知的好奇心を刺激される『林檎とポラロイド』/すさまじい暗さが魅力の『THE BATMAN ザ・バットマン』【映画コラム】

2022年3月10日 / 08:49

『THE BATMAN ザ・バットマン』(3月11日公開)

(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC

 ミステリアスな青年ブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)が、殺害された両親のための復讐(ふくしゅう)を誓い、悪と敵対する存在“バットマン”になって2年が過ぎた。

 ある日、権力者が標的となった連続殺人事件が発生。その犯人は、史上最狂の知能犯を名乗るリドラー(ポール・ダノ)だった。 彼は犯行の際、必ず“なぞなぞ”を残し、警察や探偵としてのブルースを挑発する。

 リドラーの最後のメッセージは「次の犠牲者はバットマン」だった。彼は一体何のために犯行を繰り返すのか? そして暴かれる、政府の陰謀とブルースにまつわる過去の悪事や父親の罪…。全てを奪おうとするリドラーを前に、ついにブルースの良心が狂気へと変貌していく。

 DCユニバースの“新たなバットマン”で、上映時間は何と3時間! 監督はリブート(再起動)版『猿の惑星』のマット・リーブス。この映画も、ある意味リブート版だ。

 今回は、探偵としてのブルースをクローズアップし、フィルムノワールの雰囲気を漂わせながら、謎解きを展開させる。また、ブルースと刑事(ジェフリー・ライト)とのバディ物としての要素もある。キーワードは「うそ」と「復讐」だ。

 リドラー役のダノのほか、コリン・ファレル(ペンギン)、ジョン・タトゥーロ(ファルコン)が敵役を演じ、ゾーイ・クラビッツがキャットウーマンを演じる。

 もともとバットマンはダークヒーローだから、これまでのバットマン映画にも暗部は多々あったのだが、今回はストーリーも画調も、すさまじく暗い。だから3時間の間、ずっと気が晴れることはないのだが、逆にそれがこの映画の魅力になっている。いろいろな意味で、『ジョーカー』(19)の影響が大きいと感じた。

(田中雄二)

 

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