【エンタメコラム】最新技術で迫力を増した映像と音響、時を重ねて深みが加わった物語。『銀河鉄道999』ドルビーシネマ版を劇場で体感!

2022年1月15日 / 13:12

 公開当時、鉄郎に自分を重ねた少年少女もすでに一人前の大人。今となっては鉄郎への憧れだけでなく、これまで積み重ねてきた自分の人生を振り返り、シャドーやリューズの後悔と悲しみに共感を覚える人もいるに違いない。

 また、999号の食堂車で働く美しいガラスの体を持つ少女クレア(声:麻上洋子)は、親の見栄でガラスに変えられてしまった体を生身に戻したいと願っている。このクレアを見ていると、世の中には彼女の親のような大人もいるのではないかと思えてくる。

 こうして、旅の途中でさまざまな人々との出会いを重ねた鉄郎は、当初望んでいた機械の体と永遠の命の無意味さを知り、限りある命を精いっぱい生きることの尊さを学んでいく。

 鉄郎の真っすぐな生きざまや、永遠の命を得た者の寂しさと悲しみは、コロナ禍に直面し、生きること自体が困難になった今こそ、見る者の胸に響くものがあるはずだ。裕福な機械人間が貧しい生身の人間を支配する世界観も、社会格差が拡大した今見ると、よりリアリティーを持って迫ってくる。

 最新技術で迫力を増した映像と音響、40年以上の時を重ねて深みが加わった物語。1月21日から続編『さよなら銀河鉄道999 -アンドロメダ終着駅-』(81)のドルビーシネマ版も順次公開される今が、この名作を改めて体感する好機。ゴダイゴの名曲「銀河鉄道999/THE GALAXY EXPRESS 999」が流れるエンドロールでは、熱いものがこみあげてくること必至だ。

(井上健一)

(C)松本零⼠・東映アニメーション

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