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SixTONESが、4月20日、21日、22日に【SixTONES LIVE TOUR 2024「VVS」】を東京・東京ドームにて開催した。
今回はSixTONESにとって、自身初となる4大ドームツアー。タイトルに掲げられた「VVS」(バイブス)には、1月にリリースしたばかりのアルバム『THE VIBES』のタイトルからの引用でありながら、ダイヤモンドの透明度において最高級を表す言葉であり、英語では「高級」「高価」という意味でも用いられるスラングでもある……という3つの意味が込められている。そして約3時間の公演で、まさしくSixTONESのマインドを体現する言葉でもあったことをひしひしと感じた圧巻のステージだった。3日間にわたって行われた東京ドーム公演のうち、本稿では最終日、4月22日公演の模様をレポートする。
会場に入ると、目の前に飛び込んできたのは大きなセンターステージ。そう、今回のツアーの大きな特徴のひとつが、センターステージに6本の花道が伸びた“360度ステージ”の形をとっていることだ。全方向を観客が取り囲み、まさに死角なしの状況。果たしてメンバーはどこから登場するのだろう……?と思っていると、サイレン音とともにモニターが光り始める。モニター上部からは炎が吹き上がり、センターステージにバンドメンバーが登場、そして6本の花道の先からせり上がってくる何か。その岩のように四角い先端を見つめていると、突如それを突き破ってメンバー6人が登場(このシステムは、SixTONESメンバーによって「ロックレーン」と名付けられていたとのこと)。そのまま1曲目「アンセム」でライブの幕が上がった。メンバーの衝撃的な登場で一気に上がる会場のボルテージは、〈Wow…〉のコールでさらに加速度的に上がっていき、アイコニックなヘッドフォン型ライトを振る手も高く挙がる。歌い方も、客席へのアイコンタクトのしかたも6人様々で、個性を味わえるパフォーマンスだ。
「Rollin’」では、モニター上部に届くまで高く噴きあがった噴水が、メンバーの姿を水煙で包みこむさまが幻想的。そこからは、大きく身体を動かす振りで、6人の“バイブス”の高まりを視覚的に感じられる「Outrageous」、ファイヤーボールと花火がこれでもかと炸裂し、物理的にも温度を上げた「ABARERO -Dark Electro Rock Remix-」と、とにかく観客の腕を高く挙げさせる重厚な楽曲が続いていく。
「騒ぐ準備はできてるかい!?(ジェシー)」「俺たちSixTONESと音楽でぶつかり合う準備、できてんのかい!(京本大我)」「ちっちゃくてもいいから声出してください!(松村北斗)」「このライブ、半端ないからね!?(森本慎太郎)」「SixTONESがバンド連れてきたぞ! 360度死角なし、SixTONESの音楽、楽しんで帰ってください!(髙地優吾)」「最後まで、俺たちとお前らの最上級のバイブスぶつけ合っていこうぜ!(田中樹)」と、6人それぞれの表現で声出しを煽り観客を景気づけたあとは、バンドメンバーのソロ回しを挟んで、「Hysteria -Rock Rearrange-」「君がいない」をセクシーに披露。その後は、3人ずつ二手に分かれて花道に移動し、京本のロングトーンが冴え渡った「Alright」、しっとりした雰囲気に、曲終わりには自然と拍手が起こったバラード「House of Cards」を、より客席に近い場所でパフォーマンスする。
続いた、京本と森本のユニット曲「希望の唄」は、森本の明るく芯のある歌声にぴったりな、ド直球の青春ロック。京本も、バラードで見せる深く豊かに響くような歌い方ではなく、森本に寄り添うように軽やかに歌っているところに器用さを感じる。ステージを所狭しと飛び跳ねながらパフォーマンスするふたりに、会場は一気にハッピームードで包まれた。そこからは6人でトロッコに乗り、「“Laugh” In the LIFE」「フィギュア」「PARTY PEOPLE」で、SixTONESのユーモアあふれる一面をみせていく。
お決まりのクラップが大きく揃った「S.I.X」からは、再びアッパーな楽曲が続いていく。腹の底に響くような重低音に乗り、田中のラップと松村の低音ボーカルが牽引する「DRAMA」を経て、ジュニア時代からの代表曲のひとつ「JAPONICA STYLE」では、まさに“SixTONESの世界”を体現するようなゴリゴリのオートチューンと6人でのシンクロダンスが圧巻。ラストサビでは桜の花びらを模した紙吹雪が視界いっぱいに広がり、花道の噴水も高く噴き上がる。ドーム規模ならではの豪奢な演出には息をのんだ。
まだ紙吹雪がはらはらと舞うなか始まったMCパートでは、毎週土曜の『SixTONESのオールナイトニッポン サタデースペシャル』でみせているような軽妙なトークを披露。ライブ前半の曲を一曲だけもう一回やりたい、という京本の言葉に大盛り上がりする観客を「追加料金取るよ? 俺のPayPayのQRコード(モニターに)出すよ!?」と諌める森本や、松村の雑学披露タイム、サングラスをかけると“入っちゃう”髙地のエピソードトーク、ライブ前に始球式をやりたい、という流れから「大谷(翔平)選手呼ぼう! YOSHIKIさんに頼む!」と夢を語るジェシー、その全てにツッコむ田中……と、それまでに15曲もほぼノンストップで歌い続けてきたとは思えない、40分超もの絶好調なトークで会場を笑いで包んだ。
各々の告知タイムを終えての後半ブロックは、アコースティックコーナーからスタート。6人のハーモニーの美しさが際立った「Call me」、日替わりで披露されていた楽曲で、音源にはないハモりやフェイクを入れアレンジを楽しむ6人のスキルが垣間見えた「マスカラ」をアコースティック・アレンジで魅せると、松村と田中の同い年ふたりによるユニット曲「スーパーボーイ」へ。雑談がそのまま曲になったようなポエトリー・ラップが斬新な一曲で、ふたりの他にないリラックスした姿には、どこかノスタルジックな雰囲気も漂う。曲終わりにはそのままマイクを通さず雑談している姿がなんとも楽しげだった。
「Need you」では、ドロップ部分のダンスパートで白い光にメンバーのシルエットだけが浮かび上がるなど、近未来的なサウンドに合わせた演出が目をひく。ジャージー・クラブを取り入れたサウンドがトレンド感のある「TOP SECRET」では難解な譜割りのメロディすら乗りこなし、「WHY NOT」では花道に立ったメンバーが足元から照らされることで、衣装に光が反射、メンバーのシルエットが淡く光る……というさまが幻想的だった。そして最後のユニット曲、ジェシーと髙地による「Blue Days」は、繊細ながらまっすぐ届くジェシーの歌声と、くっきりした輪郭を持ちつつも優しく響く髙地の歌声、ふたりの特徴が引き立つ楽曲。それぞれのメンバーカラーである赤と黄色でいっぱいに包まれる会場はまるで夕焼けが燃えているようで、歌詞のやさしいメッセージがより温度をもって伝わってきた。
暗転し、真っ暗な会場をまばゆいレーザーが駆け巡る。すると6人は、まさかのド派手なデコレーショントラックに乗ってアリーナを爆走。そのまま「DON-DON-DON」「RAM-PAM-PAM」「Bang Bang Bangin’」を続けて繰り出した。メンバーたちも最高潮にテンションが上がっているようで、デコトラが大きく揺れるのにも構わず、上で飛び跳ねたり身体を上下に揺らし、それに負けじと観客も大きくライトを振って応える。そして6人がステージに戻ると、再び生バンドも加わり「Something from Nothing」「Telephone 1ST ver.」「BE CRAZY -Rock Rearrange-」とハードなロック曲を続け、会場の熱気は沸騰寸前に。
そんな中歌い出された「Seize The Day」は、全編英語詞ではあるものの、シンプルかつ前向きな歌詞が胸を打つ一曲。生バンドで引き立つ大きく爽やかなサウンドのなか、6人がステージ上で向き合い、歌詞を噛み締めるように丁寧に歌う。落ちサビでの、京本と松村のハーモニーの美しさには思わず鳥肌が立った。そして本編最後を締めくくったのは「こっから」。最後はブチ上がって終わろう!というSixTONESらしい前向きさと、まだまだ俺たちは“こっから”なんだ、というパッションを感じるセットリストだ。曲が終わると6人で肩を組み、「ありがとー!」と大きな声で感謝を叫んで、ジェシーのカウントとともにステージが暗転した。
ステージはまだまだ終わらない。観客からの「SixTONES!」との熱いコールに呼ばれると、アンコールでは6人がトロッコに乗って再登場。まずは爽やかな「Good Luck!」で勢いをつける。メンバー持ち回りで担当していた曲間のラップパートは「今日は映像収録入ってるからやらせてもらっていいですか!?」と、安定の田中が担当。「やっぱ俺がいちばんうめえな!」と満足げな表情を浮かべていた。そのまま、ジュニア時代から大切に歌い継いできた「この星のHIKARI」では、落ちサビの〈この星に溢れてる 光集めて/君を照らしてゆく Forever〉を観客が大合唱。6人とファンーー“Team SixTONES”の絆を感じる一幕であった。エモーショナルな空気に包まれるなか、ライブ定番曲「WHIP THAT」へ続けて、SixTONESらしいEDMソングでまだまだ盛り上げていく。
そして最後は、彼らの結成日である5月1日にリリースされた「音色」をライブ初披露。“僕”からそばに居てくれる”君”への普遍的なラブソングであり、SixTONESからファンへ、そしてメンバー同士の感謝とこれからへの約束を刻むような楽曲だ。全員で円になり、顔を見合わせながら歌っていたところから、落ちサビのアカペラパートでは客席側へ向き直り、6人が背中を預け合って歌う。そして一貫して、メンバー全員がやさしい笑顔で歌っていた姿が心に残った。そして、ジェシーの「ズドン!」の掛け声に合わせて銀テープが舞うと、なんとモニターにツアースタッフ一同からSixTONESへの愛あるメッセージがサプライズで出現し、メンバーも驚きとともに嬉しさを隠しきれない様子。最後は「次は5大ドームツアーだな!」「スタジアム行こうぜ!」とより大規模でのライブへの野望を語り合い、約3時間のステージは幕をおろした。
“アイドル”や“ダンス&ボーカルグループ”というイメージでSixTONESのライブを観ると、きっと予想外のステージに驚かされるはず。ダンスやカメラアピールといった、いわばアイドルらしい彼らのパフォーマンスももちろん魅力的ではあるのだが、ライブが一貫して「6人のパフォーマンスを(一方的に)観る」のではなく、SixTONESの6人も含めて「会場に集まった全員で、彼らの“音楽”で身体を揺らす」というところに重きを置いた構造になっているからだ。EDMやハードロックといった、重厚感あるサウンドを得意とするグループは今でこそ国内外にたくさんいるが、彼らはそれを「自分たちをかっこよく見せる」ということより、自分たちらしいやり方で「全員、ひとり残らずブチ上げる」というまさに“バイブス”全開のマインドで繰り出している。だから、まるで東京ドームが大きなクラブになったような、双方向の熱さがほとばしる空間を作り上げられるのだろう。「VVS」のタイトルに相応しい、SixTONESの魅力である“バイブス”をひときわ強く体感できるようなステージだった。
Text by Maiko Murata
◎公演情報
【SixTONES LIVE TOUR 2024「VVS」】
2024年4月22日(月) 東京・東京ドーム
▼セットリスト
1. アンセム
2. Rollin’
3. Outrageous
4. ABARERO -Dark Electro Rock Remix-
5. Hysteria -Rock Rearrange-
6. 君がいない
7. Alright
8. House of Cards
9. 希望の唄
10. “Laugh” In the LIFE
11. フィギュア
12. PARTY PEOPLE
13. S.I.X
14. DRAMA
15. JAPONICA STYLE
16. Call me
17. マスカラ
18. スーパーボーイ
19. Need you
20. TOP SECRET
21. WHY NOT
22. Blue Days
23. DON-DON-DON
24. RAM-PAM-PAM
25. Bang Bang Bangin’
26. Something from Nothing
27. Telephone 1ST ver.
28. BE CRAZY -Rock Rearrange-
29. Seize The Day
30. こっから
En1. Good Luck!
En2. この星のHIKARI
En3. WHIP THAT
En4. 音色
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