【アニメコラム 先週の神回!】 「たまゆら~もあぐれっしぶ~」#9「心に灯す竹あかり、なので」

2013年9月10日 / 12:46

 広島県竹原市を舞台に、夢を追いかける少女たちを描いた「たまゆら~もあぐれっしぶ~」が、前作に続き安定したクオリティーで人々に感動を与えている。

 沢渡楓(さわたり・ふう)は、高校の写真部に所属する17歳。亡くなった父・和馬の故郷である竹原で、形見のカメラを手に毎日シャッターを切る。第9話は、和馬の旧友である夏目望(なつめ・のぞむ)というスーツ姿の男性が町を訪れ、いつもの「たまゆら」を(いい意味で)乱してくれる。

 夏目は、高校時代を和馬たちと一緒に竹原で過ごした。そのころは趣味で写真を撮っており、和馬が写真を始めたのは彼の影響だった。楓の撮った写真を見て「あいつの写真と同じだ。まったくひねりがない」と一蹴。だが厳しいことを言いつつも、楓の撮った写真の中に、いつしか自分が見失っていたものを見つける。

 テクニックにばかりに気をとられ、いつしか写真を撮ることをやめてしまった夏目にとって、写真が好きという気持ちで撮りたいものを素直に撮った楓の写真は、技術的につたなくても輝きを放っている。それは、亡き友の思い出とも重なっていた。

 年を取るにつれて、大切なものは変わってゆく。昔、自分が大切にしたいと思っていたものが何だったのか、忘れてしまうこともあるだろう。けれどそれはなくしてしまったわけではなく、胸の奥にしまい込んでいるだけで、実はきちんと残っている。長年、竹原を離れて暮らしていた夏目が、いつまでも故郷を忘れないのと同じように。

 「たまゆら」は、ささやかだがとても大切なメッセージを持つ作品だ。山と海に囲まれた穏やかな町で、まだ芽生えたばかりの夢を育ててゆく少女たちの姿は、大人になって忘れてしまっていた、それぞれの大切なものを思い出させてくれるだろう。(松田はる菜)

 


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#受験競争だけではない韓国の教育問題、「鉄槌教師」が問う教師の役割

2026年9月29日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

鈴鹿央士「絶対に映画館で見て損はさせない映画になっています」『藁にもすがる獣たち』【インタビュー】

映画2026年9月29日

 出会うはずのなかった登場人物たちが、1億円をきっかけに複雑に絡み合いながら“金の獣”と化していく数奇な運命を描いた、曽根圭介の同名小説を城定秀夫監督が実写映画化した『藁にもすがる獣たち』が全国公開中。本作で、主人公のチャンネル登録者数“2 … 続きを読む

向井理、演出家・倉持裕と再びタッグ 6人で描き出す会話劇に「戻ってきたな。こういうことがやりたかった」 M&Oplaysプロデュース「ブランク」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月29日

 向井理が主演するM&Oplaysプロデュース「ブランク」が、10月3日から開幕する。本作は、2023年に本多劇場で上演した「リムジン」に続き、向井と倉持裕が再びタッグを組んで贈る新作公演。ある弁護士事務所を舞台に、そこで繰り広げら … 続きを読む

「生きることはこんなに面白いと示したい」制作統括が「ブラッサム」に込めた思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月28日

 ついにNHKで放送開始となった2026年後期連続テレビ小説「ブラッサム」。明治、大正、昭和を駆け抜け、自由を求め続けた作家・宇野千代をモデルにした主人公・葉野珠(石橋静河)が、苦難の中でも「幸せのかけら」を見つけ、常に前に進むことで人々の … 続きを読む

石橋静河「皆さんに『一歩前進してみようかな』と思っていただけたら」連続テレビ小説主演に懸ける思い【連続テレビ小説「ブラッサム」インタビュー】

ドラマ2026年9月26日

 9月28日から2026年後期連続テレビ小説「ブラッサム」が、NHKで放送開始となる。主人公は、明治、大正、昭和を駆け抜け、自由を求め続けた作家・宇野千代をモデルにした葉野珠。彼女が苦難の中でも「幸せのかけら」を見つけ、常に前に進むことで人 … 続きを読む

page top