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好調が続くNHK大河ドラマ「真田丸」。第22回の「裁定」では、豊臣秀吉(小日向文世)を判事役に、沼田の領有権をめぐる、原告・北条、被告・真田による“戦国裁判”の様子が描かれる。
北条の代理人は重臣の板部岡江雪斎(いたべおか・こうせつさい=山西惇)、対する真田は信繁(堺雅人)が務め、徳川方の証人として本多正信(近藤正臣)も加わる。脚本を書いた『12人の優しい日本人』(91)、監督をした『清須会議』(13)など、裁判劇好きの三谷幸喜らしい設定だ。
ドラマの展開が風雲急を告げる中、北条家の鍵を握る氏政、氏直親子、そして江雪斎を演じている高嶋政伸、細田善彦、山西にそれぞれ話を聞くことができた。
後北条氏の第4代当主・氏政を演じている高嶋は、過去の大河ドラマでは、「太平記」(91)の足利直義、「秀吉」(96)の豊臣秀長と、兄を助ける弟キャラを好演したが、今回の氏政役は一転、くせのある“怪演”が話題になっている。
高嶋は「(演じている間に)氏政にはパラノイアチックな顔と野放図な顔、あるいは騒乱と抒情主義など、対極にあるものがたくさん詰まっているのがだんだん分かってきて、こりゃ大変な役を受けたなと思いました。そんな時によりどころになったのは、やはり気高さと愛です。北条家は結束が強い一族らしく一人の反逆者も出していない。心の中では家族を愛しているという部分は残しながらやっています」と語った。
一方、氏政の息子で第5代当主の氏直を演じている細田は「エリート教育をされてきた氏直は情報が北条家の中からしか得られないし、父の戦法や怒り方しか見ていないから、最初のころは氏直の怒り方の中に父の影が出ればいいと思って演じていました」と役作りについて語った。
そして「小田原城が攻められるあたりでは、氏直もさすがに父のしていることを正しくないと思っているけれど、それをどう言っていいのか分からない。だから、『何か違う』という表情が出せればいいなと思います。氏直はトップである父の頑固さと下からの突き上げで、現代で言えば中間管理職的な立場になって、追い込まれていきます」と氏直の苦悩を代弁した。
また、氏政と氏直、そして江雪斎との関係については「2人はパパとママみたいな関係でした(笑)。江雪斎は父に対している氏直をずっと見守ってくれているお母さん。だからちょっとした本音も言えるんだと思います」とユニークな分析をしている。