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【2.5次元】舞台『刀剣乱舞』慈伝 日日の葉よ散るらむ 山姥切長義役・梅津瑞樹インタビュー 「写しであることは一つの関係の糸」山姥切国広への思い

 名だたる刀剣が刀剣男士と呼ばれる個性豊かなキャラクターとして登場し、歴史上の戦場を駆け巡りながら部隊を編成・育成するシミュレーションゲームを原案とした舞台『刀剣乱舞』(以下、刀ステ)の最新作、舞台『刀剣乱舞』慈伝 日日の葉よ散るらむが6月14日に東京で開幕。7月7日まで大阪・サンケイホールブリーゼの公演を経て、7月11日にはAiiA 2.5 Theater Kobeで兵庫公演がスタートする。物語のキーとなる人物・山姥切長義を演じる梅津瑞樹に、開幕後の心境、そして役作りや見どころを聞いた。

山姥切長義役の梅津瑞樹

-東京公演を終えた率直な感想は?

 稽古中から積み重ねてきたことが、ようやくお客さんの目に触れることになって、自分たちの予想していなかった反応があったり、想像の上をいく反応を返してくれたりと感慨深いものがありました。あっという間の13公演でした。

-梅津さんが演じた山姥切長義は、「謎の人物」とアナウンスされていて、開幕と同時にその正体が明かされました。それについてはどんな思いで稽古を積み重ねてきたのですか。

 ファンの方たちの反応が耳にも入っていたので、本当にプレッシャーが大きかった、というのが正直なところです。フードをかぶって仮面をつけたキャラクタービジュアルが発表されていましたが、多くのファンの方が察していらっしゃったこともあり、期待値が大きいというのも感じていました。なので、初日の幕が開いても、まだ100パーセント自信を持って「俺は山姥切長義だ」って思えなくて…。公演を重ねることで、お客さまからの反応を頂いて、自分の中で自信が徐々に確かなものになっていっています。

 

-演じるに当たって、意識したことは?

 実は僕、2.5次元と言われる作品にメーンキャストとして出演すること自体がほぼ初めてなんです。稽古期間中は、どうしたら皆さんが想像している山姥切長義に似せられるかということを考えていました。似せることが良いことだとは限らないとは思いますが、まずはそこからだと思ったので。公演が始まった今も、毎日、ゲーム本編でCVを担当されている声優さんの口調やブレスの出し方を聞いて意識するようにしています。

-これまでの刀ステはご覧になりましたか。

 はい。映像でシリーズ全作見ました。重厚な歴史ドラマで、きらびやかなシーンもある作品という印象でした。それから、殺陣がとにかく多い(笑)。あれを自分もやるとなったら大変だなとは思いながらも、このシリーズに出演できるんだとワクワクしながら見ました。

-シリーズの中でも前作の「悲伝 結いの目の不如帰」はとても大きな意味のある作品だと思いますし、本作にもつながる作品です。梅津さんはどのような思いでご覧になりましたか。

 このシリーズの主軸となっていたのが、三日月宗近と山姥切国広の関係性だったと思います。そして、山姥切国広の成長と、それをずっと見守っていた三日月宗近のドラマが大きく動くのが「悲伝」だったと感じました。それがあって今作がある。「悲伝」の中の、その二振りのやり取りを見ていると、もちろん山姥切長義としては、悔しい思いややるせない思いや、いろいろな感情が湧いてきますが、ある意味で「こういうことがあったなら仕方ないな」という納得する気持ちもあります。

-本作では、山姥切長義と荒牧慶彦さん演じる山姥切国広の関係性がポイントになっていると思いますが、荒牧さんが演じる山姥切国広をどう感じていますか。

 これまでの作品を通してあそこまで成長してきた山姥切国広が目の前にいるということと、山姥切長義としての思いのギャップが苦しかったです。「悲伝」までシリーズを通して見ていると、やはり山姥切国広を見守りたいという思いが出てきてしまうんですよ。なので、その思いも芝居に使えればいいなとは思いました。写しであることは一つの関係の糸でもありますし、愛着も絶対にどこかにあるはずなので…。

-荒牧さんとは本作が初共演だそうですが、荒牧さんの印象は?

 とてもストイックで真面目な方で、すぐにせりふも入って、殺陣もすごい。素晴らしいところばかりなので、教えを請いまくっていました(笑)。キャラクターをどう自分にインプットするのかということで悩んでいたら、荒牧さんが「このキャラクターがどういう人物なのか一緒に研究しよう」って言ってくれて…。一つの取っ掛かりを見つけて、自分の中でさらに深めるきっかけにもなりました。すごく感謝しています。

-梅津さんご自身のことについても聞かせてください。役者を目指したきっかけは?

 子どもの頃から両親にお芝居を見に行かせてもらっていたというのが大きいと思います。両親ともに芸術関連の仕事をしていたので、芸術というものに漠然とした憧れがありました。見ていると憧れるものですね。それで、中高生のときに演劇部に入って、その後、大学で文芸学科という学科で小説を書いたり、文章を書いていました。大学生のときは立体造形が好きで、それを作ったりもしていましたね。芸術全般に触れる中で、一番自分のやりたい表現の方法が演劇だったという感じです。

-では、将来的には、脚本などの「書く」という表現もしたいですか。

 脚本はもちろん書いてみたいというのはあります。…実は今も、こっそりと書いてはいますが(笑)。文章で表現して、それをまた誰かに見にきてもらえたらという思いはあります。

-目指す役者像は?

 一人芝居をして見にきてくれるお客さんがいる役者が理想です。役者である梅津瑞樹の芝居を見たいと思う人が一人でもいれば、それだけでうれしいです。

-改めて本作の見どころを。

 山姥切長義としては、山姥切国広との関係性には注目して見ていただきたいです。山姥切国広の「悲伝」までの歴史を経て、今回の「慈伝」でどう変わるのか。この作品も、山姥切国広にとってのある種のターニングポイントとなっていると思いますし、山姥切長義がそのきっかけになっていたらいいなと思います。

-最後に公演への意気込みを。

 一公演一公演を大切に、そのときに生まれるものを大事にして演じていきます。二度と同じ瞬間はないので、見守っていてください。

(取材・文・写真/嶋田真己)

(C)舞台『刀剣乱舞』製作委員会 (C)2015-2019 DMM GAMES/Nitroplus

 舞台『刀剣乱舞』慈伝 日日の葉よ散るらむは、7月7日まで大阪・サンケイホールブリーゼ、7月11日〜15日に兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobe、7月19日~8月4日に東京凱旋公演・品川プリンスホテル ステラボールで上演。8月4日の大千秋楽には全国138の映画館でライブビューイングも決定している。

公式サイト https://www.marv.jp/special/toukenranbu/