【2.5次元】ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.2-大英帝国の醜聞-鈴木勝吾インタビュー「この時代だからこそ届けたい」

2020年6月16日 / 08:00

 漫画『憂国のモリアーティ』を原作としたミュージカル『憂国のモリアーティ』の、第2弾公演となるミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.2-大英帝国の醜聞-が、7月31日から上演される。本作は、コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』を原案に、ホームズ最大の宿敵であるモリアーティ教授の視点で再構築した作品。上流階級の人間たちに支配され、差別がまん延している19世紀末の「大英帝国」を舞台に、悪を取り除き、理想の国を作ろうとするジェームズ・モリアーティと宿敵シャーロック・ホームズとの戦いを中心に描く。第1弾公演に続き、モリアーティを演じる鈴木勝吾に公演への思いを聞いた。

ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ役の鈴木勝吾

-引き続き出演が決まった気持ちから聞かせてください。

 このカンパニーに思い入れも愛着もあるので、またこの仲間と一緒に物作りができるということがうれしかったです。今回は、2人のキャストが新たに参加してくださいますが、彼らも含めて、一つの方向に向かって真っすぐに進んでいけたらと思います。

-最初に原作を読んだとき、どう感じましたか。

 国の行く末を憂いているモリアーティの人物像、それからモリアーティ側の視点を描くという設定がすごく好きでしたし、今の時代を投影できる作品だとも思いました。物語の舞台はイギリスですが、日本人の作家さんが描いているので日本の文化がにじみ出ていると思うんです。だから、この物語は自分たちが生きている世界に置き換えられる。特に今回のタイトルにある「大英帝国の醜聞」は、まさに今の日本にも当てはまる言葉です。今、多くの人が政界に関心を持っています。このタイトルロールで、作品的にもキーになるストーリーを、この時代、このときにできることがうれしいです。

-第1弾の公演を終えて手応えは感じましたか。

 はい、稽古を通して、難しい作品だなと感じていたので、公演を無事に終えたことは実質的な手応えになりました。それから、初日は満員ではなかったのですが、日に日にお客さまが増えて、最終的には満員にまでもっていけたので、そういう意味でも作品がきちんと届いているということを実感できました。それはこのカンパニーだからこそできたことだと思います。

-鈴木さんから見た、このカンパニーの魅力は?

 まれに見るぐらい結束力が強いと思います。スタッフもキャストも物作りに前のめりな人たちがそろっていて、真摯(しんし)に作品に向き合えました。2.5次元の作品としてはキャストの年齢が若いわけではないので、だからこそ仕事とプライベートのすみ分けもしっかりできています。また、第1弾の上演中にはハプニングが起きたこともありましたが、このカンパニーだからこそ乗り越えられたと思います。

-本作でも“対決”するシャーロック・ホームズ役の平野良さんの役者としての印象は?

 共演する前から思っていたことですが、すごくテクニカルで、芝居がうまくて、シンプルにすごい。見とれてしまう演技をするので、個人的に大好きです。ただ、「そんなに飲むんだ」というほどお酒を飲むのは意外でした。僕も飲む方なんですが、良くんはすごい。それで、めちゃくちゃしゃべる(笑)。でも、そのトークもキレキレなので、エンタメ性がある人なんだと思います。クリエーティブな部分を持ちながら、同時にエンターテイナーでもある。だから、バランスがいいんです。(第1弾公演では)良くんが向き合ってくれたことで、発見することも多かったので、いいパートナーだと思っていますし、尊敬もしています。

-本作では、アイリーン・アドラーが登場し、ウィリアムとシャーロックの関係性もさらに変化していきます。鈴木さんから見た、本作の見どころは?

 前作ではシャーロックとウィリアムの出会いが描かれて、ウィリアムがシャーロックをヒーローにするという展開で終わりました。今回は、そこから彼らの関係のタームが変わっていくので、もちろんそこは見どころだと思います。

 モリアーティでいえば、前作では三兄弟をメインに描いていましたが、本作ではモランやフレッドとの関係性もさらに見えてくると思うので、それも僕自身楽しみです。それから、アイリーンが入ったことによって、ハドソンさんとのやり取りも生まれますし、女優同士のやり取りも出てきます。シャーロックとワトソンのエピソードも描かれるので、そのバディ感も見ていただきたいところです。

 今回描く「大英帝国の醜聞」というエピソードは、「憂国のモリアーティ」を描く上で欠かせない大テーマだと思います。国のスキャンダルをどう突き詰めて、どう暴いていくのかというのがモリアーティの目的でもあると思うので、それをこの時代だからこそ届けたいと思います。

 
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