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『ライオン・キング:ムファサ』(12月20日公開)
息子のシンバを命がけで守ったムファサ王。かつて流浪の身だった彼の運命を変えたのは、後に彼の命を奪うスカーとの出会いだった。
両親とはぐれ一人さまよっていた幼いムファサは、王家の血を引き思いやりに満ちたタカ(後のスカー)に命を救われる。
血のつながりを超えて兄弟の絆で結ばれた2匹は、冷酷な敵ライオンから身を守るため、群れを捨て新天地を目指してアフリカ横断の旅に出る。
英語オリジナル版ではアーロン・ピエールがムファサ、ケルビン・ハリソン・Jr.がタカの声を演じ、マッツ・ミケルセン、ビヨンセ・ノウルズ=カーターも出演。日本語吹き替え版では尾上右近がムファサ、「Travis Japan」の松田元太がタカの声を担当した。
監督は『ムーンライト』(16)のバリー・ジェンキンス。『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(17)のジェフ・ナサンソンが脚本、『モアナと伝説の海』(16)のリン=マニュエル・ミランダが音楽を担当。
アニメーション映画『ライオン・キング』(94)に始まって、ミュージカル舞台化、テレビアニメやビデオでのスピンオフや続編、実写とCGを組み合わせた超実写映画『ライオン・キング』(19)を経て、この映画にたどり着いた。これらに一貫して流れるテーマは「サークル・オブ・ライフ=生命の円環」だ。
これらの前日譚となるこの映画は、まるで「スター・ウォーズ」シリーズのような親子孫にまたがる因果応報話。オープニングで、前作でムファサの声を担当したジェームズ・アール・ジョーンズに献辞がささげられていたが、彼は「スター・ウォーズ」シリーズでダース・ベイダーの声も担当していた。こんなところでも両作はつながるのかと感じた。
ライオンたちがちゃんと口を開いて人間の言葉を発するところに、最初は違和感を覚えるが、だんだんと慣れてきて、最後はよくもまあこんな映像を作ったものだと感心させられる。
(田中雄二)