<イベントレポート>稲葉浩志、約8年ぶりとなるラジオ公開収録でアルバム『只者』を語る

2024年6月26日 / 19:00

 稲葉浩志が、6月25日にトークイベント【稲葉浩志ニューアルバム『只者』リリース記念トークイベントmeets TOKYO FM「JA全農 COUNTDOWN JAPAN」】をタワーレコード渋谷店で開催した。

 6月26日に約10年ぶりとなるニューアルバム『只者』をリリースした稲葉。そして、今回のイベントは実に約8年ぶりのラジオ公開収録となっている。MCには毎週土曜に放送されているTOKYO FM『JA全農 COUNTDOWN JAPAN』よりジョージ・ウィリアムズと安田レイを迎え、アルバム購入者から抽選で選ばれたファン100人が参加した。

 ジョージの「稲葉浩志さんです!」というコールに歓声が沸き起こる。大きな拍手で迎えられた稲葉は「(お客さんと)距離が近いので、ライブとはまた違って面白いです」と所感を述べた。早速、話題は稲葉にとって2度目となるレジデンシー公演で、開催されたばかりの【Koshi Inaba LIVE 2024 ~en-Zepp~】へ。「ツアー【Koshi Inaba LIVE 2024 ~enⅣ~】が決まったので、その前の期間でやるとしたら、また工夫して別の色を出せたらいいなと思って。大変だったんですが(笑)」と語ったように、6日間にわたり開催され、毎日セットリストを変えていった力の入ったライブだ。だが、「バンドも文句を言わずに楽しんでくれたので。すごい良い経験になりました」と満足そうな表情を見せていた。

 TOKYO FM『JA全農 COUNTDOWN JAPAN』が放送50周年を迎えたことにちなんで、稲葉にヒストリーを聞いていくコーナーも展開された。最初の話題は“音楽の道を歩もうと思ったきっかけについて”。それに対して稲葉は「B’zでデビューが決まった時にやるんだなって思って。甘い考えでやっていました(笑)」と一言。さらに掘り下げて“音楽でやっていくんだなって思った瞬間”を聞かれると、「あっという間に流れが決まって。考える余裕もなかったです」と語っていた。自分のスタイルがまだできていなかったデビュー当初は、キャリアがあった松本孝弘(B’z/Gt.)に頼りながらやっていったという。そして、歌は歌っていくことで楽しみを見つけていったという稲葉。さらに「自分の居場所はステージだと掴めた瞬間はありましたか?」と聞かれると、「ステージに立っている瞬間は普段の自分とはまた違うんですけど。その場の空気を隅から隅まで感じ取るような気持ち良い誤解をしていますね」と話す。

 そして、1stアルバム『マグマ』(1997年)の思い出も振り返っていた。「B’zとは違って、作業は自分で見極めて判断してやっていかないといけないので大変だったんですけど、自分の思い浮かべた言葉とかメロディを最終的に曲にして、一つのアルバムになったのは大きな喜びでした」と語る稲葉。初めてソロライブを開催するにあたっても「大変でした。お客さんはB’zのイメージしかなかったので、ソロだとそこから離れているので、受け入れてもらえるか心配でした」と、当時は苦労があったようだ。

 いよいよ本題となる『只者』にテーマが切り替わる。「(前作リリースから)10年も経った自覚はなかったです。焦らず、マイペースで自然な勢いで、でも(楽曲が)溜まっていたので形にしたいなと思ったんです。『マグマ』の時のように勢いに任せて、じっくり作ることができたなと思います」。10年制作してきたというわけではなく、コロナ禍に出来上がった楽曲が多いという『只者』。そんなアルバムから先行配信された「NOW」が紹介された。「歌詞的には大袈裟な話ではないんですが、ロシアのウクライナ問題があって。徴兵されていく若者を見て、どこでも起きるんだろうなと思い始めて。そう考えると明日何があるかわからないなっていうふうに強く思って。だから「NOW」っていう現在がいかに全てかっていうところを言葉にしたいなと思って。それに合いそうな曲がこの楽曲でした」と語ると、そんな想いが込められた「NOW」がオンエアされる。
 
 また、「『只者』というタイトルにはどんな思いを?」という問いに、「制作する時、クリエイターとしては自分普通だなと思うですよ。世の中には才能がある方いっぱいいらっしゃるので、自分としては只者というか普通というか。そういう認識をもとに努力できるか工夫できるかみたいな。でも前向きに、卑屈にならないで“ここまでできるぞ”とチャレンジする喜びを感じながらやっていました。なので、アルバム初期から『只者』でいいよな? と考えていました」と答える。

 「Zeppとは違う雰囲気で、楽しかった」と語ったのは、6月22日の愛知よりスタートしたツアー【Koshi Inaba LIVE 2024 ~enⅣ~】についてだ。「ステージ前の稲葉さんはどういう感じなんですか? 近づくなオーラとか…」という質問に「いや、そんなことないですよ、只者なので(笑)」とうまい返しに笑いが起こる。そして、8月13日、14日には稲葉の地元である岡山・津山文化センターでも公演が決定した。そんな津山市でのライブについて意気込みを聞かれると、「決してやりやすくはないですね(笑)。知り合いが見えるかもしれないので(笑)」と苦笑い。だが、稲葉にとって岡山は「高校でもロックをやっていたので、原点と言えば原点ですよね」と語っていた。

 その後はアルバム収録曲「Stray Hearts」がオンエアされ、その間、稲葉は笑顔で観客に手を振っていた。いよいよイベントも大詰めを迎えたところで、『只者』の12曲目に収録されている「cocoa」にも触れていく。本作は、20年ぐらい前からすでに存在しており、正式に発表されていなかった楽曲だ。「アルバム制作時にスタッフから「cocoa」どうしますか? と言われて。歌い方が今と違うので、再録、ミックスして収録しました。結構キーが高いなと思ったけど、力入れなくても歌えました。多分昔と歌い方は変わっていると思うんですが、すごく歌いやすかったですね。発見でしたね」と話していた。

 実はここタワーレコード渋谷店で開催された、スティーヴィー・サラスのリリースイベントに飛び入り参加したことがあると告白した稲葉。「楽屋に遊びにいったら歌ってよと言われて(笑)。面白かったですけどね(笑)」と思い出を語っていた。

 そして、最後に稲葉から「会場に来てくださった皆さん、貴重なお時間を渋谷まで足を運んでくれてありがとうございます。ラジオを聴いていただいている方、ぜひ『只者』、自分がじっくり作った、自分が思いっきり出ているアルバムなので、聴いていただければなと思います。ライブにもぜひ来てください!」とメッセージを送った。

 なお、このイベントの模様は6月29日に放送されるTOKYO FM『JA全農 COUNTDOWN JAPAN』内にてオンエア予定だ。そして、タワレコ渋谷店では直筆サインも展示されていので、ぜひ足を運んでいただきたい。さらに、イベント当日6月25日より「NOW」のミュージック・ビデオも公開されている。

Text by Tatsuya Tanami

◎イベント情報
【稲葉浩志ニューアルバム『只者』リリース記念トークイベントmeets TOKYO FM「JA全農 COUNTDOWN JAPAN」】
2024年6月25日(火)
東京・タワーレコード渋谷店


音楽ニュースMUSIC NEWS

Perfume、ファンクラブ発足15周年記念ツアー映像のティザー公開

J-POP2024年9月28日

 Perfumeが、2024年10月30日にCDリリースとなるコンセプトアルバム『ネビュラロマンス 前篇』より、ファンクラブ限定盤特典ディスクのティザー映像を公開した。  今作は“前篇”と“後篇”に分かれており、アルバム『ネビュラロマンス … 続きを読む

ano「許婚っきゅん」起用のアニメ『らんま1/2』ノンクレジットOP映像公開

J-POP2024年9月28日

 anoの新曲「許婚っきゅん」がオープニングテーマとなっているTVアニメ『らんま1/2』のノンクレジットオープニング映像が、第一話の放送に先駆けて公開された。  新曲「許婚っきゅん」は、作詞をあのと真部脩一が手掛け、作曲を真部脩一、編曲をT … 続きを読む

SUPER BEAVERがライブ映像3日連続公開、初日は「ひたむき」

J-POP2024年9月28日

 SUPER BEAVERが、ライブ映像を3日連続公開する。  今回公開される映像は、2024年10月2日にリリースとなるライブ映像作品集『LIVE VIDEO 6.5 Tokai No Rakuda Special in “2023-20 … 続きを読む

SawanoHiroyuki[nZk]、ベストアルバム『bLACKbLUE』発売日にスタジオライブ公開

J-POP2024年9月28日

 SawanoHiroyuki[nZk]が、ベストアルバム『bLACKbLUE』の発売日である2024年10月2日に、スタジオライブをYouTubeプレミア公開する。  ドラマ・アニメ・映画など映像の音楽活動やアーティストへの楽曲提供、Se … 続きを読む

IMP.、桐谷健太主演ドラマ『Qrosの女』EDテーマを担当 両A面シングル『BAM-BOO/ミチシルベ』12月リリース

J-POP2024年9月28日

 IMP.の新曲「ミチシルベ」が、2024年10月7日より放送開始となるテレ東系ドラマプレミア23『Qrosの女 スクープという名の狂気』のエンディングテーマに決定した。  本作の原作は、新境地に挑み綴った“芸能界”と“週刊誌”を舞台にした … 続きを読む

Willfriends

page top