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今週は、大作ではないが、印象に残る映画を2本紹介しよう。まずは『女は二度決断する』から。
ドイツ・ハンブルクの外国人街で時限爆弾による爆発が発生。ドイツ人のカティヤ(ダイアン・クルーガー)は、トルコ移民の夫と息子を同時に失う。事件は在住外国人を狙ったドイツ人の右翼によるテロと判明するが、容疑者をめぐる裁判はカティアの思うようには進まない。やがて彼女はある決断を下す。
実際に起きたネオナチによる連続テロ事件に材を取った力作。クルーガーが入魂の演技を見せる。監督のファティ・アキンは、ハンブルグのレストランを舞台にした群像劇『ソウル・キッチン』(09)や、オスマン帝国で起きたアルメニア人の虐殺事件を基に、1人の男が離れ離れになった家族に会うためにたどった旅路を描いた『消えた声が、その名を呼ぶ』(14)などで、移民や民族の問題を描いてきたが、今回は、自身がトルコ移民のドイツ人として抱いた怒りやつらい思いを、主人公カティアのキャラクターに反映させたのだという。
同じく、子どもを殺された母の怒りを描いたアメリカ映画『スリー・ビルボード』と同時期に、ドイツでもこうした映画が作られたのは果たして偶然か、必然か。ただ「やはり、こうなるのか…」という厳しい結末は、正直なところ、われわれ日本人には理解し難いところもある。