【芸能コラム】再放送で見直したい!親子げんかに込められた作品の魅力 「カーネーション」

2018年4月13日 / 16:58

 さらに、その丁寧な脚本を人間味あふれるドラマに仕上げたのが、俳優陣の好演だ。真っすぐな糸子を文字通り体当たりで演じる尾野。商売下手だが家庭では威厳を見せたがる内弁慶な性格の善作を、愛情深く憎めない人物として演じる小林。親子げんかが愛情にあふれたものになったのは、この2人の入魂の演技があればこそだ。

 糸子と善作の親子げんかに象徴される、家族愛を基本とした丁寧な脚本と俳優陣の好演。それが本作を魅力的な作品に仕上げ、多くの視聴者を引きつけた大きな要因と言えるのではないか。

 その基本線に沿って、糸子の幼なじみの奈津(栗山千明)、勘助(尾上寛之)や、糸子の3人の娘・優子(新山千春)、直子(川崎亜沙美)、聡子(安田美沙子)らが繰り広げるドラマも見応えたっぷり。そして忘れてはいけないのが、糸子と仕立て職人、周防龍一(綾野剛)の許されざる恋…。朝ドラらしからぬ展開で話題を呼んだ不倫劇や戦争をめぐるドラマなど、一見ネガティブと思える出来事に正面から向き合ったことも物語に深みを与え、作品の人気に貢献した。

 優秀な番組に贈られるギャラクシー賞テレビ部門大賞を朝ドラとして初めて受賞するなど、人気だけでなく高い評価も得た「カーネーション」。本放送から約6年を経た今、当時見ていなかった人にはこの機会にその魅力に触れてもらうとともに、見ていた人も改めて見直してみると、また新たな発見があるに違いない。(井上健一)

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