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FM COCOLOが主催する音楽イベント【佐藤竹善 Presents Cross Your Fingers 25】(以下、【CYF】)が、5月25日に大阪・フェニーチェ堺大ホールで開催された。
本イベントは佐藤竹善がオーガナイズするもので、1997年の開始以来、25回目の開催を迎える。世代もジャンルも超えたアーティストが多数出演する毎年恒例のイベントとして人気を集め、今年は押尾コータロー、小野リサ、KO-ICHIRO(Skoop On Somebody)、斉藤由貴、矢井田 瞳が。そしてイベントの屋台骨を支える相棒として、ピアニスト・塩谷哲、パーカッショニスト・大儀見元が出演。出演者それぞれのソロステージはもちろん、この日限りの贅沢なコラボステージも続き、集まった観客は至福のひと時を満喫。贅沢な一夜の模様をお伝えしたい。
ステージはまずは佐藤竹善、塩谷哲によるユニット・Salt & Sugarから。大入りとなった客席を見渡しながら、佐藤は「エルトンがライブ活動をしないというなら僕が歌うか♪」と1曲目に選んだのが「Goodbye Yellow Brick Road(エルトン·ジョン)」だ。高音域の歌声も伸びやかに、しなやかに歌い上げ、ピアノの音色と歌声のシンプルな音の響きだけですっと観客の心を惹きつけていく。表現力豊かで心の奥底にしっかりと世界観を感じられるその歌声に観客はさっそく拍手喝采を贈る。続く「Mornin’(アル・ジャロウ)」では大儀見も参加し、【CYF】では定番の編成でライブを披露。ドラマチックなピアノの旋律、華やかなパーカッションに引き寄せられ、観客の手拍子も自然発生。自由度が高いのに、緻密に作り込まれた音はとにかく贅沢で、三位一体とはまさにこのこと。佐藤の歌声はそこに複数のボーカリストがいるんじゃ……と思うくらいに、いくつもの音色、声が感じられるし、ピアノが、パーカッションがその歌声につられて、さらに伸び伸びとした音を響かせていく。ステージの3人がとにかく楽しそうな表情を見せているのが何よりも素敵で、25回目の開催を迎えてもなお、アーティストがこのイベントを楽しんでいるのがひしひしと伝わってくる。
「ようこそいらっしゃいました。オシャレな街、堺で開催することができてうれしい。【CYF】は元々は若手アーティストの才能を紹介しつつ、素晴らしいアーティストも出演するイベント。今日はベテランのみのバラエティーに富んだ内容になっていて、楽しみな一日になりそう♪」と、イベントに懸ける思いを語ると、オリジナル曲「バラと少年」へ。力強くもふわりと心弾むリズムで観客の心を弾ませる。毎年恒例の本イベントでは、オリジナル曲はもちろん、カバー曲やコラボも楽しみのひとつ。集まった観客からインタビューしてみると、「有名な曲もこのイベントでカバーされたことがきっかけで印象が変わったり、知らない曲を知れる機会にもなっている。もちろんゲストとのコラボもいつも楽しみ」「曲についての想いがしっかりと聞けるのもうれしいし、ゲストとのトークも期待してる♪」「何度来ても、初めてのアーティストとの出会いがあるのがこのイベントの良いところ」と、想いはみなそれぞれ。
ここからはお楽しみのゲストアーティストのステージが続いていく。まずはSkoop On Somebodyのピアノマン、KO-ICHIROのステージ。佐藤は「S.O.S.というお笑いグループを…」と冗談を言いつつ紹介するけれど、「ピアノは同じ楽器でも弾く人によって違う。十人十色とはまさにこのこと。素晴らしいピアノを堪能して」とバトンを繋ぐ。KO-ICHIROはまずはグループ唯一のインスト曲「Twit and Chat(Skoop On Somebody)」で軽やかに、かつダイナミックな旋律と表現力で魅せると、「I Need You(モーリス・ホワイト)」では佐藤とともにコラボ。大人の余裕を感じさせる、映画みたいなロマンティックな世界観を描き、観客を心酔させる。
「グルーヴが!うねりがすごい!」と、次にステージに呼び込んだのがブラジル生まれのボサノヴァ歌手·小野リサだ。コラボ曲に選んだ「涙そうそう(森山良子)」では佐藤のふくよかな歌声に、小野の心解きほぐす柔い歌声、そこに塩屋の繊細なピアノの音色、大儀見のパーカッションが加わり、凝縮した深みのある音色に観客はまたも大きな拍手を贈る。小野はソロステージではボサノヴァの名曲「Wave(アントニオ・カルロス・ジョビン)」でリズミカルなギターに唯一無二の歌声を重ねると、次曲ではKO-ICHIRO、大儀見と、サンバの名曲「Batucada(マルコス・ヴァーリ)」を披露。互いの熱のこもったプレイに惹かれ合い、後半に進むにつれより一層熱を帯びていく楽曲はとにかく圧巻!佐藤も思わず「静かなる嵐という感じ。KO-ICHIROもレイ・チャールズみたいで見惚れちゃった」と感服の表情を見せる。
今年のゲストシンガーはみな女性ばかり。続くゲストには「デビュー間もない大学生の頃に【CYF】に出演して、歌も個性も見せつけてくれた」と矢井田 瞳を紹介。今年でデビュー25周年を迎える彼女は【CYF】への出演は今回で3度目。自身も「節目の年に出演できてうれしい。今の私がいるのは竹善さんのおかげ」と「Ring my bell」から透明感のあるエネルギッシュな歌声を響かせる。次曲「アイノロイ」は同じ高校の先輩後輩の仲というKO-ICHIROも加わり、「愛と呪いが混在した世の中をたくましく生き抜いてほしい」と願いを込めてプレイ。ジャジーなピアノの音色、生命力湧き出るパーカッションが彼女の歌声をさらに開放していく。オリジナル曲ももちろん素敵だけれど、【CYF】でしか観ることのできない贅沢なコラボには観客が楽しみにしているのはもちろん、アーティスト本人もとにかく最高のステージにしよう!という気迫や士気がひしひしと感じられる。
佐藤は「ヤイコは音楽性が年々成熟していってるよね」と絶賛。そんな2人のコラボには矢井田が「何でも歌ってくれる竹善さんだから♪」と名曲「My Sweet Darlin’」をセレクト。ポップなロックサウンドを、さらりと歌い上げる2人に会場も大盛り上がり。個性の異なるハイトーンボイスのぶつかり合い、ピアノアレンジも多幸感もいっぱいで、矢井田が思わず「最高!」と叫んだ言葉に観客も大きく頷いている。
「ヤイコと同じように、音楽が鳴ると人が変わる。天才肌! 普段は口下手だけど、大好きな男!」と、押尾コータローをステージに呼び込む。今年の【CYF】はプレイヤー三昧も楽しめるゲストばかり。まずは押尾、塩谷の”シオシオコンビ”で「GOLD RUSH」へ。押尾は1本のギターからどれだけの音色、リズムが聴こえているのかわからなくなるほど、ボディ·ヒットにタッピングと、様々な奏法を駆使して音を作り上げる。塩谷もこれまで以上に力強い旋律を描き、2人だけのステージとは思えないほどに複雑に音を重ね、珠玉の1曲へと仕上げていく。インスト曲で言葉がないながらも曲に描いた世界観は目に見えるようで、ドラマチックな展開にステージから目が離せない。さらに押尾はクラシックの「ボレロ(モーリス・ラヴェル)」をたった1人、ギター1本で演奏。まるでひとりオーケストラのように、メロディやリズムをギター1本のみで演奏する姿はなんとも不思議で、観客は目を凝らして彼のプレイに注視しっぱなしだ。
佐藤とのコラボでは「当時、こんな高度な曲を流行らせるなんて!」と惚れ込んだという、「タイム・トラベル(原田真二)」を披露。これまで何度も共演を重ねてきた2人、複雑に入り組んだ楽曲もさらりと歌い、演奏するだけでなく、”どうだ!?”と言わんばかりのアレンジも見せつける余裕も。「押尾(お塩)と佐藤(砂糖)は混ざらないね」なんて冗談を言いつつも、絶妙な塩梅で互いの旨みを引き出し合い、トークで笑いも攫ってしまう姿は【CYF】ならではの光景だろう。
「彼女ってちゃんといるんだ、この世に……ぼくら2人が同じステージで喋っているのは不思議……」。佐藤がしみじみとしながら、最後のゲストとしてステージに呼び込んだのが斉藤由貴だ。斉藤自身は今回の出演について「面白そう! と思って出演を決めたけど、皆さんがリハーサルで歌う姿を見て、安請け合いしてよかったのか……」と謙遜した様子。それでも「一生懸命歌いますので、少しの時間楽しんでもらえたら」と、「悲しみよ こんにちは」から当時と変わらない可憐な歌声で観客を魅了。歌手活動40年を機にリアレンジされた楽曲も、KO-ICHIRO、大儀見のプレイの下ではまた違った新鮮さがあり、最初こそ緊張した表情だったものの、時折笑顔を見せながら歌う姿に思わず心ときめいた人は少なくないだろう。次曲「AXIA~かなしいことり~」ではマイクを手に、ゆっくりとステージを歩きながら、柔い世界観を作り上げていく。
斉藤が佐藤とのコラボに選んだのは「夢の中へ(井上陽水)」。斉藤の切なげで、吐息のような歌声に佐藤のハイトーンボイスがするりと馴染んでいく。これまでにも原田芳雄、松たか子、江口洋介、中山美穂といった俳優だけでなくアーティストとしても活躍する面々が出演してきた【CYF】だが、25回目の開催という節目にまた新たな歴史を刻んだのは言うまでもない。
ステージ後半は再びSalt & Sugarのステージへ。ピアノマンとして、これまで数多のアーティストとコラボやセッションを重ねてきた塩谷。矢井田 瞳とも”シオノヤイダ”としてユニットを結成したこともあったことから、矢井田が再びステージイン。押尾も塩谷、大儀見も加わった5人で「Not Still Over(矢井田 瞳)」をコラボ。複雑なコード進行を持つ楽曲だが矢井田いわく「魔法使いみたいなミュージシャンと一緒なら♪」と、情熱的なサウンドをより一層たぎらせるサウンドで観客を圧倒。ピアノ、パーカッション、ギターに負けない佐藤、矢井田の歌声も圧巻だ!
最後はSalt & Sugar、大儀見の3人で「Boogie Down(アル・ジャロウ)」、「恋人(鈴木雅之)」を。「素晴らしいアーティストと一緒にやると、こんなメロディやリズムが出るのかと不思議と引っ張り出される。相乗効果かも」と語っていたように、卓越したプレイヤーが奏でるソウルフルでジャジーなサウンドに、ほどよく肩の力が抜けつつも、熱を一瞬で高めてしまう歌声に聴き惚れていると、あっという間に本編のステージが終了。
アンコールでは「みんな良い顔してる!」と、集まった観客に改めて感謝の気持ちを伝えつつ、イベントの恒例となるオールキャストでの「星の夜」へ。この日はピアノマン2人にギター、パーカッション、さらに女性シンガー3人が加わっての全8人でのセッション。転調の多い複雑な曲もそれぞれの個性を活かしつつ、4人のシンガーが声をそろえた瞬間は至福で、その美しい景色に誰もが見惚れ、盛大なスタンディングオベーションに見送られながら、イベントの幕が閉じた。
なお、ライブの模様は6月14日放送のFM COCOLO『765 SQUARE』にて特集番組を予定している。
TEXT:黒田奈保子
PHOTO:井上嘉和/加藤大
◎番組情報
FM COCOLO『765 SQUARE「CROSS YOUR FINGERS 25 ライブ音源」』
2024年6月14日(土)21:00~22:00
DJ:野村雅夫
https://cocolo.jp/765square/
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