【アニメコラム 先週の神回!】 「進撃の巨人」 #24「慈悲―ストヘス区急襲(2)―」

2013年9月25日 / 21:53

 「先週の神回!」というタイトルでコラムをスタートさせた以上、今期の“神アニメ”の呼び声高い作品を、放送中に挙げておかないわけにはいかないだろう。日本だけでなく、海外でも大ブレーク中の「進撃の巨人」だ。

 最終回の一歩手前となる第2話「慈悲―ストヘス区急襲(2)―」では、女型の巨人を捕獲するべく、調査兵団が一大作戦を決行。主人公エレンの葛藤と決断、そしてこん身の一撃までが、迫力の市街戦と並行して怒とうの勢いで描かれ、いや応なしに盛り上がる展開を見せた。関連ツイートも関東圏だけで放送中に1万2000回以上つぶやかれ、クライマックスと呼ぶにふさわしい回となった。

 見どころの多いエピソードだが、やはり立体機動装置による戦闘シーンのすさまじさが白眉と言えるだろう。女型の巨人の進撃を止めるべく、サーカスばりの連携技や、低空スレスレで(しかも地面に対して横体勢で!)飛び掛かるミカサなど、映画『スパイダーマン』シリーズに勝るとも劣らない、空中アクションのつるべ打ちには思わず目がくぎ付けになってしまう。

 イベントでプロデューサーが語ったところによれば、本作には通常の作品のおよそ倍のスタッフが投入されているとのこと。しかしアニメの制作現場とは常に人手とスケジュール不足に悩まされるもの。ましてこれだけのアクションを描く「進撃の巨人」ともなれば、制作現場が劇中の調査兵団のような修羅場であることは想像に難くない。そのことを重ね合わせると、我々は単にフィクション上の戦いを見ているのではなく、その作品を背負って、現実に戦っている人々のあがきを目撃していることになる。だからこそそれが鬼気迫る映像として伝わり、我々はそれを「神回」と呼ぶ。原作マンガが今も連載中なだけに、ひとまずの決着が最終回でどのように描かれるのか気になるが、いずれにせよ見届けておくべき熱量のアニメであることは間違いない。(野口智弘)


関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

稲垣吾郎「想像がつかないことだらけだった」ハリー・ポッターの次は大人気ない俳優役で傑作ラブコメディーに挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月13日

 稲垣吾郎が、2026年2月7日から開幕するPARCO PRODUCE 2026「プレゼント・ラフター」で傑作ラブコメディーに挑む。本作は、劇作、俳優、作詞、作曲、映画監督と多彩な才能を発揮したマルチアーティスト、ノエル・カワードによるラブ … 続きを読む

DAIGO「クリスマス気分を盛り上げてくれる作品なので、『パーシーのクリスマス急行』にぜひ乗車してください」『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』【インタビュー】

映画2025年12月12日

 イギリスで最初の原作絵本が誕生してから80周年を迎えた人気児童向けアニメ「きかんしゃトーマス」の劇場版『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』が12月12日から全国公開された。シリーズ初のクリスマスムービーと … 続きを読む

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

 元禄時代に実際に起こった仇(あだ)討ちを題材に歌舞伎などで取り上げられて以来、何度もドラマ化、映画化、舞台化されてきた屈指の名作「忠臣蔵」が、上川隆也主演、堤幸彦演出によって舞台化される。今回、吉良上野介を演じるのは、高橋克典。高橋はデビ … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。謎の絵師“写楽”が、蔦重の下で歌麿(染谷将太)ら当 … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

Willfriends

page top