漫画家・吉本浩二氏による同名実録漫画を実写化したAmazonオリジナルドラマ「日本をゆっくり走ってみたよ〜あの娘のために日本一周〜」で、心に決めた彼女に告白するために強い男になろうと、バイクで日本一周を目指す主人公・吉本浩二を演じた濱田岳。バイクの運転免許を取得して本作に挑んだ濱田が、貴重で楽しかった撮影時を振り返った。
-バイクで日本一周するとは壮大なスケールの物語ですが、オファーを受けた時のお気持ちは?
吉本先生の漫画は内容がほぼエッセイで、日常の「あるある」と思うようなことがデフォルメしてあったり、自分の弱いところと照らし合わせてクスクス笑えたりするようなものが多いので、最近の大掛かりなものとは違い、漫画の映像化作品としてははまらないのかなと思っていました。でも、これはスタッフ全員を引き連れて日本一周をするという、この業界の人でなくても簡単に想像がつくスケール感なので、自分の役者人生でこんな体験はもう二度とない、という思いで臨ませていただきました。
-本作のためにバイクの免許を取得したそうですが、ご苦労されましたか。
どこかに通って何かを習うというのは久しぶりだったので楽しかったし、その先に撮影が待っていると思うと苦ではなかったです。
-初めてのツーリングはいかがでしたか。
普段の撮影では、車でも実際に運転させてもらえることはそんなにないですが、この撮影では本当に運転させてもらいました。安全第一で走っているから緊張感はなかったかもしれませんが、初心者の割にはだいぶ乗れたと思うし、免許取りたてで日本各地を走れるなんて最高のぜいたくでした。
-素晴らしいロケーションでしたが、特に印象的な土地はどこでしたか。
日本って社会科でも習ったけど70パーセントが山じゃないですか。それにどこに行っても気候があまり変わるわけではないし、山とかに生えている植物はほぼ同じなんですよ。だからぶっちゃけ、県境を越えても特に感動はありませんでした(笑)。ただ、北海道は途端に風景が変わるのでテンションが上がりました。植物も違うし、バーンと抜ける平地の感じも本州では味わえない光景だし、麦が色づいている場所では「ビールのCMみたい!」ってうれしくなりました。
-一番美味しかった郷土料理は?
せっかくいろんな場所に行けるから地のものを食べたいと思っていましたが、そこはやっぱり撮影で、ほぼ弁当ばかりでした(笑)。その中で、少しでも撮影が早く終わると必死に居酒屋を探して、それらしいものを食べていました。富山では魚、北海道ではウニ丼、熊本と福島では馬刺し、高知ではカツオがおいしかったです。
-道中で出会う個性的な人々との触れ合いも見ものですが、演じる松尾諭さん、マキタスポーツさんらとの共演はいかがでしたか。
かなりハイペースで、1日の分量を撮り終えると即移動という感じだったので、疲れは隠し切れず、そこに「濃いキャラクターをやるぞ!」というゲストが次から次へと来るのでうっとうしかったですが、倒しても倒しても強いやつが来る空手の100人組手と思ってやっていました。でも、自分が行く先々で問題を起こす(映画『男はつらいよ』シリーズの)寅さんみたいな人だったら大変だっただろうけど、吉本は受け身で、皆さんが振り回してくれる分、やりやすくてノンストレスでした。
-吉本は思いを寄せる恵理(本仮屋ユイカ)に間違えて電話を掛けてしまってあたふたしたり、写真を隠し撮りしたりするなど恋に奥手ですが、共感できるところはありますか。
うざいですよね。僕と吉本は違います(笑)。ただ、撮影が終わって本仮屋さんからメールをもらった時には、吉本と同じ気分になってゾワッとしました。仕事の付き合いだし、絵文字やハートマークがあるわけではないけど、本仮屋さんの太陽のような笑顔が浮かんで、じっとり手に汗をかくというか…。それは吉本の気持ちが分かった瞬間ですね!
-濱田さんはご自分を変えたいと思ったことはあるのでしょうか。
ないですね。小さい頃から、よく言えばプラス思考、悪く言えばことなかれ主義。子どもの時は「チビ」と言われるのは嫌だったけど、今振り返ると、それを自分の“キャラ”だと思って居心地よく感じていたのかも。大人になって、声は変だし、背も低いし、どうやったら男としての格好良さや年相応の重みが出るんだ?と若さ故の焦りや不安から考えたこともあるけど、結局答えは出してないです(笑)。
-最後に視聴者にメッセージをお願いします。
日本一周をしている映画やドラマは、このご時世ではなかなか見られるものではないので、純粋に楽しんでいただけると思います。あと、最後の回は同じクルーが撮ったの?っていうぐらいふざけた感じになっているので楽しみにしてください。吉本が(名探偵)コナンになります(笑)。
(取材・文・写真/錦怜那)
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