【インタビュー】映画『二ノ国』日野晃博「今回だけは映画のために映画を作る」スタジオジブリの遺伝子を持つ青春×ファンタジー超大作

2019年7月29日 / 12:00

 「レイトン」シリーズや「妖怪ウォッチ」などの大人気シリーズを生み出した日野晃博が、スタジオジブリとの協力で生み出したゲーム「二ノ国」シリーズ。ゲーム版同様に、監督・百瀬義行と音楽・久石譲という日本を代表するドリームメーカーが集結し、青春×ファンタジー超大作としてついに映画化され、8月23日から公開される。製作総指揮/原案・脚本を務めるレベルファイブ代表の日野に、映画製作の経緯や見どころなどを聞いた。

レベルファイブ代表の日野晃博

-ゲーム版は2010年から発売されていますが、映画版を作ろうと考えたきっかけは?

 もともとスタジオジブリさんとゲームを一緒に作るということで、ゲームだけではなくて、映画もやりたいというのは最初の段階からありました。ただ、やっぱりジブリさんが相手ということで、簡単に映画を作れるわけがないというのもあって、もう諦めかけていたんです。でも、2017年ぐらいにワーナー・ブラザースさんから「二ノ国」は映画の題材としてもってこいであると、映画にしたいという強いオファーを頂きまして、真剣に考え始めたんです。

-映画の製作開始から、完成までを振り返ってみての感想は?

 本作は、今までのレベルファイブの作ってきた映画とは違うパターンなんです。今まで僕らは、ゲームや商品と連動してコンテンツを広めるために、映画やテレビアニメを作ってきていて、クロスメディアのコンテンツの要素の一つだったんですね 。だけど、今回だけは映画のために映画を作るというか、「二ノ国」という僕らが作ったコンテンツではあるんですけど、今回は何とも連動しておらず、純粋にいい映画を作ろうということだったんです。だから、内容は他のメディアと絡んでいません。そういう意味では、今までにないパターンのアプローチで、映画を作るとはこういうことなのかと感じながらの製作でした。

-ゲームと映画の脚本の考え方で意識することは?

 お話作りは基本的にどっちの場合であっても、純粋に面白いものを作りたいと思って考えるので違いはありません。ただ、一つだけ違うのはスケジュールの部分です。僕らは毎年ずっと年末に映画を上映しているんですけど、いつまでにシナリオを上げて、いつまでにコンテを上げてというプロセスの中でやるので、シナリオが上がって製作に入ってしまうと、一切その後の試行錯誤というのはなくて、限られた時間で作るというところが今まででした。今回に関しては、年末に商品があるので絶対に年末に映画を上映しなきゃいけないとかではなく、もう少し余裕のある形でしたし、お話についても久石さんとの話の中で新しい発想が生まれたりもしたんです。

-それはどんな発想だったのですか。

 実は最初のストーリーは、殺された王様がいて、王様を殺した犯人を捜すミステリーから始まって、だんだん国家的な陰謀が明らかになっていくという、王宮ミステリーから始まる壮大な王国サスペンスみたいなものを書いていたんです。それで、いいプロットになったので、脚本にした状態で久石さんのところに持っていったら、久石さんから「今まで『二ノ国』のゲームを一緒に作ってきて、『二ノ国』って一ノ国と二ノ国を行ったり来たりするところが魅力じゃなかったっけ?」と言われたんですよ。面白ければ、一ノ国が関係のないファンタジー世界の作品を作っちゃっていいのかという。それが「二ノ国」と言えるのかということなんです。そこで気付かされて、ワーナーのプロデューサーさんに頼んで、書き直しをさせていただきました。すぐに直さないと認めてもらえないので、急いで書き直したんですけど、かなり頑張りましたね(笑)。

-ゲーム版を知らない人もいると思いますが、そういう人にとっての見どころは?

 ゲーム版を全く知らなくても楽しめる映画にするというのが最初からのコンセプトなので、ゲーム版を事前にプレーしておく必要はないです。なので、純粋に映画として楽しめる作品になっています。「二ノ国」のゲームを作ってきて、この映画で初めて日本が一ノ国としての舞台になるんですが、映画オリジナルのキャラクターやストーリーが軸になっていて、映画だけの情報で十分に楽しめるので、何の心配もなく映画だけを見ていただければと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『六人の嘘つきな大学生』(11月22日公開)  大手エンターテインメント企業「スピラリンクス」の新卒採用の最終選考に残った6人の就活生への課題は「6人でチームを作り、1カ月後のグループディスカッションに臨むこと」だった。  全員での内定獲得 … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。  地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリ … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

Willfriends

page top