映画「大鹿村騒動記」に全力を投じた主演の原田芳雄を忍ぶとともに、連日声援を送るファンへの感謝の気持ちを込めて、舞台あいさつが8日都内で行われ、主要キャストの大楠道代、佐藤浩市、松たか子、石橋蓮司、阪本順治監督らが登場した。
本映画は7月16日に公開され、順調なスタートを切るが、7月19日、主演の原田芳雄さんが逝去。その後、劇場へはさらに多くの人々が足を運び、スクリーンの原田に客席から自然に拍手が沸き起こるという現象が全国各地の劇場で報告されている。
舞台あいさつで佐藤は「軽妙な演技、本当に安心して楽しめる映画。こういう映画を残して芳雄さんはあちら側に逝かれたんだなと。今日登壇している私たちでは芳雄さんの代わりにはなりませんが、(足を運んでいただき)ありがとうございました」とコメント。
阪本監督は「ある俳優さんと殴り合いをしたとき、(原田)芳雄さんに止めていただいた。原田さんの自宅でもある俳優さんにけんかをふっかけて止めていただいて…。私は一体何をさせてたんだろうと思います。最初に殴り合いをした俳優さんは絶対この壇上におりません」と佐藤を見ながら述べると、佐藤はとぼけた表情で上を向き、それを察した会場からは静かな笑いが起こった。
阪本監督は続けて「プライベートでも随分芳雄さんにお世話になって、その思いもあって今日は僕の意地もあって、最後にお仕事したこの映画をお盆に向けてたくさん売っていきたいと思った」と語った。
佐藤も最後に「多くの人で芳雄さんを送ってあげたい。この夏1度となく2度と足を運んでほしい」と会場、そしてマスコミに呼び掛けた。