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篠原涼子&山崎樹範、夫婦は「許し合えることが理想」 朗読劇「したいとか、したくないとかの話じゃない」【インタビュー】

 篠原涼子と山崎樹範が出演する朗読劇「したいとか、したくないとかの話じゃない」が4月20日から開幕する。本作は、“セックスレス”をきっかけに問いかける夫婦の在り方、子育ての在り方を描いた、足立紳原作・脚本のファミリーストーリー。妻の恭子を篠原と佐藤仁美、夫の孝志を山崎と荒木宏文が演じる。篠原と山崎に本作の魅力や理想の夫婦像などを聞いた。

山崎樹範(左/ヘアメイク:浅山ジャスミン莉奈(TUNE)、中間愛梨(TUNE)、眞舘楓)と篠原涼子 (C)エンタメOVO

-出演が決まったときの心境を聞かせてください。

 篠原 足立(紳)さんが監督・脚本をした映画を拝見して、いつかご一緒したいと思っていたときに、このお話を偶然頂き、ぜひやらせていただきますと。朗読劇は今回、初めて出演しますが、以前から朗読劇にはすごく興味がありました。大きな挑戦になると思うので、それがいい刺激になると思います。今回は、お客さまに生でお芝居を見ていただくことで、対話をするような感覚を経験できるのではないかとすごく楽しみにしています。

山崎 篠原さんと佐藤さんのお相手をさせていただけるということで、本当に楽しみです。劇中では、夫婦げんかのシーンが多く、とにかく掛け合いが続くので、パートナーとしてこれほど心強い2人はいないなと思いました。篠原さんとは、先日もドラマで同じ作品に出演したことはありましたが、一緒のシーンはなかったので、今回は初めての共演です。佐藤さんと全くタイプが違うので、楽しみが倍になるなとワクワクしています。

-脚本を読んで、本作のどんなところに面白さを感じましたか。

篠原 口に出したくても出せないようなせりふがたくさんあって、恭子の言葉に共感できると思います。自分ではなかなか言えない言葉だけに、はっとしたり、考えさせられたりする場面も多いと感じました。

山崎 夫婦の形はそれぞれだとしても、必ずどの夫婦にも悩みや問題があると思うんです。今回の朗読劇では、セックスレスをとっかかりに、実は今まで見て見ぬふりをしてきた問題が一気に噴出してきます。入り口は違ったとしても、それはどの夫婦にもあることだと思うので、結婚されている方は特に、何かしらの共感を抱いていただけると思います。きっと、見終わった後に誰かに話したくなる、誰かと共有したくなる作品だと思いますし、この作品をきっかけに夫婦や友達同士でこれまで言えなかったことが言えるようになったらいいなと思います。

-篠原さんが演じる妻の恭子、山崎さんが演じる夫の孝志、それぞれに共感できるところはありますか。

篠原 全てにおいて、「分かる、分かる!」と思うので、それこそがこの作品の面白さだと思います。タイトルもそうですが、恭子はかなり衝撃的な言葉を孝志に投げつけるので、それもキャッチーで面白いと思いました。

山崎 孝志は、自己中心的で、何かあると人のせいにして、人をねたんで、なのに人に依存する。そんなところは100パーセント共感しかないです(笑)。本当に僕に近い人物だと思うので、とても理解しやすいですが、(演じることによって)自分と向き合って、自分の嫌なところを見て、それをさらけ出す作業になるので、それはそれでつらいものがあります(笑)。ただ、こうして自分自身をさらけ出すことがデトックスになるのかなと思って頑張ります。

-この作品で描かれる、夫婦の在り方についてはどう感じましたか。

篠原 恭子は最終的に大きな決断を下しますが、それまでの流れを見ているとすごくきれいな形だったのかなと思います。そのまま何も変わらずにいたら、お互いによくない状況になっていたと思うので。お互いに自立して、見直していこうと前を向いているので、ハッピーエンドだったと私は感じました。

山崎 夫サイドからしますと、僕も孝志も全く納得していません。台本はここで終わっているから仕方ないですが、もし、あと10ページ台本があって、あと20分上演時間があって、延長戦があるならば、僕は何としても巻き返します(笑)。

-お二人が考える、理想の夫婦像は?

篠原 やはり支え合うことが大事だと思います。この作品でもそうですが、最初はきれいなところだけを見せていても、一緒に暮らして、夫婦として生きていくとなると、それだけではいられない。見られたくない、見せたくないところも見られてしまいますし、相手の見たくないところも見てしまう。それでも、一緒にいたいという気持ちが勝って、乗り越えて、一緒に生きていくというのが理想の夫婦の形なのかなと思います。この作品で恭子と孝志は、ずっとけんかをしていますが、でも、憎めなかったり、いとおしく思ったりもしているところもあるのかなと思いました。だから、「好きじゃない」とは言わない。「好きだけど、魅力がなくなっただけ」という言い方をする。自分のわがままを聞いてほしいだけなんだと思います。だから「あなたも変わっちゃたわね」とか「努力してほしかった」という言葉になる。お互いに思いやっている夫婦なんだと私は感じました。

山崎 僕は、理想を追い求めるとすごく苦しくなると思うんですよ。年を重ねると、どうしても今できることができなくなっていきます。肉体的に衰えていくから、どうしようもないこともあるんですよ。そんな中で理想を追い求めるよりも、理想通りにいかないことをいかに許していけるかが大事だと思います。相手を許せなかったり、理想通りに進めることができない自分を許せないという怒りが積み重なって爆発してしまうことがあると思いますが、僕はできれば許せる人間になりたい。人を許せないということは、自分も許してもらえないことだと思うので。甘えたことを言いますが、僕は許してもらいたいから、相手のことも許す。都合のいい話ですが、許し合えることが理想かなと思います。

-今の話にも通じると思いますが、夫婦に限らず、いい人間関係を築くために意識していることはありますか。

篠原 今、山崎さんのお話を聞いて、本当に「許す」というのは大事なことだなと思いました。許せないとその思いが憎しみに変わってしまい、自分もいい人間になれなくなりますよね。許すことで相手も変わっていくと思います。許し合うことは本当に大切なことだと思いました。

山崎 半世紀近く人間をやってきて、僕はここ半年ぐらい、好きな人とだけ一緒にいられたらいいかなと思うようになりました。10年、20年来の友達がいて、本当に自分を理解してくれる人がいればそれでいい。新しい出会いもすてきですし、もしここから新たに10年、20年の友情を築いていける人と出会えたらとても素晴らしいですが、それを探すよりも、今いる方を大事にしようと思っています。

(取材・文・写真/嶋田真己)

朗読劇「したいとか、したくないとかの話じゃない」

 朗読劇「したいとか、したくないとかの話じゃない」は、4月20日~23日に都内・俳優座劇場で上演。公式サイト

 

 

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