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【映画コラム】“無名の戦士たち”による無償の戦いを描く『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』

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 シリーズ第1作『エピソード4/新たなる希望』(77)の直前までを描く『スター・ウォーズ』シリーズの最新作『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』が公開された。監督は日本びいきでも知られる『GODZILLA ゴジラ』(14)のギャレス・エドワーズ。

 『エピソード4~』でレイア姫(キャリー・フィッシャー)がR2-D2に託した帝国軍の究極兵器デス・スターの設計図は、誰がどのようにして入手したのか。その謎が40年を経た今明かされる。

 本作の主人公は、図らずもデス・スターを設計した科学者(マッツ・ミケルセン)の娘でタフな戦士となったジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)。彼女たちが、反乱軍のローグ(ならず者)による極秘チーム、ローグ・ワンを結成し、設計図を奪うという生還不可能なミッションに挑む。“フォース”は持たないが、チームワークで頑張る“無名の戦士たち”による無償の戦いが描かれる。

 ミケルセンのほかにも、ドニー・イェン、フォレスト・ウィテカーらが渋く脇を固め、新登場のロボットK-2SOもいい味を出す。久しぶりにダース・ベイダー(声=ジェームズ・アール・ジョーンズ)が登場するのも見どころだ。

 ところで、『エピソード4~』は黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』(58)に影響を受けて製作され、主人公ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)は柔道着のようなコスチュームを着ていたが、今回も黒澤の『七人の侍』(54)を思わせるところが多々あり、コスチュームなどにも日本(東洋)的な雰囲気が感じられた。

 同じく『七人の侍』の流れをくむ『マグニフィセント・セブン』も1月27日から公開される。こうしたハリウッド映画による黒澤イズムの継承はうれしい限り。

 また、『スター・ウォーズ』のキャラクターたちのマスクの下やヘルメットの中に隠された“中の人たち”に焦点を当てたユニークなドキュメンタリー『エルストリー1976 新たなる希望が生まれた街』も公開中。本作と併せて見るのも一興だ。

 とはいえ、さまざまな事情もあり、ここでは多くは語れない。本作はシリーズから独立した“もう一つの物語”としても十分に楽しめるので、ぜひ映画館で確かめてほしい。(田中雄二)