【映画コラム】猿の姿を借りて繰り広げられる“人間ドラマ”『猿の惑星:新世紀(ライジング)』

2014年9月20日 / 20:18

(C) 2014 Twentieth Century Fox

 ウイルスのまん延、世界各地で続く紛争など、今日的なテーマを含んだ映画として新たによみがえった『猿の惑星』シリーズの第2弾『猿の惑星:新世紀(ライジング)』が19日から公開された。

 高度な知能を獲得した猿のシーザー(アンディ・サーキス)が仲間を率いて人類に反乱を起こしてから10年。森の奥地に巨大なコミュニティーを築き、さらなる進化を遂げた猿たちと、絶滅の危機にひんした人類の生存者グループが遭遇し、一触即発の危機が訪れる。

 オリジナルの『猿の惑星』(68)は、猿が人間を支配するという奇抜な設定、リアルな猿のメーキャップ、衝撃のラストシーンなどが相まって大ヒットを記録。後にシリーズ化され『最後の猿の惑星』(73)まで計5作が製作された。

 その後、ティム・バートン監督による再創造版『PLANET OF THE APES/猿の惑星』(01)を経て、前作の『猿の惑星: 創世記(ジェネシス)』(11)が製作され、本作へとつながる。

 本作のようにオリジナルとは全く異なる視点から新たに創造されたものは“リブート(再起動)映画”と呼ばれるが、この題材がこうして繰り返し映画化されるのは、猿と人間の立場の逆転という衝撃的な設定の奥に、支配する者とされる者、差別や偏見といった普遍的な問題が内包されているからに他ならない。

 さらに今回は、人類と猿との間で生じる共存か戦いかという葛藤に加えて、猿同士の権力争いが大きなテーマとして描かれ、猿たちの外見や表情も最新デジタル技術でよりリアルで繊細なものとして表現されている。

 ここまで来ると、もはや猿の姿を借りて繰り広げられる“人間ドラマ”と言っても過言ではないのだが、暴力と報復の連鎖の中で発揮されるシーザーの見事なリーダーシップが救いとなる。

 また本作は、『ハンガー・ゲーム』や『ダイバージェント』など、最近数多く製作されている“続き物”の一種でもある。ラストは解決ではなく“これからどうなる”という期待とともに終わる。果たしてシーザーの運命やいかに。『猿の惑星』シリーズはまだまだ続くのだ。(田中雄二)


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