【芸能コラム】「愛と寛容さ」でつながる2017年日米の代表作『シェイプ・オブ・ウォーター』と「おんな城主 直虎」

2018年4月6日 / 16:06

 3月5日(日本時間)に発表された米国の第90回アカデミー賞で、作品賞を含む4部門を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)が全国で公開中だ。米ソ冷戦の時代を背景に、孤独な女性イライザ(サリー・ホーキンス)と米国政府機関に捕らわれた半魚人(ダグ・ジョーンズ)の種族を超えた愛を、美しい映像と音楽に乗せてつづったファンタジーである。(なお、本稿で便宜上“半魚人”と呼ぶキャラクターの正式名称は、作品公式サイトなどによると“不思議な生きもの”である)。

(C)2017 Twentieth Century Fox

 本作における人間のイライザと半魚人の関係には、人種問題やLGBTの問題をはじめとするさまざまな差別や偏見を克服してほしいという願いが込められている。それは、ギレルモ・デル・トロ監督が劇場用パンフレットのインタビューで次のように語っていることからも明らかだ。

 「『シェイプ・オブ・ウォーター』は愛や寛容さをテーマにして、政治的な要素のほかに、さまざまな映画の要素を持った力強い“おとぎ話”なんだ」

 この言葉にある「愛や寛容さ」とは、「自分と違う他人を受け入れる」、「多様性を認め合う」と言い換えることもできるだろう。

 筆者も、その思いに心打たれた1人だ。そしてこの作品を反すうする中で、ふと気付いた。日本にも似た物語があったではないか…と。それが、NHKで昨年放送された大河ドラマ「おんな城主 直虎」である。

 
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