【インタビュー】「東京ヴァンパイアホテル」夏帆&満島真之介 「キャストだけではなくスタッフもハイに」

2017年6月16日 / 19:22

 『愛のむきだし』や『新宿スワン』などの園子温監督による初のオリジナルドラマ「東京ヴァンパイアホテル」(全9話)が、6月16日からAmazonプライム・ビデオで一挙配信される。地球と人類の滅亡を図るヴァンパイアと、人類との熾烈(しれつ)な戦いを描く本作で、共にヴァンパイア役を演じ、本格アクションに初挑戦した夏帆と満島真之介が撮影の裏側を語った。

夏帆(左)と満島真之介

-まずは撮影の感想を教えてください。

満島 とても楽しんでやっていました。日本の作品でこういう役ができることはあまりないだろうと思ったので、持っているものを全て出してしまおうと。ヴァンパイアは日本の文化にはないものなので、妖怪や幽霊とは全然違うもの。それを演じられるのだからわくわく感しかなかったし、自分に外国の血が入っている部分は(ほかの役柄では)ずっと扉を締めていたので、楽しく演じさせていただきました。

夏帆 撮影をしながら園さんが台本を書かれていたこともあり、私は最初にもらった台本を読んだだけでは役柄がどういう方向に行くのかつかめなくて大変でした。ヴァンパイアになる理由は話が進むにつれて分かりますが、最初は謎が多いのでどう演じたらいいのか不安でした。でも、園さんの作品は現場で生まれるものを大事にすることが多いので、その場で相手役の方と作っていった感じです。完成した作品を見た時に「私ってこんな顔ができるんだ!」と今まで自分が見たことのない顔を撮ってもらったことにも驚きました。

-夏帆さんは園監督のドラマ「みんな!エスパーだよ!」以降、癖のある役柄にも挑戦しているように思いますが、意識の変化などはありましたか。

夏帆 役柄を選ぶ時に、自分のイメージにない役や新しい役をやろうというよりも、面白い作品に出たいという気持ちの方が強いです。だから、今回も特に新しい自分を見せてやろうという感じではなかったです。意識の変化としては、10代のころからこの仕事をしていますが、「ずっと続けていこう」という強い意識がないまま漠然と続けてきて…。でも、明確に「これ」というきっかけがあったというよりかは、いろんなタイミングが重なって、20代に入ってどんどん仕事が楽しくなってきました。

-満島さんは園監督作品には初出演ですが、いかがでしたか。

満島 僕は10代のころに、2年ほど園さんの助監督や台本の打ち込みをしている時期がありました。『冷たい熱帯魚』や『恋の罪』『ヒミズ』よりも前の時期です。そこから僕は旅に出てしまったので、その後は一緒にいられなかったのですが、その時の(園監督の)40代最後の葛藤や、日々のパワーを見ていたからこそ、時を経て今ここで(監督と役者として)会えることはとてつもない喜びでした。

-そのころから、演じる側に行こうという思いはありましたか。

満島 全く思っていなかったのですが、人生が流れていくうちに、演じる側に立っていました。今回、園さんから山田役の連絡が来た時は「ついにその時が来た!」という気持ちがあふれました。(園監督と)ここまで距離感の近い人は僕ぐらいしかいないと思うので…。園さんの昔からのうっくつした思いや、家庭環境などを全て知っている中で、山田というキャラクターは、園さんが残したかった全てをつぎ込んだ集大成のような気がしていたんです。そのぐらい山田役のオファーは、身が引き締まりました。

夏帆 そうだったんですね。私は実際に対峙(たいじ)してお芝居をするシーンが多くはなかったので知らなかったです。

満島 僕もそういうことを言うのは恥ずかしかったし、ちゃんと感じておこうと思って。だから、クランクアップの時はウルッときてどうしょうもなかった。廊下で神楽坂(恵)さんと話している時に、いろんなことがフラッシュバックしちゃったんです。スタッフもみんな泣き出して、園さんも感極まって「もうワンカットだけ撮っていいか!」と。そこで撮ったワンカットが本編に使われています。山田役と僕と園さんの全てが一体となった瞬間でした。

-アクションも見どころですが撮影はいかがでしたか。

満島 夏帆ちゃんの演じたKは、拳銃も刀も使うし、何でもありで。それなのに、アクションの練習をする時間がほとんどなくて、撮影中はずっと刀を持ってスタジオを歩いていました。少しでも空間と時間があれば振っていましたね。

夏帆 今思えばその時の精神状態って普通じゃなかったです(笑)。時間がないのもありましたけど、ギリギリの空気がそうさせるというか。撃たれても刺されても急所でなければ死なないので、撃たれながら斬ったりアクションを続けていくのは大変でした。

-最後に作品の見どころをお願いします。

満島 ただのヴァンパイア作品を作りたかったわけではなく、根底には園さんの強いメッセージがあると思います。日本と世界との関わりの中で、日本はこれからどうしていくべきか、そういう時事的なことや、観念的な物もしっかり入っています。僕の演じる山田のせりふもそういう思いがこもっていくものになっていきます。園さんが語りたいこと、叫びたいことを、山田を通すから言える。一石を投じるものになると思います。

夏帆 映画にもドラマの枠にもない、今まで誰も見たことのない作品になっていると思います。とりあえず1話を見てほしいです。

(取材・文/中村好伸)


関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

【映画コラム】実話を基に映画化した2作『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』『栄光のバックホーム』

映画2025年11月29日

『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』(12月5日公開)  太平洋戦争末期の昭和19年。21歳の日本兵・田丸均(声:板垣李光人)は、南国の美しい島・パラオのペリリュー島にいた。漫画家志望の田丸はその才能を買われ、亡くなった仲間の最期の雄姿を遺族 … 続きを読む

氷川きよし、復帰後初の座長公演に挑む「どの世代の方が見ても『そうだよね』と思っていただけるような舞台を作っていきたい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月29日

 氷川きよしが座長を務める「氷川きよし特別公演」が2026年1月31日に明治座で開幕する。本作は、氷川のヒット曲「白雲の城」をモチーフにした芝居と、劇場ならではの特別構成でお届けするコンサートの豪華2本立てで贈る公演。2022年の座長公演で … 続きを読む

岸井ゆきの「夫婦の“切実さ”が描かれている」宮沢氷魚「すごくやりがいがありました」すれ違っていく夫婦役で初共演『佐藤さんと佐藤さん』【インタビュー】

映画2025年11月28日

 大学で出会った佐藤サチと佐藤タモツはたちまち意気投合し、一緒に暮らし始める。ところが卒業後、弁護⼠を⽬指すタモツは司法試験に失敗。独学を続けるタモツに寄り添うため、サチも司法試験に挑むが、数年後、合格したのはサチだった。結婚、出産を経て弁 … 続きを読む

28歳で亡くなった阪神タイガースの元選手の実話を映画化! 松谷鷹也「横田慎太郎さんのことを知っていただきたい」前田拳太郎「誰かの背中を押す作品になるはず」『栄光のバックホーム』【インタビュー】

映画2025年11月28日

 プロ野球、阪神タイガースの将来を担う選手として期待されながらも、21歳で脳腫瘍を発症して引退、その後も病気と闘いながら講演会活動などを続け、2023年に28歳で亡くなった横田慎太郎の生きざまを描いた『栄光のバックホーム』が、11月28日か … 続きを読む

Willfriends

page top