X


アンミカ「人生は挑戦の連続」 念願のミュージカル初出演で「何がなんでも食らいつこう」【インタビュー】

 パリコレクションなどでモデルとして活躍しながら、ファッションやコスメなどのプロデュース、バラエティー番組出演などさまざまな分野で活動を続けるアンミカ。9月6日から開幕するミュージカル「シンデレラストーリー」では、魔法使い役としてミュージカル初出演を果たす。「念願だった」というミュージカル出演への思いを聞いた。

魔法使い役のアンミカ

-「念願だったミュージカル出演が50歳にしてかなう」とコメントを発表していましたが、改めて、本作への出演が決まった心境を教えてください。

 人生でこうして何度も初めての経験をさせていただけるのは素晴らしいことなので、とてもありがたく思っています。

-もともと、ミュージカルには興味があったんですか。

 早くに亡くなった母がミュージカルが大好きでしたので、宝塚歌劇団を一度は一緒に見に行きたいと話していたのですが、それがかなわずに他界してしまいました。そうした影響からか、幼少期から毎週教会に通って聖歌を歌っていましたし、歌に親しんで育っていました。中学卒業後からは、ヒップホップのグループダンスのチームにも入って踊りを踊っていたので、昔から歌って踊るという世界が大好きだったんです。もちろん、演劇も好きですが、やっぱりミュージカルには憧れが強く、特に劇団四季さんのステージが大好きで、よく観劇に行っていました。

-50歳での初挑戦には、不安はなかったですか。

 私の人生は、挑戦の連続ですので。15歳でモデル事務所に入るときも、たくさんの会社に書類を送りましたが、全部送り返されてきたんですよ。なので、「写真写りが悪いだけですから、実物を見た方が御社は得です」とアピールして、面接をしてもらったこともありました。結局、「実物もちょっと…」と落とされましたが、その会社からは「梅田に出てきたら遊びに来ていいよ」というお言葉を頂いたので、それを真に受けて、毎週行くようになりました。結局、高校3年間、芽が出なかったのですが、次は「パリコレだ」と思い、家を勘当されながらもパリに行ったんです。1回目に行ったときは何もできずに終わってしまったのですが、2回目でどうにか事務所に入ることができた。私の人生はいつも、チャレンジして駄目でも、2回目でどうにか、3回目で何とかなるということの連続でしたので、挑戦は私には当たり前のことなんです。実は、今回のミュージカルも、成就しかけてかなわなかったお仕事の後に頂いたので、そのときの悔しさが頭をよぎって、頂いたチャンスは何が何でも食らいつこうと気持ちが固まりました。

 -今回のミュージカルでは、これまでのモデル業や芸能界での経験が役立っていますか。

 人生に無駄なことはないと私は思います。なので、(幼少期からの)歌やダンスの経験ということだけでなく、これまでの人生で経験した喜怒哀楽や感情の機微など、全てのことが、魔法使いというシンデレラを理解する立場の役に生きてきていると思います。

-本作は、「シンデレラ」を子どもから大人まで楽しめるようにと、鴻上尚史さんが新たに書き下ろし、2003年に上演されたミュージカルの再演です。今回、アンミカさんが演じる魔法使いはどのような役柄ですか。

 ネズミの軍団のチュウたちと一緒にシンデレラを助けに行く魔法使いという役柄です。シンデレラを支えるネズミたちには、ときには厳しく当たることもありますが、それは与えられた使命を果たすための責任感故で、愛情があってのことです。人間の年齢でいったら80歳や90歳を想定しているのでしょうが、実際にはそれ以上に長く生きてきているんじゃないかなと思います。きっと、シンデレラのような子を何人も見てきて、たくさんの人間の喜怒哀楽や失敗を見てきて、助けるべき人は助けようと思っている。大きな愛を持っている人です。いろいろな経験をしてきた魔女が、シンデレラにだけは違った顔を見せるので、それをうまく表現したいと思っていますし、首一つの動かし方、振り返り方、目線、全部に人生の経験が生きると感じています。

-稽古がスタートしてどんなことを感じていますか。

 「わあ、吉野圭吾さんがいらっしゃる」とか「わぁ、彩吹真央さんだ」と、ミーハーな気分もまだ抜け切れていません(笑)。これまでステージで見てきた、本当にすてきで尊敬できる方々ばかりなので。ただもちろん、自分なりに自分の役をどうつかんで演じていくのかを考え、しっかりと作っていかないといけませんし、皆さんの演技や、歌を拝見してすごく刺激を受けています。学びながら、皆さんからたくさんのことを吸収していきたいと思います。

-ミュージカルの稽古場は、アンミカさんにとって新鮮な場所ではないですか。

 まさにその通りです。モデルとして35年活動していると、どこにいっても知り合いばかりです(笑)。ですが、今、これまでに経験したことがないミュージカルというチームの輪に入って、知らないことばかりの場所でチャレンジしています。正直不安もありますし、「他のカードを出して」と言われても、そのカードが特殊なのでどれを出せばいいのかも分からない(笑)。私にとっては全く新しい場所での挑戦ですが、演出のウォーリー(木下)さんが、的確に演出をしてくださり、何度もシーンを重ねて稽古をさせてくださいますし、褒めて育ててくれる方々ばかりなので、楽しく稽古をさせていただいています。素晴らしいミュージカルになるよう精いっぱい努めさせていただきます。

(取材・文/嶋田真己)

ミュージカル「シンデレラストーリー」

 ミュージカル「シンデレラストーリー」は、9月6日~19日に都内・日本青年館ホールほか、愛知、福岡、大阪で上演。
公式サイト https://www.cinderellastory2022.com

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第十六回「華の影」まひろと道長の再会から窺える物語展開の緻密さ【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年4月27日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月21日に放送された第十六回「華の影」では、藤原道隆(井浦新)率いる藤原一族の隆盛と都に疫病がまん延する様子、その中での主人公まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の再会が描かれた。  この … 続きを読む

宮藤官九郎「人間らしく生きる、それだけでいいんじゃないか」 渡辺大知「ドラマに出てくる人たち、みんなを好きになってもらえたら」 ドラマ「季節のない街」【インタビュー】

ドラマ2024年4月26日

 宮藤官九郎が企画・監督・脚本を手掛けたドラマ「季節のない街」が、毎週金曜深夜24時42分からテレ東系で放送中だ。本作は、山本周五郎の同名小説をベースに、舞台となる“街”を12年前に起きた災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へと置き換え … 続きを読む

【週末映画コラム】全く予測がつかない展開を見せる『悪は存在しない』/“反面教師映画”『ゴジラ×コング 新たなる帝国』

映画2024年4月26日

『悪は存在しない』(4月26日公開)  自然豊かな高原に位置する長野県水挽町は、東京からもそう遠くないため移住者が増加し、緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧(大美賀均)は、娘の花(西川玲)と共に自然のサイクルに合わせたつつましい生活 … 続きを読む

志田音々「仮面ライダーギーツ」から『THE 仮面ライダー展』埼玉スペシャルアンバサダーに「埼玉県出身者として誇りに思います」【インタビュー】

イベント2024年4月25日

 埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」内「角川武蔵野ミュージアム」3Fの EJアニメミュージアムで、半世紀を超える「仮面ライダー」の魅力と歴史を紹介する展覧会『THE 仮面ライダー展』が開催中だ。その埼玉スペシャルアンバサダーを務めるの … 続きを読む

岩田剛典 花岡の謝罪は「すべてが集約された大事なシーン」初の朝ドラで主人公・寅子の同級生・花岡悟を熱演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年4月25日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。明律大学女子部を卒業した主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は、同級生たちと共に法学部へ進学。男子学生と一緒に法律を学び始めた。そんな寅子の前に現れたのが、同級生の花岡悟だ。これから寅子と関わっていく … 続きを読む