“ボーダレス”をテーマに掲げた今年の『紅白歌合戦』で楽しみな出演歌手5選

2023年12月18日 / 18:00

“ボーダレス”をテーマに掲げた今年の『紅白歌合戦』で楽しみな出演歌手5選 (okmusic UP's)

早いもんで、2023年ももうお終いです。年末、何気に楽しみにしてるのが『紅白歌合戦』。有吉弘行や浜辺美波の司会者初抜擢や、ジャニーズ勢のいないラインナップ(Snow manファンの娘は憤慨)など、なにかと話題になってる今年の紅白だが、ズラリ出揃った出演者を見てみると、「面白そう!」というのが正直な印象。“ボーダレス”を掲げ、公式サイトには「国や、言葉や、世代を越えて“ボーダレス”に人と人をつなげ感情を共有していく。そんな力が、音楽にはあります」とテーマが書かれた今年。その考えは大賛成なので、いきすぎたジェンダーフリーで、将来的に白組と紅組や勝敗の撤廃なんてことにならないことを願いつつ。今年の出演歌手の中で、個人的に楽しみな5組を紹介します!
「唱」(’23)/Ado

改めて説明するまでもないが、2020年に「うっせぇわ」でデビュー以降、圧倒的歌唱力とミステリアスな存在で国民的人気者となったAdo。昨年はウタとしての『ONE PEACE FILM RED』での歌唱や、さいたまスーパーアリーナ公演の開催、今年も全国ツアーや「唱」の大ヒットと無双ぶりを見せる彼女。紅白での歌唱は今年のAdoを象徴する曲「唱」なのかな?と思いつつ、一方でカバーアルバム『Adoの歌ってみたアルバム』みたいな作品をリリースしちゃうのもすごく良くて。「Adoに歌って欲しい曲」を公募して選ばれた全10曲は、昭和ポップスの名曲「飾りじゃないのよ涙は」から、平成のヒット曲「罪と罰」、最新のバズり曲「可愛くてごめん」まで。世代を越えた選曲かつ、男性の歌も女性の歌もどの曲を歌ってもAdoという、まさにボーダレスな作品となっている。個人的にはコロナ禍で誰もが滅入っていた時、日本を救ってくれたアーティストの一人がAdoだと思ってるし。ここからも音楽シーンを牽引していく存在になると思ってる。顔出しNGの演出含め、どんなステージになるのかも楽しみです!
「ちゅ、多様性。」(’23)/ano

あのちゃんのキャラと存在をよく理解して、大ファンになったのは22年1月。特番でやっていたオールナイトニッポンを聴いて、舌っ足らずのキュートな声から発せられる、センス抜群でエッジの効いたトークに「天才あらわる!」と感動して、ひと聴き惚れしたのが最初だった。なので、その後の大活躍ぶりは当然だと思って見てたし。ラジオで流す楽曲のセンスの良さや、アーティスト・anoとしての多才な活動ぶりに注目する中、「ちゅ、多様性。」という楽曲に出会い、音楽的にも高く評価されたことは必然だったと思ってる。いま注目してるのは、anoの秘めた熱さや本性の部分がむき出しになったI’sとしてのバンド活動。いろんな表現者がanoの多才さや多面的な魅力を引き出すソロ活動と自身をさらけ出すバンド活動を同時進行させている。絶妙なバランスを保ちながら、どんどん大きくなっていくモンスターアーティストが、どんだけ大きくなっていくかを見守りたい。
「第ゼロ感」(’22)/10-FEET

結成26年を迎えるカリスマ的ロックバンドであり、圧倒的人気を誇るロックフェス『京都大作戦』の総大将である10-FEETが、raivuハウス代表として紅白歌合戦に出演! この事実はロックファンとして、ライヴハウスファンとして実に痛快だったし。今年、映画『THE FIRST SLAM DUNK』のEDテーマとなる「第ゼロ感」で10-FEETが注目されたことも、実に喜ばしい事件だった。OPテーマ「LOVE ROCKETS」でThe Birthdayが注目されたことも嬉しく。The Birthdayが紅白で演奏する姿も見れたら最高だったが、それは仕方なしとして。音楽がどんどん多様化していって、スマホから鳴らされるコンパクトかつ簡易的な娯楽になっていってる感がある昨今。映画館で聴く迫力あるロックサウンドや、熱さや激しさや痛みを伴うロックチューンが若い子たちにも支持されたことは、すごく意味があるし、希望のある現象だったと思う。「第ゼロ感」を初めて聴いた時、映画との調和性以前に「ライヴ映えしそうな曲だな」と思ったし。実際、今年ライヴでの生演奏を聴いた時、音源とはガラリと印象が変わるくらいライヴ映えする曲で、すごくカッコ良かった。10-FEETの紅白出演を機にライヴハウス、ロックフェスでも良いので、ロックバンドのライヴを体験したことない人が、ロックに生で触れる機会が増えると良いなと切に思う。
「Bohemian Rhapsody」(’16)/ クイーン+アダム・ランバート

1973年にイギリスでデビューを果たし、今年でデビュー50周年。全世界で3億枚に近づく売り上げと数々の偉業を達成した、世界を代表するロックバンド・クイーン。フレディ・マーキュリー没後、2012年よりヴォーカルにアダム・ランバートを加え、現在はクイーン+アダム・ランバートとして活動する彼らが紅白歌合戦に特別企画で出演決定。 2018年にクイーンの軌跡を描いた伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』が全世界で大ヒット。2019年より、それを受けた世界ツアー『The Rhapsody Tour」を開催中。来年2月には東京ドーム2デイズを含む、これまでの日本公演史上最大となる4都市5公演のドームツアーの開催も発表している。これが最後かも知れない来日、“ボーダレス”のテーマにぴったりなバンドの貴重な紅白の生ステージは絶対に見逃せない! 一度は生で見たかったバンドのひとつだが、クイーンが最後の来日公演を行った1985年はまだ10歳。叶うことのない願いを叶えてくれるような、素晴らしいステージに期待したい。
「絆ノ奇跡」(’23)/ MAN WITH A MISSION×milet

2010年、プロジェクト始動。今年で活動13年目を迎えた5人組…いや、5匹組ロックバンド。頭はオオカミ、身体は人間の“究極生命体”であり、まさに“ボーダレス”のテーマに相応しいMAN WITH A MISSIONの紅白初出演。「FLY AGAIN」「Emotions」「databese feat.TAKUMA(10-FEET)」と、紅白で聴きたい盛り上がり必至の楽曲は数あれど。今年、マンウィズに世の注目が集まったアニメ『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』のOP主題歌としてリリースされたmiletのコラボレーション楽曲「絆ノ奇跡」を披露するのでは?という予想が有力。作中のキャラクターの人生と命が交錯し、紡がれ繋がる絆とその奇跡の物語を描いたと語るこの曲。和テイストのイントロからエッジィなギターが鳴り、心地よく交錯するJean-Ken Johnny、milet、Tokyo Tanakaの歌声。トリプルヴォーカルで丁寧に紡ぎ繋いでいく先にある、力強いサビの爆発力と美しさはまさに絆が繋いで生まれた奇跡。究極の実力派ロックバンドと令和のディーヴァの奇跡の融合を堪能したい。
TEXT/フジジュン 

フジジュン プロフィール:1975年、長野県生まれ。『イカ天』の影響でロックに目覚めて、雑誌『宝島』を教科書に育った、ロックとお笑い好きのおもしろライター。オリコン株式会社や『インディーズマガジン』を経て、00年よりライター、編集者、デザイナー、ラジオDJ、漫画原作者など、なんでも屋として活動。12年に(株)FUJIJUN WORKSを立ち上げ、バカ社長(クレイジーSKB公認)に就任。メジャー、インディーズ問わず、邦楽ロックが得意分野。現在は音楽サイトや、雑誌『昭和50年男』等で執筆。


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