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今後は、今までとは違うお芝居のアプローチに挑戦していってもいいのかな、と考えるきっかけになった気がします。現場で「ああすればよかった」、「こうすればよかった」という気づきがあっても、監督が「OK」を出した後でやり直すことは難しい。だから、そういう思いは、その後の作品に生かすしかありません。もちろん、今までもその考えは変わりませんが、これからはもっと挑戦していこうかと。それはやっぱり、役と深く向き合う主演だったからこそ湧いてきた思いだったのかもしれません。
舞台の場合、初日から二日目、三日目と少しずつ修正していくことができますが、映画はそうはいきません。ただ逆に言えば、そんなふうに一度きりの本番に向けて集中力を高めていくのが、役者にとっての映画の面白さでもあるのかなと。
映画は、やっぱり憧れですよね。元々お芝居を始めたのも、「映画に出たい!」と思ったことがきっかけですから。初めは、「顔はテレビでよく見るけど、名前はわからない。でも面白い」という人に興味を持ったんです。さらにテレビと違って映画の場合、“自主映画”のように個人的な作品でも成立します。だから、映画だけに出る人は“多くの人には知られていないけど、俳優として存在している”ことになるのかなと想像して。何も知らない若い頃は、そういうちょっと変わった立ち位置に憧れていたんです。でも結局、多くの人の前に出ないと仕事にならないことに、俳優になってから気づきましたが(笑)。
そうですね。普段、道を歩いていると一般の方から「あっ!」と驚かれることがあります。そこで「サインください!」と言われて書くと、「テレビでよく見るけど、ごめん、名前なんだっけ?」と言われたりして(笑)。でも、それがちょっとうれしかったりもするんです。まだまだ僕も捨てたもんじゃないなと思えて。
谷崎潤一郎の『鍵』はこれまで何度も映像化されていますが、今回は時代を現代に置き換え、ポップな世界観で今の時代にフィットする物語にアレンジされています。その分、今までの谷崎潤一郎のイメージとは一味違った作品に仕上がっていると思うので、谷崎原作でこういう作品もできるんだ、という点を楽しんでいただけたらうれしいです。
(取材・文・写真/井上健一)

©2026「鍵」製作委員会
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