【映画コラム】大泉洋が適役の『ディア・ファミリー』/伝統的なアメリカンファンタジー『ブルー きみは大丈夫』

2024年6月14日 / 08:01

『ブルー きみは大丈夫』(6月14日公開)

(C)2023 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 母を亡くし心に深い傷を抱える少女ビー(ケイリー・フレミング)は、巨大な謎の生き物ブルー(声:スティーブ・カレル)と出会う。ブルーと彼の仲間たちは、想像力豊かな子どもたちによって生み出された“空想の友だち”だったが、子どもが大人になって彼らを忘れるとその存在が消滅する運命にあった。ビーは謎の隣人(ライアン・レイノルズ)の助けを借りながら、ブルーの新たなパートナーを見つけるべく奔走するが…。

 ジョン・クラシンスキー監督が、実写とCGを融合させて描いたファンタジー。カレルのほかにも、マット・デイモン、エミリー・ブラントらが声優をしているのも見どころだ。

 劇中、誰にも見えない大ウサギが見える男(ジェームズ・スチュワート)が主人公の名作『ハーヴェイ』(50)が示唆的に映る。また、子ども時代との別れという点では「トイ・ストーリー」シリーズ、空想の友だちの存在を描いた点では『僕のボーガス』(96)といった過去の映画と通じるところもある。

 その意味では、もちろん今を描いた映画ではあるが、伝統的なアメリカンファンタジーの系譜に連なる映画だともいえるだろう。

 全ての謎が明かされるエンディングに泣かされる。空想の友だちの一人を演じた名優ルイス・ゴセット・ジュニアの遺作となった。

(田中雄二)

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