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鈴木福、「もう子役じゃないんだから」の言葉で目覚めた俳優としての自覚【インタビュー】

 子役時代から数々のドラマや映画で活躍してきた鈴木福。6月17日に、18歳の誕生日を迎え、“新成人”となった。そんな鈴木が、本格的ストレートプレーに初挑戦する舞台「きっとこれもリハーサル」が9月29日から開幕する。舞台出演への意気込みや本作の見どころ、さらには俳優として今、感じていることを語ってもらった。

鈴木福 (C)エンタメOVO

-現代を舞台に、お葬式をテーマにした本作で、鈴木さんが演じるのはご自身と同じ“高校生”という役どころです。ストレートプレー(せりふのみで歌を用いない会話劇)に出演するのは初めてということですが、出演が決まった心境から聞かせてください。

 俳優としてやっていく中で、こうしたお話を頂けるというのはすごくうれしいことです。僕が演じる太田賢一は、どこにでもいそうな青年という役柄だからこそ、実力が露骨に出ると思うので、自分自身の力が試されている気もします。コミカルに演じながらも、その人らしさを出せるように頑張らなくてはいけないなと思います。

-映像作品と舞台作品とでは、作品への向き合い方は違いますか。

 全然違います。普段話している声で演技しても、舞台では届かないので、発声の仕方から変わります。今回、ストレートプレーで、しかもこんなにも出番の多い役というのは初めてなので、ゼロから学ばせていただくつもりでいます。

-鈴木さんが演じる賢一という役柄については、脚本を読んでどう感じていますか。

 僕とはタイプが違う人物だなって(笑)。家が好きで、兄弟とも仲よくてということは一緒ですが、賢一は秘密の目標があって、それを親に言えずにいるんです。僕は、親からやりたいことは話すようにと言われて育ってきたので、何でも言っています。基本的に、僕がやりたいと言ったことは応援してくれる両親なので、そうした親子の関係性は賢一とは違うのかなと思います。

-共感できるところは?

 やりたいことがあるのは僕と一緒です。それから、(劇中で)賢一は、石野真子さんが演じる母から「お葬式のリハーサル」をするから参加するように言われますが、僕もお金をもらえるなら、お葬式のリハーサルに出ると思うので、そこも一緒です(笑)。

-今回、稽古前に準備をしようと思っていることはありますか。

 洋菓子店でアルバイトをしているという設定なので、ケーキを作ろうかな(笑)。でも、まあ、それぐらいで、特にこの作品のために何かを練習したり、勉強したりということはないです。ただ、心持ちとしては、この舞台に100パーセントを注げるだけの時間と気持ちを持っていたいと思います。役作りに関しては、僕は前もって「これをこうして」というのができるタイプではないので、お稽古に入ってみて必要だと思ったことをやりたいと思います。

-鈴木さんは、現場に入って「スタート」の声が掛かると、その一瞬で役に入ることができるという話を聞きました。

 そうですね、特に小さい頃は、(撮影が始まる合図である)「よーいスタート」の「よーい」まで話をしていました(笑)。「よーい」で切り替えていたんだと思います。今も、シリアスなシーンの前だから人と話すのはやめようとか、一人きりになりたいとか、そういったことはないですね。役作りのためにこうしなければいけないというのが得意ではないんだと思います。

-小さい頃から、芝居をすることは楽しかったですか。

 小さいときは、お芝居をすることというよりは、現場でいろいろな方とお話しすることや、現場に行くということ自体が好きだった気がします。もちろん、お芝居が好きだから続けられたんだと思いますが、本当にお芝居がやりたいと思ったのは最近です。それまでは、楽しい場所に行きたいとか、みんなと一緒に楽しいことがしたいとか、あとは普通はあまりできないようなことをやりたいという思いが強かったんだと思います。今でも人と一緒に何かをするのが好きで、その延長でこうしてお仕事をしているんだと思いますが、自分の中では“好き度”や“やりたい欲”が高まっているのを感じます。

-芝居をしたいと強く思うようになったのは、何かきっかけがあったんですか。

 ありました。あまり話すことではないですが…。ある映画監督さんに「もう子役じゃないんだから」ということを言わせてしまって…。それで、俳優としてしっかり頑張らなくてはいけないと思うようになったときに、今も教わっているお芝居の先生と出会い、自分が何も知らなかったことに気づかせてもらいました。実は、この話、もっと一人前になってからしようと思っていたんです(笑)。なので、今、話すのはカッコ悪いんですが…。

-それは余計なことを聞いてしまいました…。ですが、そのときに壁にぶち当たるまでは、大きな苦労はなかったのですか。

 慣れてしまっていたところはあったと思います。よく、子役から成長していく段階でお仕事が減るといいますが、僕はその頃からバラエティー番組にも呼んでいただけるようになって、バラエティーも楽しいし、お芝居もやらせていただけるならやるという状況だったので。ただ、今よりも熱量は低かったと思います。それは本当に反省すべき部分です。

-今は俳優としてどんな夢や目標がありますか。

 ずっと言っていますが(笑)、「仮面ライダー」になりたいです。それから、皆さんから評価されることも大切だと思いますし、一生、俳優を続けたいですし、そのとき、自分が一番やりたいと思っていることをやれるようになっていたいです。

-では、改めて本作の見どころをお願いします。

 すごく笑える作品になると思うので、皆さんに、笑って、楽しんでいただいて、「心に残ったね、いいね」と思って帰っていただけるように、僕もしっかりと自分の役割を果たしたいと思います。僕を子どもの頃からを知っている方もたくさんいらっしゃると思うので、いい俳優になったと思っていただけるお芝居を見せられるようにこれから頑張っていくので、ぜひ楽しみにしていてください。こうして、インタビューを受けるたびに自分でハードルを上げてしまっているので(笑)、頑張ります!

(取材・文・写真/嶋田真己)

舞台「きっとこれもリハーサル」

 舞台「きっとこれもリハーサル」は、9月29日~10月13日に都内・新国立劇場 小劇場、10月22日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演。
公式サイト https://koreriha.com

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