が描く極限の人間ドラマ

映画2026年8月28日

『シェルター』(8月28日公開)  スコットランド沖の孤島に建つ灯台を隠れ家にして、愛犬と共にひっそりと暮らす元特殊部隊員マイケル・メイソン(ジェイソン・ステイサム)。  ある日、週に一度、叔父と共に船で生活物資を届けに来る少女ジェシー(ボ … 続きを読む

安田章大「僕が演じられたのは、のんちゃんのおかげ」のん「安田さんとの出会いは衝撃でした」自閉スペクトラム症の兄とその妹役で初共演『平行と垂直』【インタビュー】

映画2026年8月28日

-お二人の息の合った現場の様子が伝わるすてきなお話です。劇中でも本当の兄妹のようで、初共演とは思えませんが、撮影中、お互いの共通点を感じたことはありますか。 安田 のんちゃんは、何かを伝えようとするとき、自分の言葉でこんなふうに伝えたいと、 … 続きを読む

井桁弘恵、幼少期のバレエの経験が今の「度胸」に 「バレエの魅力をもっと伝えたい」「SWAN -Ballet cross Reading-」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年8月28日

 ドラマ「そこから先は地獄」(日本テレビ)で主演を務め、映画『教場 Requiem』など数々の映画やドラマに出演、「おしゃれクリップ」(日本テレビ)ではMCも務める井桁弘恵。9月4日から上演される「SWAN -Ballet cross Re … 続きを読む

早瀬憩「撮影中は朝子と一心同体で生きた感覚がありました」感動のヒューマンサスペンスで入魂の演技『私はあなたを知らない、』【インタビュー】

映画2026年8月27日

-中野監督は、早瀬さんのクランクアップ時の様子について「崩れ落ちるように」と語っていますが、当時の心境はいかがでしたか。  撮影中は朝子と一心同体で生きた感覚があったので、クランクアップしたときは「うれしい」でも「寂しい」でもなく、何とも言 … 続きを読む

page top