【インタビュー】WOWOWアカデミー賞授賞式の案内役・宇垣美里「今年は混戦で読めないから、楽しみが大きい」

2022年3月17日 / 12:00

 映画界最大の祭典「第94回アカデミー賞授賞式」が、日本時間の3月28日(月)に開催される。その模様をWOWOWが独占生中継。昨年は自粛モードが漂っていただけに、今年への期待はひとしおだろう。しかも『ドライブ・マイ・カー』が4部門でノミネートされたことで、日本でも例年以上の盛り上がりを見せそう。ジョン・カビラと共に番組案内役を務めるフリーアナウンサーの宇垣美里も期待を隠せない。

宇垣美里

-案内役として、今年はどこに注目していますか。

 何といっても、『ドライブ・マイ・カー』がどこまでいくのか? というところだと思います。カビラさんが、「受賞はします」とずっとおっしゃっていて。これだけノミネートされているのも歴史的なことなんですけど、何部門で受賞するかが見どころの一つかなと。そして、今年は授賞式の会場がドルビー・シアターに戻るということで、コロナ禍はまだ続いていますが、アカデミー賞自体はちょっとずつ前の形に戻りつつあって、司会者も立てて、エンターテインメントのショーとしてのアカデミー賞が戻ってくることが、とても楽しみです。

-『ドライブ・マイ・カー』は、絶対に受賞すると思いますか。

 私たちの中では、国際長編映画賞は取るでしょうと思っていて。でも脚色賞も取るよね、そうなってくると監督賞や作品賞も気になってくるよねって、どこまで躍進していくのかが楽しみなポイントかなと。

-作品賞にノミネートされた中で、他に注目している作品は?

 これまでの賞レースの流れを見ていくと、やっぱり『パワー・オブ・ザ・ドッグ』が有力視されているのかなと思います。私も好きな作品です。一方で、暗くて見た後に胸がかきむしられる内容でもあるので、正反対の、心が温かくなる『コーダ あいのうた』ですとか、『ベルファスト』も私は大好きです。『パワー・オブ・ザ・ドッグ』はNetflix作品なので、配信がついに取るのか? というところもポイントですし、皆が今見て癒やされて幸せな気持ちになる作品というのが作品賞を受賞するというのも一つの形だとも思うので、どこに行き着くんだろうなって思っています。

-演技部門はいかがですか。

 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』のそれぞれの演技が素晴らしかったと思います。ベネディクト・カンバーバッチ演じる主人公の荒くれ者のカウボーイは、見ていて高圧的なキャラクターで、やることなすことの全てが好きになれないのに、嫌いにもなり切れない。それはカンバーバッチが、彼の心の中の孤独であるとか悲しみを繊細に表現した結果だと思うんです。あの作品の奥行きの一つはカンバーバッチがそこを見事に演じ分けたからじゃないかなって。時代が時代だから、この人もかわいそうってなりますよね。

 一方で、助演男優賞にノミネートされているコディ・スミット=マクフィー。恐ろしいという表現を使ってしかるべきだと思うんですけど、最初のフェミニンなイメージから豹変していく。繊細さに裏付けられたしたたかさみたいなものがゾワッと迫ってきて、見終わったときに、強さって何だろう、カンバーバッチよりもこの子の方がよっぽど強くない? って思わせる。ただ、ジェシー・プレモンスもよかったんですよね。ソフトに見えて、あなたも家父長制にドボドボじゃないと。ただし『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、助演男優賞に2人ノミネートされているので、票が割れるかもしれないですね。

-『ウエスト・サイド・ストーリー』は、いかがですか。

 素晴らしかったです。助演女優賞は、絶対にアリアナ・デボーズでしょう! 旧作も好きなんですけど、今回はまた、映像や音声の技術もそうだし、歌詞やキャラクターのマイナーチェンジが現代によりフィットしているなと。悲恋の話ではあるんですが、華やかで楽しい作品になっている。その中でも特に、主役の2人がすごくよかったのに、画面のどこにいてもデボーズが演じるアニータから目が離せなくて。歌やダンスも含めて人を引き付ける魅力とパッションがあって、彼女は受賞してしかるべきだなと思っています。

 
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