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『シャクラ』(1月5日公開)
少林寺で修業し、丐幇(かいほう)の幇主となった喬峯(きょうほう=ドニー・イェン)は、仲間からも慕われる英雄的な存在だったが、ある日、副幇殺しのぬれぎぬを着せられる。さらに、漢民族ではなく契丹人であるという出自まで暴かれ、丐幇から追放された喬峯は、自分を陥れた黒幕の行方と自身の出生の真実を求めて旅に出る。
ところが、敵のわなにはまり、養父母と少林寺の師匠殺しの容疑をかけられた喬峯は、自らが繰り出した大金剛拳によって重傷を負った阿朱(チェン・ユーチー)を救うため、敵が集結する聚賢荘へと向かう。
『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』(16)『ジョン・ウィック コンセクエンス』(23)など、ハリウッド大作でも活躍する香港のアクションスター、ドニー・イェンが、製作・監督・主演を務めた武侠アクション。
香港を代表する武侠作家・金庸の長編小説『天龍八部』を原作に、4人の主人公のうちの1人である無敵の武芸者・喬峯の活躍を描く。「るろうに剣心」シリーズなどでアクションシーンを担当した谷垣健治がアクション監督を務めた。
ドニー演じる喬峯は、武芸の達人であるばかりでなく超能力も使う。それ故、生身とワイヤとCGを組み合わせたすさまじいばかりのアクションが展開する。加えて、馬を駆使したアクションもあり、音楽にはマカロニウェスタン風なところも。おまけに喬峯と阿朱との恋模様もあり、まさに何でもありの伝奇ロマンという感じだ。とにかく喬峯が強過ぎて、あぜんとさせられる。
登場人物が多い割には、彼らに関する説明が足りないので、ストーリーには分かりづらいところもあるが、原作は、4人の主人公がいる大長編で、ドニーはこの映画を中国版のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の一編として考えているらしいので、どうやらこれは“序章”という位置づけになるようだ。それにしてもすさまじい序章だ。
(田中雄二)