家入レオの通算7枚目のシングル「純情」は、パワフルなだけでなく、どこか切なさも感じさせるナンバー。10代ラストの彼女が、この曲に込めた思いとはー!?
― 今回の新曲は、まず、「純情」というタイトルがとてもインパクトがあるなと感じました。
「純情」という言葉が出てきたのは、実は無意識なんです。スタジオにいたときに、13歳の時から一緒に曲作りをしている西尾(芳彦)プロデューサーから、「今作っている曲があるんだけど、聞く?」って言われて、聞いてみたら、すごく歌いたい衝動に駆られて。その場でメロディーを覚えて、レコーディングブースに行ったんです。まだ歌詞もできていないので、ららら…で歌ったんですけど、その音源をあらためて聞いていたら、「純情」という言葉を入れて自分が歌っていたんですよね。無意識に自分の中から出てきた言葉って、自分が今、一番歌うべきことなんじゃないかな…と思いましたし、向き合わなくちゃいけないんじゃないかと思って、「純情」について歌詞をつづっていきました。
― そういう感覚にとらわれて歌詞を書くのは、珍しいアプローチでしたか?
珍しいですね。今回は作曲に携わってないんですけど、いつもは曲作りにも参加していることが多く、ギターを弾きながら同時進行的に歌詞も考えたりするので。今回は、なんで「純情」というワードが出てきたのかなって、自分でもすごく考えたんです。子供って、自分のことを純粋だと思って生きているわけじゃないですよね。ある日を境に、真っ白でいたいと思わないと、真っ白でいられなくなる日というのが、誰にでも来る。だから、日々葛藤しないと純粋でいられないのが、「純情」なんだなって。私自身も葛藤していかないと…というのがショックでもあって。20歳という節目を迎えるに当たって、これから自分がどんなふうに生きていきたいか、どんな道を選んで生きたいかというのを、この「純情」という作品でつづれたらいいなと思いました。
― もしかしたら、ご自身が今、10代ラストというのも影響しているかもしれないですね。
そうですね。10代ラストということに、個人的にすごく焦っている部分があるんです。もっと吸収したいという思いもあったりします。高校在学中にデビューしたので、いろいろなことのスピードが速い状況でここまできたので、何か大きなものに飲み込まれていくような感覚がすごく怖くて。“変わりたくない、変わりたくない”って、外に発することが多かったんですけど。大人になれない自分のいら立ちとかあって、人と摩擦を起こしてしまうことが自分らしさだと思い込もうとしたり、誰かと言い争うことで強さを示そうとしたり。でも、3rdワンマンツアーで、純粋に私の音楽を求めてくださっている方の表情を見たときに、そんな自分がすごく恥ずかしくなったんです。変わりたくないって、私はよく言うけど、自分の中に一つ絶対に変わらない「純情」があれば、そのほかの考え方とか価値観は仮に変わったとしても「私」だと思えたら、すごく楽になって。自分らしさがあるからこそ、人間関係がうまくいかなくてつまずくことってあると思うんですけど、でも、自分らしさを捨ててしまったら、自分が自分で生きていく意味がなくなってしまう。苦しんでも、もがいても、自分らしく生きていくんだ…と宣言したのが、今回の曲です。
― 高校生のころから大人たちのいる世界に飛び込んで活動するのは、大変だったと思うんです。でも、少し年月もたって、客観的に状況を捉えられる余裕みたいなものが生まれたのかもしれないですね。
そうですね。人のことを信じられるようになったというか、以前はリリースした瞬間に思いが届かないと納得がいかないことが多かったんです。でも、例えば今、百パーセントの思いが届かなくても、リスナーの方がある日のふとした瞬間に、「家入が言ってたことって、こういうことかな?」って思ってくれたら、長い目で見て伝われば、それでもいいのかなって思えたことがすごく大きいです。
― レコーディングでこだわったところはありますか?
この曲は私の曲の中でも一番リズムが速いので、バックの音と一緒に歌うとせかせかして聞こえてしまうんですね。もちろんリズムが遅れてはいけないんですけど、髪の毛一本分だけずらして歌うような意識で歌ったんです。
― 歌声も力強さだけでなく、どこか切なさを感じるところもあって印象的でした。
今までは世界中の人に聞いて!という感じで自分の思いをぶつけることが多かったんですけど、「純情」は暗い部屋の中で自分で自分に課題を課すようなイメージなんです。「純情」を守り抜くことはすごく覚悟が要ることだよ、大丈夫というのを問い掛けている内容だから、とても静かで厳しくて優しい決意になったかなと。前まではちょっとトゲトゲしているというか(笑)、決意せずにいられない!みたいな感じだったんですけど。もっと重くて、熱いものになりました。この曲を聞いて、苦しくてもつらくても、自分らしさを再確認して、前に進んでいく勇気を持っていただけたら。私も同じように葛藤しているので、一人じゃないんだよと伝えたいですね。
― 最後に、素顔も探るために、表題曲とカップリングの歌詞のキーワードから、テーマトークをお願いしようかなと思います。
①「泣いたって」→最近、涙した出来事といえば?
最近、泣いてないな~。でも、涙もろいんです。それこそ、感情が敏感になっているときは、街中でおじいさんやおばあさんとすれ違っただけで泣きます(笑)。なんか、すごく切なくなっちゃうんですよね。
②「怖がってるの」→怖いものといえば?
「びっしり」という言葉! 鳥肌が立っちゃうんですよ~。ブツブツしたものが苦手で、それを思い浮かべるような言葉がダメですね。
③「夢の中」→最近、見た夢は?
そうですね。最近見た夢…。眠りが結構浅いんです。夏が近いので、夏フェスで歌っている夢とか見ましたね。あとは、流しそうめんをしたり、スイカ割りをしたり、夏をエンジョイしている夢も見ました(笑)。意外とアクティブです。
④「運命」 →最近、運命を感じたことといえば?
エレキギターを買いました! レスポールを1本持っていたんですけど、ライブで弾くにはちょっと重いなと思って探していて。あるお店に行ったときに、珍しくすごく状態のいいビンテージのムスタングと出合って、まさに運命的な出合いだなと思って購入しました。これから相棒としていけたらと思います!
⑤「花」→ 自分を花に例えると?
え!? この質問、すごく難しいですね。発言を間違えると、ナルシストになりそう。
― 大丈夫ですよ(笑)。
えー、なんだろう!?
― 実は、家入さんのイメージに合うなと思う花があるんですけど。
なんですか?
― アマリリス。華やか過ぎず、地味でもなく、りんとした風情がぴったりだなと。
それでお願いしてもいいですか?。自分で考えると、花が思い浮かばなくてチューリップとかぐらいしか出てこないから(笑)。
いえいり・れお シンガーソングライター。2012年2月にシングル「サブリナ」でデビュー。同年12月に、日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞した。今年3月から4月にかけて行われた全国ツアーでは約1万7千人を動員。
Release
純情(通常盤)
(12cmシングル)
¥1,200+税
(CD+DVD)
¥1,700+税
12cmシングル+「ドラゴンボール改」オリジナル書き下ろしジャケット仕様
¥1,200+税
¥4,600+ 税
¥4,000+税
発売元:Colourful Records
文◎田沼清美
写真◎かしわだにたかし