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今年公開の日本映画で1本挙げるとすればやはり『侍タイムスリッパー』になるだろう。この映画は、始めは池袋シネマロサ1館のみで上映がスタートしたが、口コミやSNSでの評判が拡大し、ついには全国規模での上映に至るという異例のヒットを記録した。これは『カメラを止めるな!』(17)以来の快挙。映画上映の新たな展開として注目される。
また、今年の日本映画界は受賞ラッシュに沸いた。第96回アカデミー賞で、宮﨑駿監督の復帰作となった『君たちはどう生きるか』が長編アニメーション賞を受賞し、山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を受賞したのだ。そのほか、ディズニーチャンネルが製作したドラマシリーズ「SHOGUN将軍」が第76回エミー賞で真田広之の主演男優賞、アンナ・サワイの主演女優賞など全18部門を独占受賞したことも記憶に新しい。
『侍タイムスリッパー』の安田淳一監督も、今年は『碁盤斬り』『十一人の賊軍』と2本の時代劇を監督した白石和彌監督も「外国に日本映画(特に時代劇)を持っていくととてもいい反応が帰ってくる。ある意味、今が海外進出のチャンスなのかもしれない」と口をそろえる。日本映画がアニメーション以外でも勝負ができる時代が早晩訪れるかもしれない。
【日本映画】
1.『侍タイムスリッパー』本物の侍が時代劇の斬られ役に
2.『ラストマイル』「アンナチュラル」「MIU404」と同じ世界線で展開する
3.『八犬伝』“虚”と“実”を見事に融合させた
4.『悪は存在しない』全く予測がつかない展開を見せる
5.『碁盤斬り』新作のラインアップに時代劇が並ぶ喜び
6.『アイミタガイ』思いがけない出会いが連鎖していく様子を描いた群像劇
7.『九十歳。何がめでたい』とにかく草笛光子が素晴らしい
8.『はたらく細胞』人間の体内の細胞たちを擬人化
9.『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』だまされる快感が味わえる
10.『十一人の賊軍』仲野太賀が随一の活躍を見せる集団抗争時代劇
(田中雄二)