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【インタビュー】『ジャスティス・リーグ』エズラ・ミラー&レイ・フィッシャー「チームの一員になって、本当に夢がかなったと思いました」

 絶大な力を得るために、三つの“マザーボックス”を手に入れようとするステッペンウルフに対抗するため、バットマン/ブルース・ウェイン(ベン・アフレック)は、ワンダーウーマン/ダイアナ・プリンス(ガル・ガドット)らと共に超人チームを結成する。「DCエクステンデッド・ユニバース」の第5弾となる『ジャスティス・リーグ』が11月23日から公開される。本作で、フラッシュ/バリー・アレンを演じたエズラ・ミラーと、サイボーグ/ビクター・ストーンを演じたレイ・フィッシャーが来日し、それぞれのキャラクターへの思いや、映画製作の裏側について語った。

レイ・フィッシャー(左)とエズラ・ミラー

-まず、ジャスティス・リーグの一員になった時の気持ちは?

レイ もう最高の気分でした。

エズラ 本当の意味で夢がかなったと思いました。

-では、自分たちが演じたキャラクターの魅力はどんなところにあると思いますか。

レイ サイボーグの魅力は粘り強いところです。自分はとてもネガティブな人生を送っているのに、他人を助けるためにそれをポジティブなものに変えていく。そこはとても尊敬できます。まるで「人生に酸っぱいレモンを与えられたなら、それでレモネードを作ればいい」という格言が、ぴったりと当てはまるようなキャラクターです。

エズラ フラッシュの魅力はもろいところです。彼にはまだヒーローとしてのオーラがありません。肉体的にも傷つくことが多いです。社交性もないし、孤独なのですが、軽い調子でジョークを言ったりもします。つまり彼はまだ不完全なヒーローなのです。そこがとてもユニークだと思います。僕の知り合いにもこういうタイプの人がいますよ(笑)。

-個人的にはどのキャラクターが一番のお気に入りですか。

レイ 子どもの頃からバットマンが一番好きでしたが、大人になると、大金持ちで戦闘能力もある、といったポジティブな面よりも、親が自分の目の前で殺されたというトラウマを抱え、「バットマンでいるためには何を犠牲にしなければならないのか」という問題と、常に向き合っていることに気付いて、さらに好きになりました。

エズラ 僕も子どもの頃からバットマンが大好きでしたが、今年からワンダーウーマンになりました(笑)。ガル・ガドットが見事に演じて、今までとは全く違うキャラクターを生み出しました。彼女のワンダーウーマンは本当にすごい。映画史に残ると思います。

-アメリカンヒーローを演じる気持ちは?

レイ このヒーローたちはアメリカにとどまらず、グローバルな存在だと思います。世界中から注目される役ですが、一人の俳優としては、ストーリーを通して人に影響を与えられる、という点がとても重要だと思っています。今後も、たとえスーパーヒーローの役ではなくても、そういう役を演じていきたいと思います。

エズラ スーパーヒーローは、普通の人間を誇張した存在だと思います。ですから、まず現実に根ざした部分を探して、その後、現実から飛び出すところを見付けるというようにしています。ただ、スーパーヒーローの役に限らず、キャラクターを作る時はいつも同じようなことをします。普通の人間の中にも、いろいろな要素がありますからね。

-フラッシュはコメディーリリーフ的な存在です。「ドストエフスキー」のせりふには思わず笑わされました。あなたは彼のことを「観客とスクリーンをつなぐキャラクター」だと言っていますね。

エズラ 原作が“コミック”ブックだからね(笑)。今回は演じる上で、いろいろなことを意識しましたが、一番考えたのは、原作のフラッシュは、とても善人で謙虚な気持ちの持ち主として描かれているということでした。それから、現実の世界では、いろいろと苦労した人の方が面白いことを言ったりもしますが、彼らは自分を守るために笑いを利用しているのです。その点ではフラッシュも同じです。それに彼は人の話をちゃんと聞きます。観客にはフラッシュのそんなところも見てほしいと思います。ドストエフスキーの小説に『白痴』がありますね。あのせりふの時のフラッシュはまさにそんな感じでした(笑)。

-サイボーグは半分人間で半分機械という屈折した存在で、あなたは彼のことを「自分が“誰”で“何”なのかということに悩むキャラクター」だと分析していますね。

レイ 確かにサイボーグは半分人間で、衣装も脱げません。それに黒人であるという点も見逃せません。今回は彼の姿を通して、そうした比喩を伝えたかったのです。また、私たちはテクノロジーに頼り過ぎて、そのうちに皆サイボーグになってしまうのではないかという問題もあります。例えば、あなたの眼鏡、腕時計、録音機、携帯電話も皆機械ですよね、特に携帯電話を持っていないと、私たちは裸になったような気分になります。ですからサイボーグは、将来的に人間はこうなってしまうのでは…という恐れを具現化した、とてもリアルな存在なのです。そもそも人間とは何なのか。体なのか、脳なのか、心なのか…。これはとても重要な疑問だと思います。

エズラ ワオ! とても素晴らしい答えだ(笑)。

-では最後に、自分たちが演じるキャラクターの、今後の展開についてどのように考えていますか。

エズラ このチームがフラッシュをどこに連れて行くのかがとても楽しみです。僕はフラッシュのキャラクターにとても興味を持っています。なぜなら、原作はとても早いペースで物語が進み、フラッシュはすぐに強くなり、自信満々になります。ですから、映画では、彼がどういう経緯で変化していったのかをじっくりと見せていきたいと思っています。

レイ サイボーグは、まだまだ成長の途中です。自分自身のこと、父親との関係、そして周囲の人々との付き合い方など、乗り越えるべき問題がたくさんあります。また、彼がスーパーヒーローのグループから出て一人になった時に、社会とどう向き合っていくのかも大きな問題です。彼が一人で街に出た時に、人々からどのように見られるのか、また、彼自身がどのように変化していくのか、ということに、とても興味があります。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

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