元yonawo・荒谷翔大×鈴木真海子(chelmico)、東阪福ツーマンツアー終幕「またすぐどこかで会いましょう」

2025年3月21日 / 19:30

 元yonawoの荒谷翔大が、鈴木真海子(chelmico)との東阪福ツーマンツアー【Focus】を開催。3月6日に東京・duo MUSIC EXCHANGEで行われたツアー初日公演のレポートが到着した。

 バンドによるヘヴィーなアンサンブルが響く中、ステージに現れた荒谷翔大は笑顔でフロアに向かって手を振った。まずは、このライブ翌日リリースのメジャー1st EP『ひとりぼっち』収録曲「café e llatte」を披露。荒谷ならではのスモーキーな歌声がアンサンブルに融合し、グルーヴはどんどん強靭に。満員のオーディエンスは早速心地よさそうに体を揺らす。ハンドマイクでステージの下手から上手に歩き、歯切れのいいボーカルで、熱気を上げていった。

 艶のあるファンクチューン「雨」に続いては、ニューEPに収録された「すっぽんぽん」。ジャズ×ポストロックのようなアンサンブルに解放を促すような歌を乗せるという荒谷の新機軸だ。椎名林檎の「丸の内サディスティック」にyonawo時代から度々カバーしているグローヴァー・ワシントンJR.の「Just the Two of Us」を混ぜ、さらにyonawoの「矜羯羅がる」へ移行するという「Just the Two of Us」進行の楽曲を繋げる粋な試みで、オーディエンスを歓喜させる場面も。音楽と自在に戯れる荒谷の姿からはソロアーティストとして活動を始めて約1年の充実ぶりが見て取れた。1曲終わる度にフロアからは熱気を帯びた拍手と歓声が巻き起こり、荒谷は何度も笑顔で「ありがとう!」と感謝を伝えた。

 yonawoの「天神」で愛しいノスタルジーを呼び起こした後、ニューEPの1曲目を飾るタイトル曲「ひとりぼっち」を披露する前、荒谷は楽曲に込めた想いを丁寧に語った。

 「2023年の暮れにyonawoというバンドを脱退してソロの荒谷翔大として活動していますが、『ひとりぼっち』はそんな僕の心境を歌った曲です。今披露した『天神』という曲もバンド時代の大切な思い出が詰まった曲。デビュー前から福岡の小さなライブハウスでやってきた記憶が蘇るし、高校生の時に初めて日本語で書いた曲で、今でも自分を支えてくれている曲です。『ひとりぼっち』にはyonawoのメンバー、今のバンドメンバー、支えてくれたスタッフ、応援してくれている皆さんへの感謝も込めていて、その感謝と一緒に改めて荒谷翔大として歌っていきたいっていう覚悟を込めた歌になっています。“ひとりぼっち”って寂しい響きですが、寂しさの分、人に優しくなれると思う。こうやって来てくれる皆さんもそうですが、名前も知らないひとりぼっちの誰かにこの歌が寄り添ったり、もしかしたら抱きしめることができるのかなと思って、自分のためにも書いたし、その先に誰かがいたら嬉しいなって思ってます」

 そう話して、充実した表情を浮かべた荒谷。美しく切ないストリングスが流れ、荒谷は意を決したように<出逢った日のこと ぼんやり思い出して>と「ひとりぼっち」を歌い始めた。目を閉じて繊細な情感を込め、大切な人との別れで負った傷と感謝、そして<奏でよう ひとりぼっちで旅立とう>という決意を歌った。

 笑顔で「またすぐどこかで会いましょう」といってステージを後にした荒谷。熱を帯びたアンコールを求める拍手のなか、荒谷と鈴木が再登場。お互いのライブを絶賛し合った後、荒谷が「早速一緒にやった曲をやろうかな」と言えば、鈴木が「そりゃそうだよね」と乗っかる。ツーマンツアーのタイトルにもなっている昨年12月リリースの「Focus feat. 鈴木真海子」を披露。二人のハーモニーは媚薬のような魅惑的な感触を放った。小気味いいラップを絡ませた後、<Thinkin’ bout you>と歌う心地の良いサビに抜けていく展開は絶品。ゆらゆら揺れながら<ゆらゆら 考えちゃうな>と歌う二人の姿はとてもキュートだ。フロアから拍手が上がる中、鈴木が荒谷に「『Focus』できましたかね?」と聞くと荒谷は「台湾で1回やってるからね」と2月28日に行った鈴木も参加した台北でのライブを振り返った。鈴木は「台湾で1回やってるから自信ついてる」と胸を張り、荒谷は「東京で最高のコンディションでできました」と嬉しそうに口にした。

 鈴木が「私の『お酒を飲んだ夜』っていう曲があるんですが、いつもはMei Semonesちゃんという子と一緒にやっていて。今日は荒ちゃんと一緒にやっていいですか?」と言って、「お酒を飲んだ夜 feat. Mei Semones」へ。オリジナルとは違うバンドアレンジに鈴木がまどろむようなボーカルを乗せ、隣で荒谷は気持ちよさそうにダンスした後、ファルセットを重ねた。ボサノバ調の音像の中で繰り広げられる陽気なデュエットに多くのオーディエンスが笑顔を浮かべた。

 ラストはyonawoの「tokyo feat. 鈴木真海子, Skaai」の荒谷と鈴木のふたりバージョン。荒谷のソウルフルなヴォ―カリゼーションが冴えわたり、鈴木がマイルドな歌を添える。もちろん「Okay」のパートではオーディエンスの「Okay」という掛け声が響いた。なお、本ツアーのセットリストプレイリストが現在配信中となっている。

 そして、4月29日にはビルボードライブ東京でのプレミアムな追加企画も決定している盟友とのハッピーなツーマンツアーを終えた荒谷は、EP「ひとりぼっち」を携え、6月6日福岡公演から7月19日東京公演まで、全国16か所を巡る初の弾き語りツアー【ひとりぼっちツアー】を開催する。

TEXT:小松香里
PHOTO:TOYOHIRO MATSUSHIMA

◎配信情報
東阪福ツーマンツアー 荒谷翔大 × 鈴木真海子「Focus」
セットリストプレイリスト
https://bio.to/Focus_SL

◎公演情報
【荒谷翔大 Special Guest 鈴木真海子】
2025年4月29日(火・祝)東京・ビルボードライブ東京
※1日2回公演

【ひとりぼっちツアー】
2025年
6月6日(金)福岡・como es
6月7日(土)福岡・いとの森の歯科室
6月8日(日)熊本・tsukimi
6月10日(火)大分・由布院温泉 旅館光の家
6月13日(金)奈良・ニュー喫茶ポルカドット
6月14日(土)広島・福山Cable
6月15日(日)高知・ONZO
6月22日(日)宮城・Echoes
6月27日(金)長野・松本 カーリーレコード
6月28日(土)石川・Taine
6月29日(日)京都・Len Kyoto Kawaramachi
7月5日(土)静岡・PART COFFEE ROASTER
7月6日(日)岡山・cafe.the market mai mai
7月12日(土)北海道・musica hall café
7月13日(日)愛知・金山ブラジルコーヒー
7月19日(土)東京・BLUE NOTE PLACE


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