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NHKの大河ドラマ「真田丸」で徳川家の重臣、本多正信を演じている近藤正臣。臆病で発展途上の徳川家康(内野聖陽)に的確なアドバイスを授け続け、天下統一に導く名参謀役の苦労を語る。
主従関係が薄いですね。年は若干正信の方が上なので、ちょっと弟を見るような目で家康を見ているように感じました。殿という言葉は少し変えると「友」になりますね。ですから、主君と家来というよりも、友人同士という関係でいたいと、台本を読みながらだんだんと思ってきました。
忠勝(藤岡弘、)のことは「武者として頑張れ」と思っていたと思います。陣の後ろから「あっちに行けこっちに行け」と軍師の役目をするのはこちらの役目だからと。石高は忠勝の方が上なんですが、おまえには遠慮せんよというぐらいの気持ちはあったと思います。
ええ、でも正信は機敏な頭脳を持っているように見えない方がいいなと思いました。だからこいつは時々昼寝をしている(ふりをする)やつだなと思ったんですよ。
家康はまだ天下取りゲームには参加していません。生き残りゲームの真っ最中です。良い駒(殿)を持たないとゲームには勝てません。その駒にはどんどんスキルアップしてもらわないと困ります。正信はそんなふうに駒を操っていくプレーヤーですね。
ある重臣が失踪する回で、普段は昼寝をしているこの老人っぽい男が全力で廊下を走って知らせにいったらどうなるだろうと思って、実際やってみました。段差になっているところは飛んでみました。74歳になった男が走っています、飛んでいます(笑)。それと、軍議の時に何か食べていてもいいのではないかと思って提案してみました。リハーサルで納豆みたいなので試したら、ポリポリパリポリと音がし過ぎるので、小道具さんが本番までに干したような食べ物を用意してくれました。そういう工夫が楽しいですね。
すごい省略法を用いていますね。それに戦国時代の歴史から見ると取るに足らないようなことを一生懸命書こうとしています。面白いですね。
僕は我慢が足りなくて、一番乗りが好きなので、早々と討ち死にしていると思います(笑)。まあ、正信にしたら、戦国時代のようないつ死ぬか分からない時代に、「こそこそ生きてもしょうがないや、ゲームを楽しみましょう」という、そんな感じでしょうね。僕の俳優人生を振り返ってみても、30歳に手が届こうかという時に、高校生の役で「柔道一直線」に出てみないかと言われ、これも運命かと乗ってみたら案外その後うまく展開して、今までなんとかやってこられました。分からないものです。
三谷さんが書く初期の家康はびびりです。怖がりというのは当時の武将にとって大きな資質です。怖いから慎重にやっているうちに蓄えてきた家臣と兵隊の数が損なわれずに最後までいくんです。それに主君に「よく寝返る男だ」という評判が立たないようにしないといけないので、うわさが表に出そうになったら、正信は「それは私めがしたことでございます故、ひらにご容赦を」と言ってのける。そういう立場でいようと思っています。
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