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そしてもう一つが、冒頭に記したクライマックスで、千代が栄一に語った次の言葉だ。「おまえ様、道は決して、真っすぐではありません。(中略)曲がったり、時には間違えて引き返したって、よいではありませんか」
これらを併せて考えると、「人として間違ったことはせず、もし進む道を間違えた場合は、素直に認めて行いを正し、恥ずかしくてもそれを受け入れて生き抜く」といったあたりが、これからの栄一の生き方の指針となるに違いない。そしてこれは、今を生きる私たちにも通じるものだ。
“生き抜く人”渋沢栄一のドラマは、次回から始まる「一橋家臣編」で本格的に幕を開ける。ここで手に入れた生き方の指針を胸に、栄一が幕末から明治維新という大波をいかに乗り越えていくのか。栄一同様、自分自身もこの指針を心に留めつつ、その行方を見守っていきたいと思う。(井上健一)