小中学生も自身のスマートフォンを所持し、タブレットやパソコンを扱う機会も多いため、YouTubeは学生を中心とした若者世代の視聴者が圧倒的大多数を占める。さらに「好きなことで、生きていく」というフレーズの広告展開もあり、くまみきはさらなる知名度を上げた。
動画に関連して表示される広告などから収益を得られる「YouTubeパートナープログラム」が公開されたことも追い風となって、小中学生がYouTuberを将来の夢に挙げる時代となった。
──YouTubeに動画を投稿したきっかけを教えてください。
最初はなんとなくだったんです。その前にブログをやっていて…。ブログは文章と写真ですけど、さらにそこに自分のその時の表情や雰囲気、深いところまで伝えられると気付いて(動画を)始めました。原宿ファッションやかわいいものが好きだったので、そういうかわいいものや私の好きなものを、同じように好きな人たちと共有したい、広めたいと思いました。服飾の学校を出てモノ作りも得意なので、DIYのハウツー動画を作ろうと思いました。
──投稿した動画は1本目から反響があったのですか。
1本目はそんなにたくさん反応があったわけではないです。でもすぐにコメントがついたなという印象はありました。こんなに早く視聴者さんとコミュニケーションが取れるんだってびっくりしました。なんとなく始めたのが2013年の夏くらいで、間を空けながら様子をうかがって投稿していました。14年の1月くらいに『これは本気でやって成功してやる』と思って、そこから週に3〜4本と頻繁に(動画を)上げるようになりました。そのころから視聴者さんが増えていったように思います。
──成功してやる、と決意したのはどうしてですか。
その時、日本でYouTubeをやっている人がまだ少なかったんです。これから日本でも流行するかもね、という雰囲気でした。それまで私はフリーターをしながらいろいろなことをやって、成功したものがなかった。これをしっかりやって成功させないと私はもうだめになってしまうかもしれないくらいの気持ちで、“職業YouTuber”を目標にして絶対やってやろうと思いました。
──動画を作るにあたって意識していることはありますか。
とにかくかわいく動画を編集したい、と思っていました。雑誌を見ているとフォント(文字の種類)や色合いが全部かわいかったりするので、そこを目標にしています。雑誌をペラペラとめくるように、見ていて楽しくなるような編集を心がけています。撮影はだいたい自分の部屋でやっていて、後ろの棚には好きなものを入れています。
──動画の編集はどうやって学びましたか。また、YouTuberになって変わったことは?
──これまでで一番印象に残っている動画を教えてください。
今回「女性クリエイター向けの支援プログラム」の一環で出した、原宿ストリートファッションの歴史の総まとめです。絶対にやると思っていたもので、今ならできるかもしれないと思ったし、ステップアップのためにこれはやらなきゃという思いがありました。夏にYouTubeさんに企画書を持ち込んで、そこから打ち合わせして年末に撮影しました。
──ファンとの繋がりやコミュニケーションはどのようにとっていますか。
SNSも、ファンイベントもやっています。コメントでも常にコミュニケーションが取れるし、ファンの方との距離が近いのがYouTubeのいいところです。コメント欄からアイデアをもらったり、DIYの動画を出すと2時間後くらいにはみんなが『作ったよ』ってSNSで写真を載せて教えてくれたり。動画を見て初めて作ったと言ってくれる人もいて、人のきっかけづくりになれることが自分の中ではすごくうれしいです。
──ご自身の動画の人気の秘訣はどこだと思いますか。
さらけ出すところですかね。私の場合は、メイク動画を作っても分からなかったら『もう分からないからみんな教えて! どうしたらいいと思う?』って言っちゃう(笑)。すっぴんを見せることも最初は恥ずかしさもあったのですが、だんだんまあいいかなって。家でやっているからかもしれません。ひどい時にはパジャマでやっているし、そのリアルさがいいのかな(笑)。
──YouTuberを将来の夢に挙げる小中学生が増えていますが、YouTuberであるくまみきさんはどうお考えですか。
時代ですよね。うれしいです。職業として認められているんだというのもそうだし、みんな自分が好きで伝えたいことがあるってことだと思う。ぜひそれぞれの好きなことを広めてほしいし、大歓迎。自分の好きなものや好きなこと、その気持ちを発信できるのは自分だけ。YouTubeを使って、自分の気持ちを思う存分に発信していってほしいです。
取材&テキスト:小林裕美
撮影:金田 誠
【原宿ストリートファッションの歴史】