山崎育三郎&明日海りお&古川雄大「日本人の僕たちが作る作品を海外に持っていきたい」 ミュージカル「昭和元禄落語心中」【インタビュー】

2025年2月26日 / 18:00

 日本ミュージカル界をけん引する山崎育三郎、明日海りお、古川雄大が、新作オリジナルミュージカル「昭和元禄落語心中」で初共演を果たす。本作は、戦前から平成に至る落語界を舞台に、人々の多彩な生きざまを描いた大ヒット漫画を原作にしたミュージカルで、芸に打ち込む者たちの業や絡み合う愛憎、因縁といった骨太な人間ドラマを展開する。原作は、2016年、17年にアニメ化、2018年にドラマ化され、山崎はドラマ版にも出演。本作と同じく助六を演じた山崎、そしてみよ吉役の明日海、八雲役の古川に公演への思いを聞いた。

(左から)古川雄大(ヘアメーク:平山直樹[wani])、山崎育三郎(ヘアメーク:松原美穂)、明日海りお(ヘアメーク:奥原清一(suzukioffice) (着物スタイリング:森由香利) (C)エンタメOVO

-山崎さんが「この原作をミュージカルに」という提案をされたそうですが、改めて本作の製作に至った経緯や思いを聞かせてください。

山崎 7年前のドラマに出演させていただいたときに、この作品はきっとミュージカルにしてもとてもすてきな作品になるだろうという直感がありました。そうした思いをずっと抱えていたのですが、お二人と一緒に新しい作品を作るという中で、自分がずっと温めていたこの作品を提案させていただいたところからスタートしました。ふと考えたときに、お二人ともすごくハマり役だと感じたことも大きかったです。

-明日海さん、古川さんは最初にお話を聞いたときはどのように感じましたか。

明日海 以前に雑誌の取材で(山崎と)対談させていただいたときに、「いつかみんなで一緒にやりましょう」とお声がけいただいてすごくうれしかったのですが、これだけミュージカル界で主演を張られているお二人が共演されるとき、たくさんいるすてきな女優さんたちを差し置いて私で大丈夫かなという気持ちがありました。それに、和物をやるというのもすごく意外で。普段、出演しているミュージカルとはまた違うので、習得しなくてはいけないものもたくさんありますし、その時代のことも学ばないといけないと思ったので、これは大変になるぞと思いました。ただ、もちろん育さま(山崎)が夢にしていらしたことがかなう瞬間にご一緒させていただけるのは本当に幸せです。

古川 僕はこれまで何度も(山崎と)ご一緒させていただく中で、(山崎の)そうした想い(おもい)を聞いていたので、やっと実現するんだという思いと、このお二人とお芝居できちんと向き合うということへの期待や楽しみがありました。それに、日本初となる作品を作れるのはすごくありがたいことです。不安なことももちろんありましたが、今は全てがプラスの方向にいっている気がします。面白い作品ができると思います。

-それぞれの演じる役柄をどのように捉えていますか。

山崎 助六は本来の僕に近いところがあると思います。前向きでポジティブ。助六は「自分は観客のために落語をやっているんだ。それが全て。そして、時代とともに落語は変化しなければいけない」という信念を持っていますが、僕もエンターテインメントは時代とともに変わっていかなければいけないと思っていますし、その助六の言葉に救われました。ただ、「臭い」と言われるシーンがあるんですが、それは違います(笑)。今日は髪がボサボサですが、普段はすごくきれいです(笑)。

明日海 腹が据わったところもあり、女のダメな部分や女のもろい部分が味になっている女性だと思いますが、みよ吉にもいちずですごくかわいらしい面もあります。今回のミュージカルでは、(脚本・演出の)小池修一郎先生が、辰巳芸者風情を強く描かれていますので、そうしたところがお客さまがどのような印象を持たれるのか楽しみです。二人(助六と八雲)との関係性がどう変わっていくのか、私自身も試行錯誤しながら挑戦させていただいています。

古川 八雲はそれまで続けていた踊りがけがでできなくなり、縁があって七代目八雲に弟子入りすることになって落語と出合います。同時に天才・助六と出会い、葛藤しながらも落語の魅力に魅了されていくという人物です。クールで真面目でプライドが高く、すごくストイックで黙々と稽古をします。助六に、独特の色気を持っていることに気付いてもらって後押しされ、さらにみよ吉と恋愛することで、自分なりの落語を見つけていきます。さまざまな人に動かされて、影響を受けて、落語を背負ってしまうという役柄なので、皆さんのお力をお借りして作っていけたらと思っています。今、この役と向き合っていると改めてすごく難しい役だなと感じています。江戸っ子言葉を話すということもあり、技術的な難しさもあるので、まずはそれを体に染み込ませて、その後はフラットに舞台に立てたらと思っています。

-先ほど、山崎さんからお二人はハマリ役だというお言葉がありましたが、ご自身ではいかがですか。

明日海 最初に台本を読んだときは、なかなか理解の難しい、自分とはかけ離れた女性だと感じ、演じるためにはすごくエネルギーを使うのではないかと思いましたが、原作を読めば読むほど、みよ吉の心の奥底にあるいじらしいところや男前なところなどが感じられて、今はすごい人だなと思っています。ただ、あまり自分の役だけを思いすぎず、お二人からその時々でいただいたもので役を構築して、新鮮にお芝居ができるようになれたら一番良いのだと思います。

古川 僕自身、性格が暗いので、ハマっているんですかね(笑)? クールで影のある役を演じることが多いかもしれないですね。

 
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