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瀬戸内海に浮かぶ広島の小さな島を舞台にしたヒューマンドラマ『とべない風船』が1月6日から公開される。妻子を亡くした地元の漁師・憲二(東出昌大)と、疎遠だった父が暮らす島を訪れた元教師の凛子。共に心に傷を負った2人が、互いに交流する中で再生していく物語だ。凛子を演じたのは、『ドライブ・マイ・カー』(21)でブルーリボン賞助演女優賞を受賞するなど、近年目覚ましい活躍が続く若手俳優の三浦透子。舞台となる広島に「縁を感じている」と語る彼女に、作品に込めた思いを聞いた。
広島という場所で、広島在住のスタッフの皆さんと撮影できることが一番の魅力でした。というのも、広島は個人的にすごく縁を感じている土地なんです。映画の撮影もこれで三度目ですし、子どもの頃、広島ガスのCMのお仕事をしていたこともあって。そして何より、撮影していて、土地の力をすごく感じるんです。ここで撮れたからこそ生まれたシーンや、瞬間だと思うような体験ができる場所だという印象がすごくあって。
広島を舞台に脚本を書き、スタッフもほとんどが広島在住の方、さらに地域の方々の協力を得て撮影する。そんなふうに「広島のみんなで映画を撮る」という状況を作ったところに、広島への思いがものすごくあふれていますよね。その上、「映画を撮りたい」という熱意をすごく感じて。そういう監督の思いが実現する瞬間に、少しでもお手伝いできるならうれしいなと思っていました。
凛子は、自分が貫きたいものがきちんとある人なんでしょうね。それを曲げられない心の強さ故、人とぶつかってしまったり、受け入れられない何かがあったりで、教師生活の中で心が疲れてしまったのかなと。お父さんとの関係も同じように、自分が素直になれなかった、あるいは「父親が間違っている」という思いが強過ぎたため、視野が少し狭くなり、親子の間がすれ違ってしまった瞬間があるんじゃないかなと。その半面、実はそういう自分の思いを正直に伝えるのが苦手だったり、素直になるのが苦手だったりするところは、彼女の愛らしさでもあるのかなと思っていました。
父親とは似た者同士で、お互いちょっと照れくさい部分があるんです。演じる上では、その関係性が劇的に変化するのではなく、ちょっとだけほっこりするような温かさが感じられる、ささいだけど特別な変化、というふうにできたら…と思っていました。
この2人の関係性って、ちょっと距離がある故に、生まれた瞬間があると思うんです。恋愛や友情とは違うし、もちろん家族でもない。出会って間もない、特別ではない関係だからこそ、言えた言葉や漏らすことができた本音があるんじゃないかなと。そう考えると、必ずしも人同士って、分かろうとしなくてもいいのかもしれない。そんなことを感じました。
新しいチャレンジがたくさんあった1年だと思っています。今までは映画の仕事が多かったのですが、2022年はテレビドラマやミュージカルに挑戦したり、1年に二つの舞台に出演したり、今までとは違った経験をすることができました。
そういう意味ではこれまで、人との出会いや作品との出会いなど、自分が豊かになるいい経験をたくさんさせていただきました。もともと、CMに出演したのも、子どもの頃に通っていたダンススクールでオーディションの告知を見て、友だちと一緒に「行ってみようか」と軽い気持ちで受けたことがきっかけですが、それから目の前のことを一つ一つやってきた積み重ねの先に今があると思っています。おかげで、皆さんから、ありがたい評価を頂けるようになりましたが、私自身はこれからも今まで通り、一つ一つ丁寧にやっていこうと思います。
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