【週末映画コラム】“お試し移住”の結末は…『サンセット・サンライズ』/ドナルド・トランプの若き日を描く『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』

2025年1月17日 / 08:00

『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』(1月17日公開)

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 1970年代。気弱で繊細な若き実業家ドナルド・トランプ(セバスチャン・スタン)の父が営む不動産会社が政府から訴えられ破産寸前に追い込まれていた。

 そんな中、トランプは政財界の実力者が集まる高級クラブで、悪名高き弁護士のロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)と出会う。勝つためには手段を選ばない冷酷な男として知られるコーンは意外にもトランプを気に入り、彼の顧問弁護士となる。

 コーンによって服装から生き方まで洗練された男に仕立て上げられたトランプは数々の大事業を成功させるが、やがてコーンの想像をはるかに超える“怪物”へと変貌していく。

 米大統領に再選されたトランプの若き日を描く。監督はアリ・アッバシ。この映画の原題は「アプレンティス=徒弟」。つまりトランプはコーンの徒弟だったということ。何しろ初対面のときにコーンはトランプを「哀れな坊や」と呼ぶのだ。今のトランプからは想像もつかない。

 そしてコーンは、「アメリカの精神は資本主義、強権、真実、正義」「アメリカが一番」と豪語し、勝利のための三つのルールとして、その1「攻撃」、その2「非を認めない」、その3「決して負けを認めない」をトランプに伝授する。

 これらは前回の大統領時のトランプの政策や行動、そして今回の大統領選の姿勢とも通じていて驚くが、何よりトランプ陣営がよくこの映画の公開を許したものだと別の意味で感心させられたし、トランプを演じたスタンがだんだんと似てくるところにも驚かされた。

 70年代の荒れたニューヨークの再現に加えて、「ロック・ユア・ベイビー」(ジョージ・マクレー)や「誘惑のブギー」(バカラ)といった懐メロが流れ、アンディ・ウォーホル、メディア王ルパート・マードック、ニューヨーク・ヤンキースの名物オーナー・ジョージ・スタインブレナー、エド・コッチニューヨーク市長らに扮(ふん)した俳優が姿を見せるのも面白かった。

 それにしても、まるで大統領就任式に合わせたかのような日本公開はいささかでき過ぎの感がある。蛇足だが、『グレムリン2 新・種・誕・生』(90)ではトランプをモデルにした“ダニエル・クランプ”が登場し、『ホームアローン2』(92)にはトランプ本人が顔を出す。
(田中雄二)

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