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第三十八回で、約30年ぶりに東京に戻り、栄一たちと再会したシーンも印象的だった。第一回の冒頭、馬上の慶喜を栄一が追い掛けてきた場面や、一橋家に仕官した栄一と面会した際の慶喜のそっけない態度(第十四回)を思い返すと、栄一に対する信頼や感謝、愛情など深い感情がにじむこのときの慶喜の姿には、2人が積み重ねてきた長い時間を感じさせる説得力があった。
ドラマは残り3回。これから栄一は、慶喜が一度は断った伝記編さんに乗り出すはずだ。それと共に、多くの視聴者を魅了した栄一と慶喜、2人の主従のドラマもクライマックスへと向かっていく。
吉沢と草なぎは、それぞれインタビューで2人の最後のシーンについて「言ってみればこの作品のテーマを語っている場面」(吉沢)、「同志として、役を超えたところで亮くんとお芝居ができたような気がします」(草なぎ)と語っているが、栄一と慶喜の主従のドラマがどんな結末を迎えるのか。別れを惜しみつつ、その行方をしっかりと見届けたい。(井上健一)